バスジャックとは、暴力によって交通手段としてのバスを奪取・占拠する行為をいう。
概要
ハイジャックのバス版、と言うのがもっとも簡単な説明だが、完全な和製英語である。語義についてはまた後ほど。
政治的目的を持ったテロリズムの手段として行われることもあるが、日本国内の事件では個人によるものがほとんど。動機の不明なもの、精神的な錯乱が疑われるような事例も多い。
陸続きの国境がない日本では、亡命手段としての陸上交通は意味を成さないため、一度バス内に立てこもってしまうと逃げ場は基本的にない。対応する警察の側も、近年では専門の訓練を受けた特殊部隊などを投入する方向にあり、最終的にはバスジャック事件は犯人の逮捕・無力化(殺害)によって解決されることがほとんどである。
フィクションにおいて
特撮・ドラマなどにおいて、悪の組織や犯罪者がしばしばバス(幼稚園バス、スクールバスなどを含む)を占拠するバスジャックを行うことがある。しばしば「悪の組織のくせにやることがみみっちい」などとも揶揄されるが、物語内部ではそれなりの理由付けがなされていることがほとんどである。また、実際に抵抗の少ない幼児・子どもを人質とするためのバスジャックはテロリズム戦術としてはある程度の合理性を持っており、1976年のジブチにおけるスクールバス占拠事件など現実にも事例がある。
語義について
本来ハイジャック(hijack, highjack と書く場合もある。以下同様)とは、乗り物を呼び止める時の掛け声「やあ、ジャック(かつての米国で一番ありふれた名前)」からきている・・・・・・というのはあくまでも俗説で、元々は jacklighter 「夜中に携帯用集魚灯(jacklight)を使い漁を行う者」 の短縮形 jacker が隠語的に「通りすがりの者を引き留めて襲う強盗」を表すようになり、さらに highwayman 「街道(highway 。なお高速道路は express highway で、この highway は幹線道路のこと)で荷馬車や列車を襲う馬賊」と組み合わされ hijacker 、つまり「乗り物強盗を働く賊徒」となった。そこから派生したのが hijack である。
つまり hijack とは車に限らず飛行機・船など様々な乗り物を奪取・占拠することを指す動詞(名詞は hijacking)であり、日本では航空機乗っ取り犯罪がもっとも人口に膾炙しているために、「航空機→高空→ハイ(high)」「占拠→ジャック」と言う誤解が生じ、「バスジャック」「電波ジャック」などの派生語が生まれた。まあカージャック carjack 「車輛を強奪する」やシージャック seajack 「船舶を強奪する」は立派な英語だし、航空機に限定した skyjack という語も存在するので、発想そのものは英語とそれほど離れているわけではない。しかし jack が単独で「強奪する」といった意味を示すことは無い。
関連動画
関連項目
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