プラズマとは、電離した気体である。
概要
物体は通常、温度を上げていくに従って 固体 → 液体 → 気体 と状態が変化して行く。これは、熱を与える=物体を構成している原子または分子の運動が活発になるという事であり、ある程度以上の熱を与えると原子(分子)同士の結合力よりも原子(分子)自体の運動エネルギーが勝ってしまいバラバラになる事が原因で、このような状態変化を起こす。
気体になると原子(分子)が1個ずつバラバラになって好き勝手に空中を飛び回っている状態だが、ここからさらに温度を上げて行くと、電子の運動エネルギーが原子との結合力を振り切ってしまうという現象が起こる。
こうして陽イオンと自由電子に分かれてしまった気体をプラズマと言う。
なお、上記では物体の温度をどんどん上げていって熱エネルギーによる運動によって電離した時の事を書いたが、必ずしも気体の温度をどんどん上げて行って出来たものだけをプラズマと言う訳ではない。
プラズマは広義には気体の一種だが、陽イオンと自由電子になっているという事は同一の空間の中に+の電荷を持つ粒子と-の電荷を持つ粒子が別々に飛び交っているという事であり、「全体としては±0だが、個々を見ると+または-のどちらかになる」と言う特徴を持つ。
また、電荷を持つ粒子が動いているという事は電磁場を発生させるという事であり、その電磁場によって様々な相互作用をもたらす。
そのため、プラズマは気体とは別のものであるとして、今まで固体・液体・気体で「物質の三態」と呼んでいたものを、プラズマを加えて「四態」とする向きも生まれている。
四大元素
よくファンタジーものの小説・漫画やRPGなどにおいて、「世界を構成する4つの属性」等と銘打って「土・水・風・火」が挙げられる事が多い。
これは古代ギリシャにおいて提唱された、この世の全てを構成する「四大元素」と言う考えから来ている。
もちろん、これは近代になって物質を構成する元素はこの4種類だけではないのが明らかになって否定されているため、今では上記のファンタジー世界でしか聞く事の無い言葉となっている。
しかし、プラズマが発見され、プラズマの研究が進むにつれ、この考えが注目されることとなる。
地=固体、水=液体、風=気体、火=プラズマ(炎はプラズマの一種である)と、古代からプラズマの存在を予見していたかのような合致を見せたためである。
プラズマを「気体の特殊な状態」ではなく「固体・液体・気体に次ぐ4番目の状態」と言う考えが生まれたのは、これが元である。
プラズマを利用した技術
- 蛍光灯
- 両側の電極から放電し、蛍光灯内の水銀原子をプラズマ化させる事によって紫外線を放出させ、その紫外線を蛍光塗料によって可視光線に変えて発散するもの。
- 核融合炉
- 水素などの軽い原子を超高温でプラズマ化させ、原子核同士が衝突して結合し別の原子(の核)に変化させる。そのとき質量から変換されて放出されるエネルギーを利用するもの。
- 溶接
- 「アーク溶接」と呼ばれている、溶接のもっともメジャーな手法の一つはプラズマを利用したものである。
特定の条件を満たす電極が2つある場合、その間の気体の分子がプラズマ化し、一時的に電流が流れる状態になる。(後述の「雷」のところを参照)
この状態になると電流が流れているプラズマ部分が金属を溶解・蒸発させるほどの高温になるため、これを利用して金属を溶かしてくっつけるのがアーク溶接である。 - プラズマカッター
- プラズマ切断とも言う。
こちらはプラズマ化した気体を直接噴き出し、それを当てる事によって対象物を溶かして切断するもの。 - プラズマディスプレイ
- プラズマディスプレイはプラズマのように綺麗なディスプレイと言う意味ではなく、実際にプラズマを利用した技術である。
極々簡単に言ってしまえば原理は蛍光灯と同じ。画面となるガラス板の後ろには極めて細かい溝が掘られており、その中には蛍光物質とプラズマ化させるためのガスが封入されている。
この「溝」を、光の三原色である赤・緑・青の3色分を交互に敷き詰め、両横の電極からこの「溝」に電圧をかける事でガスをプラズマ化させ蛍光物質を光らせて画面を表示するという仕組み。
自然界で見られるプラズマ
基本的に光る気体はプラズマである。
- 雷
- 空気中などを電気が走る放電現象そのものが一種のプラズマ。放電とは単に電気のエネルギー(=電子)が移動しているだけではなく、飛び出した電子が空気中の物質に衝突してはプラズマ化させ、放出された電子や原子核が他の原子に衝突してさらにプラズマ化させたり、他のプラズマとくっついて元の原子に戻ったりを繰り返している状態である。(だからこそ空気中で発光する)また、プラズマ化によって一時的に大気中に自由電子が漂っている状態になるため、空気中に電気が流れる事になる。
- オーロラ
- オーロラは、簡単に言えば「太陽風」と呼ばれる宇宙から降ってくる粒子の波が地球の大気圏内に侵入し、大気原子と衝突してプラズマ化することにより発光するもの。
- 炎
- ライターやガスコンロ、焚き火やマッチなどの火もプラズマの一種である。そのため、炎に電圧をかけると電流が流れる。
関連動画
関連商品
関連項目
- 科学
- 物理学
- 固体 - 液体 - 気体
- プラズマ(がんばれゴエモン)
- プラズマ団
- ぷらずま(艦これ)
- 14
- 0pt
- ページ番号: 4414749
- リビジョン番号: 2007191
- 編集内容についての説明/コメント: