ベンヤミン・ネタニヤフ(1949~)とは、イスラエルの男性政治家である。
概要
イスラエルの第20代首相(2022~)。リクード党首(2005~)。
過去にも第13代(1996~1999)と第17代(2009~2021)の首相も務めている。
筋金入りのシオニストにして、反パレスチナを一貫して掲げる強硬派の極右政治家として知られる。
経歴(出生~第一次ネタニヤフ政権後)
1949年、シオニスト活動家でユダヤ史学教授の父ベン=シオン・ネタニヤフの次男として生まれる。
有名な親族には、1976年のエンテベ空港奇襲作戦で活躍したイスラエル国防軍の特殊部隊「サイェレット・マトカル」で唯一の戦死者として英雄に祭り上げられた兄ヨナタン・ネタニヤフが居る。
なお、この特殊部隊には若い頃のネタニヤフ本人も弟と共に所属していたことがあり、第三次中東戦争を始めとする60年代後半から70年代前半にかけての緊迫した中東情勢を前線で見て来た経験を持つ。
除隊後は少年期に一時期暮らしていたアメリカに再び渡り、MITやハーバート大学で政治学を学んだ後、数年ほどそのまま現地で就職した後にイスラエルへと帰国した。
イスラエルに帰国後は政治家としての師にあたるモーシェ・アレンスの勧めで政界入りし、大使館職員や国連大使を歴任した後に、1988年にリクードから総選挙に出馬し国会議員となった。
ネタニヤフが名を売る切っ掛けになったのはイツハーク・シャミール政権下で外務次官を務めていた時で、湾岸戦争において、ネイティブ並みの流暢な英語と巧みな話術を活かしてイスラエルの事実上のスポークスマンを務め、実力ある有望な若手政治家として国内外から人気を集めた。
その後の総選挙でリクードが労働党に大敗してシャミール政権が倒れると、リクードの再建に貢献してその後の政権奪回に重要な役割を果たし、実質的な最高幹部としての頭角を露わにする。
1996年には、PLOの過激派による自爆テロに有効な対策が打てず退陣に追い込まれたシモン・ペレス政権に代わり、第13代首相に就任した。
ネタニヤフは穏健派のペレスとは逆にPLO最大派閥のファタハを率いるアラファト議長を明確に敵視し、和平プロセスの履行責任はパレスチナ側にあるとして、過激派の行動には断固とした対応を行った。
これによって第一次ネタニヤフ政権下では自爆テロが減り対テロ政策に具体的な成果を挙げることに成功したものの、自国有利の和平プロセスに拘り過ぎたことや汚職への関与を批判されて国民からの支持を失い、エリート層からも嫌われていたことが祟り、1999年の総選挙で労働党のエフード・バラックに大敗すると、退陣に追い込まれてしまうこととなる。
その後は汚職の追及から逃れるために一時的に政界から身を引くこととなる。
2000年代にバラック政権が対パレスチナ穏健政策の失敗で退陣に追い込まれると、強硬路線の必要性・正当性を主張しリクードを糾合して復権を狙ったが、政界からは事実上引退していたネタニヤフは既にリクードの実権を握って党首となっていた穏健派のアリエル・シャロンの妨害に遭い、成果は議員への復職のみに留まった。
ところが、今度はシャロン政権が身内の穏健派からも反発を招くような強引なガザからの全面撤退を掲げて支持を失ったのをチャンスと見て、ネタニヤフは造反した反シャロン派や強硬派と共にシャロン政権の打倒を目指し、苛烈かつ執拗な批判を展開した。
しかし、それらの行為が裏目に出てネタニヤフまでもが批判されるなど、いろいろな事情が重なって結局ネタニヤフ自身も十分な支持を得られなかったことから、シャロンを筆頭とする反ネタニヤフ派の集団離党によってリクードは分裂状態に陥ってしまう。
その後、2005年にシャロンの離党で空席となったリクードの党首に就任。
リクードからの離党者が中道派の党員やその票ごと奪って新政党「カディーマ」を結成したことから、大幅に規模を縮小したリクードは苦戦を強いられる。
更に、ネタニヤフがぶち上げた経済政策が批判にさらされるとリクードの支持は更に落ち込み、2006年の総選挙で結党以来最悪となる歴史的敗北を喫し、党首の座を脅かされる局面もあった。
しかし、分裂はネタニヤフやリクードにとって害ばかりではなく、対立の多かった中立派・穏健派がこぞって抜けたことで党内が強硬派で一本化・純化され、一致団結が容易くなったのである。
過激な行動でシャロンに敗れたことを反省してか、その後のネタニヤフは右寄りの政策や強硬路線を堅持しながらも、カディーマのエフード・オルメルト首相が失政しても闇雲に批判せず、その政策の賛同できる部分は賛同して支持の姿勢を崩さないなどの度量の広い対応で国民の支持を徐々に回復していった。
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