「リトル・ショップ・オブ・ホラーズ(Little Shop of Horrors)」
とは、1960年に公開されたアメリカの映画。
1981年にミュージカルになり大ヒット。
さらに1986年、ミュージカル版をベースにリメイクされている。
概要
「B級映画の帝王」ことロジャー・コーマンが製作したホラー映画の体裁を借りたブラックコメディ。
つまり、まごうかたなきB級映画である。
予算12,000ドル・撮影期間2日という驚異の低予算とスピードで作られ、セットは別の映画で使用されたものをそのまま流用しているという徹底ぶり。
公開当初こそ当たらなかったが、突飛なストーリーとブラックな笑い、(ぶっちゃけキチガイしかいない)強烈なキャラクターによりじわじわと人気が出てカルト映画となった結果、余裕で製作費を回収できたという。
1982年にはミュージカルとなり、ニューヨークのオフ・ブロードウェイで初演。
作曲のアラン・メンケン、作詞のハワード・アシュマンのコンビによる名曲が揃っており、ゴスペルやロック調のノリの良いナンバー、そして相変わらず頭がおかしいキャラクターやストーリーによって人気が高く、たびたび上演されている。
このミュージカルをベースにした1986年のリメイク版では、監督に「セサミストリート」「ダーククリスタル」で知られるフランク・オズが抜擢。豪華なキャストにスタッフ、本当に生きているかのように動くクリーチャーデザイン、多額の製作費を使って撮影された。
しかしラストがハッピーエンドに改変されており、ぶっちゃけ面白いのは1960年版の方とする意見が多い(後日発売されたディレクターズカットでは、バッドエンドも見られる)。ミュージカルのヒットナンバーもあり、決して悪い作品ではないのだが、本編に関しては「毒が足らない」という批評を受けてしまった。あれでまだ足りねえのかよ。
なおコーマン御大に感想を尋ねたところ、「内容はさておき、予算に3000万ドルなんて掛けすぎ。収益率が悪くなるだけだ」とのこと。内容に触れずに数字で語るあたり、さすがは商売人である。
1960年版はパブリックドメインになっており、探せば無料で見る事が出来る。やったね。
ストーリー
スキッド・ロウ(貧民街)にある花屋の店員・シーモアは、優しいがドジで気の弱い男。怖い店長にこき使われる毎日だったが、店長の娘・オードリーに惚れていた為、辛く過酷な仕事に甘んじていた。
しかしドジなシーモアによる度重なる失敗にキレた店長は、遂にクビを宣言。クビになりたくなければ店の売り物になる珍しい植物を持ってこい、と言い渡す。
方々を探し、ようやくハエジゴクのような小さな植物を見つけたシーモアは、「オードリージュニア(ミュージカル・リメイクではオードリーⅡ)」と名前をつける。とにかくこれを大きく育てようとしたシーモアだったが、うっかり怪我をした手で触れると、その血を吸ったオードリージュニアが「腹が減った!メシを食わせろ!」と怒鳴り始めた。何とこの植物は人間の血を飲んで成長する、新種の植物だったのだ。
こうして一晩でオードリージュニアは大きく育ち、客寄せに珍しい植物を手に入れた店長はご満悦。大勢の客が一目見ようと店に押し寄せた為、調子よくシーモアの事を「我が息子よ!」などと呼ぶ。しかし僅かな血を飲んだだけのオードリージュニアは、すぐにはらぺこのシオシオになってしまう。
オードリージュニアを育てる為、貧血でフラフラになりながら自分の血を飲ませていたシーモアだったが、到底足りる訳がない。泣く泣くエサを探しに行った先で、不幸にも彼は人を殺してしまい……
余談
- 1960年版では、ドSの変態歯医者にいたぶられて大喜びするドMの変態患者を、若き日のジャック・ニコルソンが演じている。
リメイク版では、同役をビル・マーレイが好演。劇中屈指のブラックな爆笑シーンを展開する。 - ミュージカル版では、タイトルナンバーの「Little Shop of Horrors」、変態歯医者が患者を拷問まがいに治療しながら歌う「The Dentist」、本性を現したオードリーⅡによって歌われる「Mean Green Mother From Outer Space」などが人気。
特に「Mean~」はその後のリメイク版においてアカデミー歌曲賞にノミネートされ、高い評価を受けた。 - これをきっかけにして、メンケン&アシュマンのコンビはディズニーに抜擢。その後「リトル・マーメイド」の「Under the Sea」、「アラジン」の「A Whole New World」、「美女と野獣」の「Beauty and the Beast」などでアカデミー歌曲賞・作曲賞を次々と受賞。ディズニー長編アニメの黄金時代を築いた。
- ミュージカル版はバッドエンド(オードリーもシーモアもオードリーⅡに食べられ、地球を侵略されて人類が滅ぶ)だが、何だかんだで最後は笑って終わる感じになっている。やけっぱちとも言う。リメイク版公開の後は、そちらに準じたハッピーエンドで終わる事も多い。
- 日本でのミュージカル初演は1984年。主役のシーモアを真田広之が、ヒロインのオードリーを桜田淳子が演じ、話題となった。それ以来人気作品としてたびたび上演、好評を博している。
他にも西川貴教、山本耕史、DAIGO、相葉裕樹がシーモアを演じている。2020年、鈴木拡樹・三浦宏規のWキャストで上演予定。
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関連項目
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