ヴァン・ホーエンハイムとは、鋼の錬金術師に登場する人物である。
(2003年版には似た立場の存在としてホーエンハイム・エルリックが登場するが、設定が大きく異なる。)
概要
金髪に特徴的なあごひげを持ちメガネをかけている大柄な男である。その容姿はホムンクルス達を統率する「お父様」と非常に似ている(ただし「お父様」の方が老けている)。
正体は「ヴァン・ホーエンハイムという人間の形をした賢者の石」という存在である。ホーエンハイムという人間の肉体を核としているが、魂は膨大な量の魂を錬成して作られた賢者の石と融合している。そのため致命傷を受けても瞬時に再生し、年も取らない。ただ、肉体は人間であることに間違いないので子供に賢者の石の影響が出ることはない。
加えて「お父様」とは違って長い年月の中で己の中にある無数の魂と交流を続けた結果、自身の中にある全ての魂は人としての自我を取り戻しており、そのため例えこのエネルギーがホーエンハイム本体から分離していても彼らは自らの意志でそのエネルギーを放出し、石の錬成効果を発揮できるようになっている。
鎧を集めることを趣味としていて、家には多数の鎧コレクションが収められており、アルフォンスの体となっていた鎧もそのコレクションのうちの一つである。
基本的に厳つい顔に似合わずどこか飄々とした気さくな人間で超マイペース(そのせいか作中で分かっているだけで2回(本編開始前と本編中)行き倒れになっている)。だが、一方で常人を遥かに超えた長い人生を歩んできたがゆえどこか達観的で、後に妻となるトリシャと出会うまでは己の人生に関して半ば諦観にも似た考えを抱いていた。
後述の経緯からエドワードからは家族を捨てたろくでなしと思われていたが、実際には家族への愛情は人並み以上に強く、妻が亡くなったと聞かされた際には涙し、息子たちのためなら命も体も張れる至って真っ当な父親である。
本編開始前
出自は本編開始前、本編中では遺跡となっているクセルクセスが栄えていた時代まで遡る。当初は名前も持たず、「奴隷23号」と呼ばれてある錬金術師の下で働いていた。その錬金術士が創り出したホムンクルス(後の「お父様」)作成の際に自身の血を素材として提供しており、そのことで彼に気に入られ、「ヴァン・ホーエンハイム」という名前と様々な知識を与えられて奴隷からの脱却を果たす。しかし、野心を露わにしたホムンクルスが国土錬成陣によりクセルクセス全国民を賢者の石に錬成されてしまい、王や仲間などを失ってしまった。この際、血を分けた家族として錬成された賢者の石の半分を与えられ現在の存在となった。
その後は砂漠で行き倒れになっていたところをシンの行商隊に拾われ、シンで錬成術を伝えた(その後、この錬成術は錬丹術へと発展し、後に一連の行動はシンで「金人」「西の賢者」として伝説となっている)。
伝えた後は世界各地を放浪し、やがてアメストリスのリゼンブールで後にエルリック兄弟の母親となるトリシャと出会う。間もなく二人は結婚(ただしホーエンハイムには戸籍がないため事実婚である)し、エドワードら二人の子供にも恵まれる。しかし次第に自分が人外であることを再認識するようになり、トリシャとともに人として死ぬことを切願、お互い死ぬ時は一緒という約束を交わす。
以降は自分の体を元に戻すための研究に没頭していたが、その過程でかつて自分をこんな体にした「お父様」がこの国にいること、そして彼が再び行おうとしているクセルクセスを滅亡に追いやったあの計画の存在に気付き、それを阻止するために家族を置いて旅に出る(旅に出ている間にトリシャは亡くなってしまい、エドワードにはホーエンハイムの出奔が遠因だと思われ嫌われる原因の一つとなった。一方のアルフォンスはまだ幼く父親の記憶がないため会ってみたいと思っている)。
本編
その後はアメストリス中を旅しながら「お父様」の仕掛けている国土錬成陣を調べると同時に対話を終わらせていた体内の53万6329人分の魂とともにカウンターを作成していた(旅の途中に久しぶりに家へと帰ったら家がなくなっており、さらにピナコからトリシャが亡くなっていることを知らされた)。
「約束の日」の前にエドワードとアルフォンスに再会、これまでの自分の経緯と「お父様」の正体を明かし、エドワードの仲間たちとともに「約束の日」に臨む。
「約束の日」には当初単身で「お父様」に挑むが捕らわれてしまい、5人の人柱の1人として国土錬成陣の発動に利用されてしまう。しかし、前もって仕掛けたカウンターの発動で「お父様」を追い込み、「逆転の錬成陣」が発動するまでの間息子たちを「お父様」の攻撃から守っていた。その後不意打ちで仕掛けてきた「神」の力を手に入れたことによる強力な一撃からも守っていた。
「お父様」を倒すことには成功したが魂の残量が1になり、エドワードがアルフォンスを取り戻すための通行料として自分の命を差し出そうとしたが断られた(ここで初めてエドワードに「(クソ)親父」と呼ばれた)。エドワードが自分の力でアルフォンスの体を取り戻したのを見届けると二人の前から姿を消し、リゼンブールのトリシャの墓へ赴くと彼女の墓の前で安らかに息を引き取った。
関連動画
関連項目
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