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勤続疲労(きんぞくひろう)とは、長時間もしくは長期間に渡って働き続けることで蓄積された疲労により、能力やパフォーマンスが低下する症状。
特にプロ野球のリリーフ投手に多く、本項では主にそれについて記述する。
概要
「投手の肩は消耗品」という言葉がある通り、野球のピッチングという動作はそれ自体が投手の肩に負担を掛ける。そのため、プロ野球で長年に渡って一軍で活躍する投手、特に登板機会の多いリリーフ投手において発症しやすいのが勤続疲労という症状である。
これを発症すると、球速の低下やボールのキレの低下(奪三振率・被打率の悪化)、球威の低下(被本塁打の増加)、制球の悪化(与四球の増加)といった症状が表れ、投手は本来のパフォーマンスを発揮できなくなり、成績が悪化する。とりわけ年間50~60試合に登板、さらにそれ以上の試合数で肩を作ることになるリリーフ投手は、2~3年ほど一軍で活躍すると発症しやすくなる。先発投手でも、極端に完投や投球イニング数が多くなったりすると発症しやすい。シーズン中でも、極端に登板数が多かったり、連投が続いたりすると発症する場合が多い。
勤続疲労の厄介なところは、目に見える明確な故障ではなく、「投げられるけど調子が悪い」という状態が慢性的に続くことにある。一時の不調だと思って投げ続けていると、ずるずると不調から脱出できないまま故障してしまったり、そのまま選手生命が終わってしまったりする。
勤続疲労によるパフォーマンス低下を乗り越え、速球派から技巧派にスタイルを変えて復活した下柳剛のような例もあるが、多くの選手は数年の輝きだけを残して消えていくことになる。
勤続疲労やそれによる故障を起こしやすい基準としては、先発ではシーズン3000球、リリーフでは70試合登板などの説が一部で提唱されている。
……というのはあくまで冗談であり、「勤続疲労」という言葉は「金属疲労」のもじりである。潜在的な故障や加齢による能力の低下など、他の原因がある場合も多く、成績が悪化した選手が実際に勤続疲労でそうなったのかどうかは判らない。しかし数年間50~60試合登板を続けたリリーフがある年から急に成績を落とす例は実際多いため、ファンの間では特に若手投手の登板数が増えるとよく心配される。
近年はファンの間で人口に膾炙したためか、スポーツ紙などでも使われることがある。スポーツ関係以外では、ビジネス系の記事でも稀に使われていることがある。
またニコニコ動画では、航空事故を扱ったドキュメンタリー番組『メーデー!:航空機事故の真実と真相』関連動画において、事故原因としてしばしば金属疲労が登場するため、それを調査する「夜勤学者」(正しくは「冶金学者」)とセットでコメントネタとして登場する。特に、長時間労働によるパイロットの疲労が事故原因の場合に使われる。→フィクションじゃないのかよ!騙された!参照。
実際、長時間労働や連勤による疲労は、判断力や思考力の低下、咄嗟の行動の遅れなどをもたらし、労働者の作業パフォーマンスを低下させる。その状態で運転や操縦などの危険な作業を行えば、事故に繋がる可能性はぐんと高くなる。危険性のない作業でも、無理に働き続けるよりも一度まとまった休息を取った方が結果的に早く作業が終わる場合もある。人間に体力的な限界が存在する以上、適度な休息を取ることは重要であり、休息も労働のうちなのだ。労働者に充分な休息を取らせることは安全性と生産性の向上に繋がり、それを軽視して事故を招くのは経営者の責任と言えるだろう。
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