国家賠償法単語

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コッカバイショウホウ
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国家賠償法とは、行政法の一つである。

概要

々は日々の生活の中で、行政には必ず関わることになる。

毎日歩いているも、で走る行政が管理しているし、役所で手続きをしたり、時には落とし物をしたときなどで警察にお世話になることもあるだろう。

行政々が生きていく中で、くてはならないもので、日々民のために様々なサービス提供しているわけだが、時には誤ったことをしてしまうこともある。道路の整備不良があいていて、そのせいでが損傷したり、警察官からいわれなき暴言や暴行などを受けて民が損を被ることもある。

そのような時に登場するのが、この国家賠償法である。民は、この法律を用いることによって、国家に対して賠償をもとめる訴訟を起こすことができ、認められれば相応の賠償を受け取ることができるのだ。これは日本国憲法17条に定められている地方公共団体の賠償責任を、法律として具現化したものである。

全6条と短い法律だが、1947年の制定以来、多くの判例が蓄積されている。

似たような制度に「損失補償」があるが、補償はあくまで合法な範囲だが、やりすぎが認められたり、財産上の損失を被らせた場合に、相応の償を支払う制度である。例えばある都市開発で、周辺住民の土地を収用(買収)する必要が出てきた時に、土地の所有権のかわりとして評価額相当の償を支払ったりする場合にあてはまる。

国家賠償法は公務員違法行為によって他人に損を与えた場合に償うものなので、その点において注意が必要である。

誰に責任があるか

公務員が違法行為で民に損を与えた場合、まずなにが問題に成るかといえば責任所在である。

明治憲法においては、による賠償責任は予定されていなかった。これはだけでなく、アメリカ英国といった他の々でも同様で、「国家答責の法理」と説明される。「国王は悪をなし得ない」という法の示す通り、は過ちを起こさない存在であり、過ちを犯したとしても、それは執行した公務員個人の責任なので、は損賠償を行わないという理屈である。

しかし、想像がつくと思うが、公務員個人の財産では支払える額に限界があるし、十分な救済がなされないことは明である。過大な賠償を恐れるあまり、公務員の職務執行に支障を来す(萎縮効果)恐れもでてくる。

そこで第一次世界大戦後に、ドイツワイマール憲法国家の代位責任が明文化されたのをはじめとして、アメリカ英国でも第二次世界大戦後に、国家責任が認められるようになった。また、においても1917年に武田信玄ゆかりのある老が、機関車の煤煙によって枯死してしまったという事件において、の権利濫用を認めて賠償責任を命じた判例から、一部ではあるがによる不法行為責任を認めた事例がある(信玄旗掛事件)

代位責任とは、公務員個人にかわって、雇いである地方公共団体が賠償責任を負うという考え方であり、でもその説に則って国家賠償法が制定されている。但し、第1条2項においては、公務員に故意又は重過失があった場合において、又は地方公共団体償権を持つとされており、全に免れるというわけではない。

どこまで責任を追及できるのか

しかしいくら民が、に対して賠償責任を要できるとはいっても何でもかんでも認められるというわけではない。

例えば、ある法律によって損をうけた人が、当該法律の制定に賛成した国会議員に対して、国家賠償請を起こした事例においては、憲法違反だと明らかにわかっていながら、立法したなどの事情がなければ認められないとされている(最高裁昭和60年11月21日判決)、一方で、弁護士会の請に漫然と従って、前科及び犯罪履歴を政令指定都市の区長が報告した事例においては、な違法な行使として認められている(最高裁昭和56年4月14日判決)。

国家賠償法では、公務員による違法な行使を、損賠償請の重大な要件としている。これは、公務員民に対して何かをする(例 ○○がAに対して運転免許更新する)作為的な行為だけでなく、民からの要に対して公務員がなにもしない、権限を用いない(例 ○○が、Aに対して補助を交付しない)不作為に対しても及ぶとされている。

また、公務員についても、字義そのままというわけではなく、判例では広くとられている。

判例では

などといった、を行使しうる人々についても公務員の範囲内に入ると判断されている。また、勤務時間中でなくとも、制服を着用していたり、身分を呈示するなどの、客観的に見て、公務員として仕事をしているだろうとみなされる状態ならば、国家賠償法の範囲内であると考えられている。

公の営造物

国家賠償法では第2条において、道路建物防や公園などの公共施設などで、怪を負ったり、経済的な損を受けた場合においても、から損賠償を受けられるとしている。

公務員の違法行為に定めた第1条との最大の違いは、過失責任である点である。つまり、地方公共団体に過失がなくとも、設置したり整備した物の設置時や管理において、民に損を与えた場合は賠償を行わなければならないとされているのだ。

国家賠償法2条でしばしば大きな争いになるのは訴訟、すなわち防が決壊して周辺地域に浸が発生した場合におけるもので、決壊した防のうち、未修の部分は責任は負わないが、回収した部分については責任を負うとされている。

また、高知国道落石事故における判例では、たとえ防護措置を講ずるのに多額の費用がかかって、捻出に苦労するとしても、責任は免れないと示されており、それだけ国家賠償法2条の追及されうる範囲は広く、重いといえる。

相互保証

国家賠償法は基本的に日本国民を対にしたものと想定されている。

しかし、外国人被害者である場合であっても、その外国人において、日本人が同じような国家賠償を受けられるのであれば、この法律に基づく請ができるものとされている(国家賠償法6条)。これを、相互保という。

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