大丸(だいまる)とは日本の百貨店である。関西の優良企業の一つであり、利益率は百貨店業界でトップである。
本店及び本社は大阪市中央区心斎橋にあるが、現在は持株会社の関連子会社(大丸松坂屋ホールディングス)となっており、親元の持株会社は大阪でも松坂屋のお膝元の名古屋でもなく、森ビル系列なので東京に本社がある。
なお、京都市の四条通にある藤井大丸や宮崎県都城市にあった大丸は無関係。
概要
関西では知らない人はいないと言われるほど有名で、かつブランド力の高い百貨店であり、「孔雀の包み」が一定のステータスを得ている(かつては五山送り火の大文字にちなんだ意匠だった)。店舗も京都の四条烏丸、大阪の心斎橋・梅田、神戸の元町と一等地を押さえており、京阪神三都の都心部すべてに店舗を構える唯一の百貨店である。そのうち神戸元町店は三宮のそごうを追い抜き、地域一番店の座に君臨している。
また、心斎橋店は閉店したそごうの店舗を買い取り、長年の悲願だった増床を果たした(37000平方メートル→77000平方メートル)。阪急と阪神に圧され苦戦していた梅田店もグランフロントの好調などで調子を取り戻している。その他関西では小型店舗が芦屋などにある。
また、関西にある店舗を「~みせ」と呼びならわしている(後述する東日本の店舗は「てん」)。
創業地は京都の伏見であり呉服商「大丸屋」を開業。京都では「大丸さん」と呼び親しまれている。また、先義後利と呼ばれる顧客第一主義を掲げたことで、大塩平八郎からも「大丸は義商なり」と焼き討ちの対象から外された歴史がある。
西日本でも子会社が多く、博多大丸(天神にあり、博多大丸福岡天神店というカオスな名称となっている)、高知大丸、下関大丸、鳥取大丸などが残っている(高知大丸、下関大丸ともに県内の売上一番店舗であり、鳥取大丸も鳥取市唯一の百貨店。かつては米子市にもあった)。愛媛県にも今治と新居浜にあったが、いずれも新居浜、今治各都市の地盤沈下に加え、フジグランやイオン、ゆめタウンなどの郊外型店舗に客を奪われ閉店してしまった。
その一方で、東京駅前に東京店を構えているものの(観光客向けに菓子売り場や男性向け衣料を強みにしており、好調を維持している)、八王子大丸や町田大丸など他地域に進出しては失敗を続けたことで、イメージ戦略が下手といわれていた。その後も首都圏での大丸は今ひとつで、浦和や横浜でも進出に失敗している。
しかし、札幌駅前の大丸札幌店は大成功を遂げ、周囲のそごうや西武を閉店させるなど勢力図を塗り替えている。
また、浜松市の松菱跡地に進出する計画もあったが、地権者の一人がごねた挙げ句リーマンショックのせいで立ち消えとなってしまった。
鳥取大丸は2018年にJ.フロント リテイリングを離脱(経営再建のため新体制に以降)しており(契約により大丸の商号を使用継続)、2022年8月31日にその契約が満了することから商号を丸由百貨店に変更するとしている。
主な店舗
1000億円以上の店舗はないが、800億前後が3店、600億以上が3店、500億円が1店と粒は揃っている。
心斎橋店
持株会社になってからは本店ではない。心斎橋の商店街に構える大丸の主力店舗の一つであり、売上は大丸で1位だが、不動産事業にも注力し、売上より利益を重視しているため、年商840億円と難波高島屋には大きく差をつけられている。なお、大幅増床前でも、売り場面積3.7万平方メートルで売上1000億以上を叩き出していた。北隣りにはそごう大阪店があったが、後に大丸が北館とし、現在の心斎橋パルコとなっている。なお、ヴォーリズ設計の本館も老朽化と階層の暗さが指摘され、生き残りのために建て直すことになった。
梅田店
大阪駅に近接するサウスゲートビルディングに建つ。地上15階地下2階という全国で最も階層が多い百貨店でもあった(建物単位ではあべのハルカス近鉄本店タワー館の地上60階)、現在の売り場面積は6.4万平方メートルだが、梅田には最強の阪急うめだ本店が君臨しており、対抗してハンズを入居させたり、13Fに渋谷パルコの如くサブカルチャー関係の店舗を集めるなど専門店ビル化している部分もある。
神戸店
神戸市の都心エリア、元町にある地域一番店。売上は年間820億と、着実にそごう(現:神戸阪急)に差をつけており、心斎橋店を上回る年も出てきている。売り場面積は5.1万平方メートル。村野藤吾、ヴォーリズ設計という歴史的な建造物だったが、震災で損壊し、当時のイメージそのままに再建され、日本一美しい百貨店ともいわれている。
京都店
大丸創業地にある百貨店で、売り場面積は5.0万平方メートル。ヴォーリズ設計の瀟洒な建築であり、高島屋と並ぶ四条通の顔である。売上は680億円と高島屋には差をつけられており、京都駅の伊勢丹より低いが、「大丸さん」と呼ばれているなど年配層から根強い人気を誇る。
東京店
東京駅八重洲口の鉄道会館にあったが、グラントウキョウノースタワーに移転している。売場面積は4.6万平方メートルで、年商790億と関西の主力店舗にも迫る勢いがある。場所柄、メンズ向けと地下の土産物売り場が強く、元々関西資本であったことから、関西中心のテナントが多数出店している。
札幌店
札幌駅のJRタワーに立地する。売り場面積は4.5万平方メートル、年商651億と丸井今井から地域一番店の座を奪取し、札幌の勢力図を大通から塗り替えてしまった。
博多大丸福岡天神店
福岡市最大の繁華街、天神エリアに立地。売場面積4.4万平方メートル、年商548億円と福岡三越、博多阪急を上回っており、子会社ながら主力店と位置づけているほど。西日本新聞社渡辺ビルの煉瓦色の意匠が目を引く。かつては岡政という長崎地盤の百貨店だった。
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