男たちの挽歌(原題:英雄本色 /A Better Tomorrow)とは、1986年制作の香港映画である。
概要
それまで「コメディ」や「カンフー」のイメージが強かった香港映画界において、闇社会から逃げようとする極道の苦悩を軸としたシリアスな脚本と暴力描写、そしてド派手なガンアクションを押し出した異色作。現地のみならず世界中で大ヒットし、「香港ノワール」という路線を確立した記念碑的作品。ジョン・ウーの出世作となり、以後多くのヒット作を生み出すことになる。
正式な続編として『男たちの挽歌II(英雄本色II / A Better Tomorrow II)』、前日譚の『アゲイン/明日への誓い(英雄本色III 夕陽之歌 / A Better Tomorrow III)』、別シリーズとして『男たちの挽歌4(新英雄本色)』が制作されている。
ちなみに『男たちの挽歌 外伝(廟街故事)』と『男たちの挽歌・烈火之章(新喋地雙雄)』は似たような邦題がつけられただけの別作品である。
ストーリー
香港マフィアの幹部として偽札製造に関わるホーには、警察訓練校に通う弟のキットがいた。ホーは自身の仕事を知らない弟のために足抜けを考えるが、最後の仕事に向かった台湾で罠にはまり、警察への自首を余儀なくされる。香港に残ったホーの親友マークは、ホーをハメた一同を単身襲撃するが、右足に重傷を負ってしまう。
3年後。香港に帰ってきたホーは、兄の前歴のため警察内で冷遇されるキットから絶縁を言い渡される。弟との和解を望みカタギになろうとするホーだったが、新たなマフィアのボスに成り上がった弟分・シンと、今や雑用係にまで落ちぶれたマークと再会し、彼らから再び裏社会への誘いを受ける──
登場人物
- ホー(ティ・ロン)
- それまでの己の生きざまを後悔し、真人間になろうと苦悩する主人公。チョウ・ユンファが有名過ぎてあんまり目立ってないが、メインの主人公はこの人。
- キット(レスリー・チャン)
- 兄への失望から一転して憎悪を向ける、若き刑事。当時アイドルから本格的な俳優路線に進出していたレスリー・チャンが演じる。チャンは主題歌『當年情』の歌唱も担当。
- マーク(チョウ・ユンファ)
- 燃える偽札をライター代わりにタバコを吸うカットがあまりにも有名な3人目の主人公。血気盛んなお調子者だが、友情と仁義に厚い好漢。ベレッタ92FとFNハイパワーを愛銃とする。彼を主役とする『アゲイン』ではベトナム戦争帰りであることが判明する。
- ジャッキー(エミリー・チュウ)
- キットの彼女で、後に刑事になった彼と結婚する。チェリスト志望のそそっかしい女の子で、本作の数少ない(というか唯一の)コメディ要素を担う。
- シン(レイ・チーホン)
- 映画序盤では気の弱い後輩マフィアだったが、3年後にはホーの後釜として冷徹な大幹部に成長した男。恩を受けたマークを顎でこき使い、恩人のホーにも高圧的に接するわかりやすい悪役。
- キン(ケネス・ツァン)
- 香港に帰ってきたホーを雇った、前科者たちが集うタクシー会社の社長。更生しようとするやくざ者たちを温かく支える。
後発作品への影響
ジョン・ウー監督は本作の作成にあたってフレンチ・ノワールや日本の仁侠映画から多大な影響を受けたが、本作も後世のアクション映画に多大な影響を与えることになった。
ウー監督の代名詞となる「スローモーションカットを挟んでとにかく弾を大量に使うガンアクション」はさまざまな作品でオマージュされた。オマージュ作品として代表的なものとしては映画『マトリックス』や漫画『BLACK LAGOON』、アニメ『カウボーイビバップ』、ライトノベル『博多豚骨ラーメンズ』などが挙げられるだろう。
一年前に米軍制式拳銃となったベレッタ92の人気を押し上げた作品でもある。
関連動画
関連静画
関連項目
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