深夜とは、真夜中のことであり夜も更けてきた時間帯の事である。具体的には午前0時前後から午前5時辺りまでを指すが、場面によってその時間帯は異なる。一般的には仕事や遊技場・交通関係など外出活動に関係するときは早いもので夜10時以降、遅いものでは風俗業で夜12時以降と規定されている。一般的に「深夜営業」と言われるのは夜10時以降であるが、青少年の外出禁止やアルコール自販機などの深夜販売の制限は夜11時からと規定されている。これに対してテレビ・ラジオ業界や就寝など在宅時の生活時間に関係するときは概ね夜11時~午前0時を過ぎたあたりからが深夜と認識されている。一方、終了時間は午前4時~5時頃でという認識が多いようである。
参考までに、NHKの「放送文化研究所」における調査結果としては、「深夜」とは午前0時~3時あたりを指す言葉であるという認識が最も多く、「夜中」は午後11時~午前3時といった「深夜よりは若干広い時間帯」、午前2時~5時は「未明」という表現が一般的に認識されている、との報告がされている。
概要
深夜とは、地球が自転した時に太陽から一番離れた状態付近に来ることを漠然と指す言葉である。夜更け・丑三つ時とも。日本が深夜だからと言って他の国が深夜とは限らない。
深夜は次の日に仕事や学校が朝早くからある人は眠っている事が多い時間帯である。しかし、深夜になると逆に活発に活動する人もいる。
深夜のあれこれ
深夜営業
深夜の時間帯は法律で営業なども規制されている事も多い。これは普通の人は寝る時間帯なのに起きてゴソゴソされると警察でも手に負えないこともあるからだと思われる。ゲームセンターなどはフーゾクエイギョーホーなる破廉恥行為禁止法があるため、エッチな店では無いのに取り締まりに遭う。
ラジオ
日本のラジオ放送は1960年代から終夜放送が始まった。1960年代後半から受験勉強などに勤しむ学生や深夜勤務中の若年労働者などに向けての番組が流されるようになり、全国で数々の深夜番組が生まれた。1967年、今なお続く長寿番組である「オールナイトニッポン」(ニッポン放送)がスタート。テーマ曲である「BITTERSWEET SAMBA」は深夜放送を象徴する楽曲としても親しまれている。
この影響から、長らくラジオの深夜放送と言えば若者向けというイメージがつきまとっていた。
1988年の昭和天皇の容態悪化によりそのニュースを伝えるため急遽終夜放送を行ったNHKラジオが、この放送形態をヒントに1990年から「ラジオ深夜便」をスタートさせる。これが中高年層に受け、それまでほとんど無視されていた新しいリスナーの掘り起こしに成功した。
深夜も深まった午前3時にもなると、いわゆる長距離トラック運転手向けのリクエスト番組も登場する。ちょうど深夜と早朝を繋ぐ時間帯でもあり、日も昇らないうちから働く漁師や市場関係者などもリスナーに含まれていることがある。現在も続く「走れ!歌謡曲」(文化放送)、惜しまれながらスポンサー撤退により終了した「歌うヘッドライト」(TBSラジオ)が代表的番組に挙げられる。
テレビ
深夜といえばテレビも有名である。テレビ業界においては午後11時台を深夜に含める場合(広義の深夜番組)と含めない場合(狭義の深夜番組)とがある(→詳細は「全日」の記事を参照)。
午後11時台は全局合計視聴率が50%前後とプライムタイムよりは少し落ちるが比較的高く、約半分の家庭がまだまだテレビをつけている時間帯であるということから、広告業界においても平日のランチタイムや夕方6時台、休日の日中と同じ広告料金(特Bランク=プライムタイムの次に高い広告料金)が適用されており、その後30分のBタイムを挟んだ後、一気にCタイムへと落ちる午前0時半以降の番組(土曜のみ深夜1時=日曜午前1時までBランク料金が適用される)と比べても明確な差が設けられている(関東地区の場合。地方によってはこれとは区分が異なる放送局もある)。
テレビ業界の全局合計視聴率は午前0時の時点で丁度プライムタイムの半分くらいの数字となる。これは、23時~24時の1時間のうちに約半分の世帯がテレビのスイッチを切って、就寝するか落ち着くことを意味する。これくらいの時間が過ぎれば完全に深夜放送と言える理由の一つであると言えよう。
深夜テレビといえば、かつては「11PM」(日本テレビ・読売テレビ)、「トゥナイト」(テレビ朝日)、「ギルガメッシュないと」(テレビ東京)などお色気番組が主流であった。しかし、1980年代初頭の第二次オイルショックによる深夜放送自粛期間が終わった頃から「タモリ倶楽部」(テレビ朝日)、「オールナイトフジ」(フジテレビ)など、徐々に個性的な番組が登場するようになる。
現在ではサブカルチャーの宝庫とも言える状況であり、お笑いからアニメまでこの時間帯ならではの人気番組も数多く存在する。深夜で人気を得た番組がゴールデンタイム(19~21時台)やプライムタイム(22時台)に昇格した途端つまらなくなり、人気がなくなって早々に打ち切られる事例が多数存在する。もちろん、ゴールデンやプライム枠に昇格した後に長続きする番組も少なくないが、その多くは放送を続けるうちに番組の内容がゴールデン・プライムタイム向けのものに変わってしまい、深夜番組時代のファンから「ゴールデンに移動してからつまらなくなった」などと言われてしまう事例が多数見られる。中には(特番は別として)昇格を拒んだり、逆に昇格のオファーが来ないことで人気を維持する世渡り上手な人気深夜番組も存在する(「ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!!」「アメトーーク」など)が、むしろそちらの方が事例が少ない。また全国同時ネットで放送しなくてもいい枠がほとんどであるため、各地方局が独自に番組を制作し自由に流せる時間帯でもある。ここから伝説となる地方局制作番組がしばしば誕生し、逆に地方から全国区へ番組ごと進出する事例も少なくない(北海道テレビ「水曜どうでしょう」、朝日放送「探偵!ナイトスクープ」、読売テレビ「たかじんnoばぁ~」「鶴瓶上岡パペポTV」など)。
深夜番組では放映時間の告知の際に「毎週木曜日、深夜2時(または26時)」(=毎週金曜日、午前2時)など独特の表現がある。今でこそ夜も昼もなく番組を流すことも少なくないが、1988年9月以前はテレビ放送は必ず深夜に電波の送信を停止して放送休止する時間を設けており、放送業界においてはこの間の時間を日付変更のタイミングと定義していたからである。現代では24時間放送も珍しくなくなったため、日付変更のタイミングにやや曖昧さが生じる結果となっている(早朝にフィラーを放送する場合は、フィラー放送中が日付変更のタイミングと認識されている)が、そういったライフスタイルの変遷もこの表現から見て取れるのである。
しかしあまりにも深夜番組が定着してしまった現在では、本来深夜に放送される方が相応しい(子供向けではない)内容のアニメを朝早くに流すといった事態も起こり、そういった番組に対して「深夜33時~」(おとぎ銃士赤ずきん)などといった揶揄もある。
日本の深夜テレビ番組の編成の傾向
- 平日の深夜番組はNHK・日本テレビ・TBS・テレビ東京がニュース最終版、フジテレビ・テレビ朝日がバラエティ番組(一部ドラマやドキュメンタリー)枠から始まる編成となっている(TBSは22時55分頃からのフライングスタートを実施)。ただしフジテレビは30分のバラエティ枠の後にニュース最終版が始まるのに対し、テレビ朝日はニュースが終わった後に1時間枠の深夜番組が始まる編成となっている。
- 各局のニュース最終版が終わった後の午前0時台はほとんどの放送局が深夜バラエティ枠となる。深夜アニメの放送を待つ紳士方にとっては、しばらくの間の我慢の時間帯となる。また、関東以外では地方ローカル枠となる放送局が多い。
- その後、曜日にもよるが概ね25時前後から、いずれかの放送局で深夜アニメの放送が始まる。もちろん、それ以外のジャンルの番組の放送も多く放送されており、意外な掘り出し物が見つかったりすることも。
- 明け方近くになると通販番組やマイナー映画などで間を繋ぐ傾向が各局で見られる。そして、翌朝の早朝情報番組などへと繋がれていく。
日本テレビとTBSテレビでは自社系列のニュース専門チャンネルである日テレNEWS24とTBS NEWSを有していることから、この夜深い時間と早朝の情報番組までの間の時間に同時放送しており、両系列のネット局でもこれと同じ編成にしているところが2000年代以降増加している。 - 週末の23時台には各局ともバラエティ番組やドラマなど、報道以外の番組を編成している事例が多い。局によってはほとんどニュースを放送しない事例も見られる。テレビ東京では2013年9月まで唯一全国ネット・全日枠・深夜枠の全ての条件を満たすアニメ枠を土曜23時台に設定していたが、同年10月にアニメ枠から撤退している(後番組はサッカー情報番組「FOOT×BRAIN」)。2016年10月からはNHKで「3月のライオン」が前述のテレ東と同じ条件に当てはまる深夜アニメとして放送されている。
- TOKYO MXは独立局である強みを生かし、ネットワーク局とは異なる特色を持つ編成が組まれている。特にアニメの放送枠が際立って多い。週4日はゴールデンタイムまたはプライムタイム枠から始まるアニメ枠があり、概ねそのままの流れで深夜帯に突入するような番組編成が組まれているという特徴がある。その他の曜日も一部途切れる部分はあるものの、概ね同じでような流れである(2015年現在)。
アニメ
ここで「深夜テレビ」の中における「深夜アニメ」にも触れておきたいと思う。
深夜アニメといえば、原則的に「夜23時台以降に放送されるアニメ」のことである。1990年代後半から急速に増え始め、現在においては全日枠アニメと比肩する程のジャンルにまで発展を遂げている。
その起源を遡ると実はその歴史は意外と古く、1963年にフジテレビが水曜23時40分~55分の枠で小島功原作のアニメ「仙人部落」を放送しており、これが「日本最古の深夜アニメ」とされている(ただし深夜帯での放送は第8話までで、第9話からは日曜のプライムタイムに移行)。その後1作品を挟んで約20年間のブランクはあったが、1980年代後半から「レモンエンジェル」(フジテレビ)など深夜帯のアニメが制作・放映されてきた。しかし継続的に新作が製作されず、あくまで散発的に放送されたに過ぎなかったため、深夜アニメというジャンルの定着までには至らなかった。
1996年、「エルフを狩るモノたち」(テレビ東京)が深夜枠で放送される。これが現在まで続く新作深夜アニメの原点とされている。また、1997年に「新世紀エヴァンゲリオン」が深夜帯で再放送されたところ大反響があり、これ以降少しずつマニア層向けの深夜アニメが増え始め、2000年代に入ると一気に急増していき、現在に至る…と言うわけである。
余談であるが、「深夜アニメ」の定義において一部曖昧なところがあり、一般的に「過去にネットワーク局において放送された夜22時台のアニメは深夜アニメには含まれないが、独立UHF局における夜22時台放送のアニメは深夜アニメに含まれる」と解釈されるという、ある種の矛盾(ダブルスタンダード)が生じている。
これは、深夜アニメがUHF局において重要性の高いコンテンツであると認識され、放送本数が増えて行く過程において、(特にTOKYO MXが)深夜帯にとどまらず、夜22時台にも深夜向けアニメの放送枠を多く設定したことに一因があるものと考えられる。放送されるアニメの内容や性質、放送形態、また放送枠が夜23時台~深夜0時台…へと向けて一体となっている等の条件から、「深夜アニメ番組の一覧」などのまとめ記事を作成するに当たっては深夜帯のグループに括った方が明らかに収まりが良いので、そういう意味合いにおいては「現在における夜22時台アニメを「深夜アニメ」の一種とする、という解釈は、便宜上の面から見てある種必然的なものとも言えよう。
一方、テレビ東京系で2000年に放送されたテレビアニメ「ラブひな」は、放送時間こそ22時28分~22時54分であったが、フルネット枠(ネットワークセールス)を実施し、明確な放送期間を設けない(クール制ではなく、視聴率の動向などにより放送継続か打ち切りかを決定する)など、その手法はゴールデンタイム(全日帯)のアニメと同様であったことから、当作品は「全日帯アニメ」に区分されるものと解釈されている。
参考までに、放送枠としての22時台はTVCMのセールスにおいては広告料金が最も高い(=ゴールデンタイムと同額の)Aタイムに当たるため、「深夜番組」には該当しない。
独立UHF局の深夜アニメの話題を語る際には、この点を押さえておく必要がある。
インターネット
ネット社会においては、多くの人が昼間学業や労働に勤しんでいることから、活発な時間は夜から深夜になる事が多く、インターネットの利用率は午後10時頃にピークに達する。これに前後2時間を加えた午後8時~午前0時が「インターネットのゴールデンタイム」と言われており、テレビのゴールデンタイムと比べるとちょうど1時間後ろにズレた格好となっている。
インターネット普及期であった1990年代、まだダイヤルアップによる低速度回線による接続、また通信料も定額制ではなく従量課金制が一般的であった。これに目をつけたNTTにより、午後11時から翌朝8時までの深夜・早朝の時間帯に限りアクセスポイントまでの電話通信料を定額で提供する「テレホーダイ」が登場した。
それまで無かったパソコン通信向けの定額サービスは爆発的に普及し、最盛期にはサービス開始時間の午後11時前後にアクセスが集中して繋がりにくくなる現象があった。
その後はISDNやADSLなどの常時接続の普及、プロバイダーの接続料の定額化により利用者は減少したが、現在もこのサービスは提供されている。
深夜でも動く街
深夜だからこそ出来る仕事もある。工場の夜勤といったオーソドックスなものから鉄道会社なら線路の保守点検といったものもある。バーなどは深夜遅くまでやっていることも少なくない。なお、泥棒、空き巣や強盗などは、深夜のみならず日中にも多く発生している。
また、昨今では生活事情に併せて24時間営業のサービス業も広く一般化しており、多くの交通機関が休止してしまう等の不便さはあるものの、買い物、食事、労働など、様々な事が深夜でも行えるようになっている。
関連項目
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