JR東日本EV-E801系電車とは、東日本旅客鉄道(JR東日本)が運用している交流型蓄電池電車である。
概要
2015年11月20日、JR東日本秋田支社が、非電化区間で運行している気動車のエンジンから発生する排気ガスの解消や、二酸化炭素・騒音の削減を目的として、男鹿線(愛称:男鹿なまはげライン)に新型車両を導入することを発表(■)。
同社宇都宮支社では、2014年3月に烏山線へ直流型蓄電池電車「EV-E301系」(愛称:ACCUM(アキュム))を導入しており、その後を追う形として2017年春の導入を予定していた。
愛称こそEV-E301系と同じ「ACCUM」と発表されているが、烏山線から直通する宇都宮線が直流電化なのに対し、男鹿線から直通する奥羽本線が交流電化であるため、車両も当然のことながら交流用にする必要がある。
そこで、九州旅客鉄道(JR九州)が投入している架線式蓄電池電車(後にBEC819系電車,愛称「DENCHA」と命名)をベースに、耐寒耐雪構造等のカスタマイズを行った上で、性能評価や技術的検証を行った後、男鹿線に導入する予定とした。
電化区間(秋田駅~追分駅間)では通常の電車と同様に架線から集電し走行する。追分駅でパンタグラフを下ろし、蓄電池に充電した電力を利用して男鹿駅まで走行する。また、回生ブレーキによって発電された電力も蓄電池へ充電する。男鹿駅に到着したら構内に設置された剛体架線によって急速充電する。
2016年12月9日から12月11日にかけて、第1編成(G1編成)が日立車両製作所から秋田車両センターへ甲種輸送された。
その後、12月中旬から年明けて2017年1月まで奥羽本線内で公式試運転、2月に男鹿線内での公式試運転、2月25日と2月26日には試乗会と展示会が行われた。
そして2017年3月4日ダイヤ改正より営業運転を開始。2021年3月13日ダイヤ改正より男鹿線の全列車に投入された。
車両概要
- 外装:「なまはげ」の赤鬼と青鬼をイメージし、男鹿側は赤色、追分・秋田側は青色に塗色。車体前面と側面に「ACCUM」のロゴと、なまはげをデザインした「OGA NAMAHAGE LINE」のエンブレム。
- 内装:座席はオールロングシート(後述)。JR九州の車両がベースになっているため椅子のデザインはそちらに近いものになっているが、優先席のモケットはJR東日本のものになっている。
- 液晶画面(LCD):EV-E301系と同じく、蓄電池電車の走行のしくみを解説するモニタが設置されている。料金表はLCDであるが、扉真上へは未設置(準備工事もなし)。
- 表示幕:前面表示・側面表示ともに、JR九州の車両にありがちなドでかいLED幕が設置されている。
- ドアチャイム:BEC819系ではJR東日本(719系,701系等)と同じ音色のドアチャイムが流れていたが、EV-E801系では何故か名古屋市営地下鉄の車両と同じ音色のドアチャイムが流れる。試運転中の列車を撮影した動画からは前者のチャイムが聞こえていた気がしたが、なぜ変更されたかは不明。
EV-E801 Mc |
EV-E800 T'c |
|
定員(人) | 129 | |
最高速 (km/h) |
110(電化区間) |
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座席配置 | ロングシート | |
トイレ | 有 | |
蓄電池 | - | Li-ion電池 1598V 360kWh |
EV-E801系のQ&A
以下、EV-E801系のことを指す場合は「当形式」とする。
- Q.デザイン担当はもしかして水戸岡鋭治?
A.そう思われるかもしれないが、実際には違う。ただし、氏が代表取締役を務めるドーンデザイン株式会社の社員ではある。 - Q.デザインが派手すぎじゃね?他の車両と並ぶと浮いた存在にならない?
A.秋田駅は既にE6系(こまち),E653系1000番台(いなほ),E751系(つがる),HB-E300系(リゾートしらかみ)といったカラフルな車両群が発着する駅となっているので、そこまでではない筈。 - Q.新型車両を導入するのは構わないが、E235系やE353系といった前例があるので不安でしかない…。
A.E235系はソフトウェアの設計ミスとTASCの調整ミス、E353系は量産先行車で元々営業運転の予定はない形式なので、不安に思うほどのことではない。そもそも、当形式はJR九州が中心になって開発した車両であるので、何かしらのトラブルがあればそちらに原因があることになる。 - Q.ローカル線でオールロングシートかよ!701系で何も学ばなかったのか?
A.男鹿線は通勤通学ラッシュの時間帯はそれなりに混雑する路線であり、09年3/14ダイヤ改正以前まではキハ40系7両編成での運行がされていたほど。当形式が将来その時間帯の運用に就くことを考えれば、ロングシートでないと定員不足になりかねない。 - Q.将来的には男鹿線の使用車両も全てEV-E801系に置き換えられるの?
A.烏山線では当形式の営業運転開始日と同日にEV-E301系に全て置き換えられたので、恐らく…。男鹿線のキハ40系は烏山線のそれほど派手なデザインではないが、撮影や乗車の記録をするならお早めに。
関連動画
関連項目
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