イゼルローン回廊帝国寄り宙点における戦闘 単語

イゼルローンカイロウテイコクヨリポイントニオケルセントウ

2.9千文字の記事

イゼルローン回廊帝国寄り宙点における戦闘とは、「銀河英雄伝説」の戦闘の一つである。

概要

宇宙798年/帝国489年1月下旬、イゼルローン回廊帝国領側の地帯を警備していた自由惑星同盟軍と、同様にイゼルローン回廊方面を警備中ゴールデンバウム朝銀河帝国軍とのあいだに生起した戦闘

衝突した両軍の戦力はともに行動中の中規模部隊であり、実態としては偶発的な紛争の大規模な一例にすぎず、戦闘そのものは戦略的価値を持たなかった。

なお、この戦闘を示す明確な名称が存在しないため、当記事では便宜上の名称として「イゼルローン回廊帝国寄り宙点における戦闘」と称している。

背景

宇宙796/帝国487年のアムリッツァ星域会戦ののち、帝国と同盟の両国はそれぞれに内戦リップシュタット戦役救国軍事会議のクーデター)に突入したため、翌797/488年を通して両軍のあいだに戦闘が生起することはなかった。

しかし、両国の間の交戦状態そのものは依然として続いており、同盟のを守るイゼルローン要塞にはクーデター鎮圧を終えたヤン・ウェンリー大将率いる要塞駐留艦隊が取り、両軍の勢力範囲が接触するイゼルローン回廊帝国領側宙域では両軍部隊日常的に行動を実施する状況であった。

両軍の戦力

同盟軍側の戦力は、イゼルローン要塞駐留艦隊隷下のダスティ・アッテンボロー少将揮する分艦隊(旗艦は戦艦<トリグラフ>。分艦隊主任参謀ラオ中佐)で、兵力は大小2200隻。要塞駐留艦隊は前年の救国軍事会議のクーデターによる軍全体の消耗のあおりで多数の戦闘経験者が転出して新兵の補充を受けており、アッテンボロー分艦隊も多くを占める新兵の大規模訓練を兼ねてに出ていたものであった。

対する帝国部隊アイヘンドル少将揮していた。同部隊はイゼルローン回廊方面の警備責任者であったカール・グスタフ・ケンプ大将の隷下にあり、同盟軍側の推定値では戦艦200~250隻、巡航艦400~500隻、駆逐艦1000隻、宇宙母艦30~40隻から構成された。

戦闘経過

宇宙798年1月下旬、上記の通り訓練航をかねてイゼルローン回廊帝国領側を中であったアッテンボロー分艦隊は、索敵システムに捕捉した1000隻を越える未確認艦群を帝国軍艦隊と推定。報告を受けたアッテンボロ少将より訓練中止・第二級臨戦態勢が発される。これと同時に分艦隊前部では敵の接近を示す通信波の混乱発生が認識され、分艦隊は約50分後の接敵をして戦闘配置へと移った。

同盟帝国の両軍とも、事実上の地帯における日常的な行動を行っていたにすぎず、ほんらい積極的な交戦の意思はなかった。会敵の可性自体もごく低いとみなされており、相互に相手の予想を越えて前進していた結果、偶発的な接触と交戦に至ったものだった。

戦闘の進展

1月22日、同盟軍が回廊FRポイント定した宙点において両軍は交戦に突入する。兵員の多くが新兵で構成される同盟軍アッテンボロー分艦隊は最初から訓練中の人員をも戦闘要員に含む、いわば「“ボーイスカウトの集団”を揮する」状況であり、救援の到着まで最小限の損で持ちこたえる持久的戦術を選択せざるをえなかった。

両軍の戦闘帝国軍側の優勢で進められた。しかし帝国軍は、相手がヤン大将麾下の同盟軍最精鋭部隊であるにもかかわらず、スパルタニアン・パイロットをはじめとする兵員の練度が奇妙に劣悪であることを疑問視しはじめた。一級の用兵と知られる帝国指揮官アイヘンドル少将も、この疑念と“魔術師”ヤンの名への警のため、急進せず慎重な、結果的には優柔不断ともいえる戦闘揮に終始することとなる。

こうした帝国軍の姿勢は同盟軍にとっては意外なものだったが、戦線の維持を助けることにもなった。しかし同盟軍が兵員の練度に致命的な弱点を抱えているという事実は当然変わっておらず、帝国軍に感づかれれば極めて危険な問題としてアッテンボロ少将を精神的に圧迫しつづけた。

同盟軍の援軍

いっぽう、アッテンボロー分艦隊から急報を受けたイゼルローン要塞では官ヤン大将のもと軍幹部の会議が開かれ、異論なく可及的速やかな援軍派遣が決された。またその規模と行動についても、官顧問を務める客員提督ウィリバルト・ヨアヒム・フォン・メルカッツ中将待遇)の進言もあり、駐留艦隊全戦力をもって戦場急行し、帝国軍に一撃を与えて撤退することに決定する。

ヤン大将が直接揮する同盟軍側増援は戦闘開始から9時間後に戦域に到着し、1万隻以上という圧倒的な規模によって帝国軍側に強い衝撃を与えた。遠からず来着するであろう帝国軍側増援も規模で同盟軍側に劣ることから、これ以上の戦闘続行は自部隊と増援の各個撃破を招くのみであると判断したアイヘンドル少将は、艦隊を先導して速やかな退却に移った。

この時点で、同盟軍増援部隊はアッテンボロー分艦隊を救援するという出動的を戦うことなく達成した。撤退する少数の帝国軍を意味に追撃することは避け、あらためて監視衛星電波継衛を配置し、味方の収容と応急修復が了し次第、こちらも要塞へと撤収することとなった。

影響

戦闘帝国軍の退却というかたちに終わったが、先述のようにこの戦闘戦略的価値のない局地的・偶発的な遭遇戦にすぎないもので、当然勝敗の戦略的・外交的意味は小さかった。責任者のケン大将帝国軍最高ラインハルト・フォン・ローエングラム元帥に謝罪しているが、「いちいち陳謝は用」と赦されている。ただし、つづく同年4月第八次イゼルローン要塞攻防戦要塞対要塞戦)の指揮官人選にあたっては、ケン大将が部下の敗戦の辱を望んでいたことが若干を与えることとなった。

同盟軍側では、この戦闘を受け、行動には用心を要すると判断された。帝国軍も同様に判断しているだろうと考えられていたが、第八次イゼルローン要塞攻防戦が発生すると、むしろ遭遇戦はこの要塞戦の前触れだったとみなされることとなった(実際には遭遇戦後の計画立案であり、直接の関係はない)。

関連動画

関連商品

ニコニコ市場は2023年11月に終了しました。
篇第一章「初陣」にて描写されたが、ストーリーは章題のとおり、母艦<アムルタート>乗組のスパルタニアン・パイロットとして初陣を戦うこととなるユリアン・ミンツ視点をおいている。

ニコニコ市場は2023年11月に終了しました。
石黒監督OVAでは第27話「初陣」において収録されている。

関連項目

この記事を編集する

掲示板

おすすめトレンド

ニコニ広告で宣伝された記事

記事と一緒に動画もおすすめ!
もっと見る

急上昇ワード改

最終更新:2025/12/21(日) 10:00

ほめられた記事

最終更新:2025/12/21(日) 10:00

ウォッチリストに追加しました!

すでにウォッチリストに
入っています。

OK

追加に失敗しました。

OK

追加にはログインが必要です。

           

ほめた!

すでにほめています。

すでにほめています。

ほめるを取消しました。

OK

ほめるに失敗しました。

OK

ほめるの取消しに失敗しました。

OK

ほめるにはログインが必要です。

タグ編集にはログインが必要です。

タグ編集には利用規約の同意が必要です。

TOP