スナイパー小屋 単語


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スナイパーゴヤ

5.1千文字の記事

スナイパー小屋とは、

  1. サバイバルゲームフィールドサバイバルゲームを楽しむために整備された施設)に作成されることがある、スナイパーが立てこもるための小屋。一見有利に見えるが、死から近づかれてグレネードを放り込まれるリスクもあるらしい。
  2. 2022年7月8日に起きた安倍晋三射殺事件に関して、「安倍晋三総理を暗殺した真犯人であるスナイパーが潜んでいた小屋」だとして喧伝されたなにか。

上記2.の用法は、「逮捕された山上也容疑者以外の真犯人が居るのだ」と堅く信じ込んでいる陰謀論者の人々の間で2022年8月16日話題になり始めたもの。それまでは1.の用法でしか使われていなかった言葉である。

とは言え、1.についても「どこにでもあるメジャーなもの」というより「ごく一部のサバイバルゲームフィールドで設置してあるもの」でしかなく、Twitter上で"スナイパー小屋"という言葉を2022年8月15日までの期間で検索してみてもexitたった22回しか言及されていない、マイナーな言葉だった。

2.の用法が広まった経緯

安倍晋三総理を殺した犯人である山上也容疑者は現場ですぐに取り押さえられてそのまま現行犯逮捕された。

だが、山上也が犯人であるとは納得できない人々、あるいは山上也が語る動機が事実であっては不快である人々などの間で、「山上也以外に真犯人が居るのだ」「山上也は真犯人を隠すためのスケープゴートであり、語る動機も信用できないものなのだ」とする論調が登場。

そして徐々に「山上也以外のスナイパーによる狙撃」説が彼らの間でまことしやかに囁かれるようになった。

2022年8月14日 YouTubeチャンネル「元気なおじい」

「スナイパー小屋」という言葉を使用してはいなかったが、そういったものについて言及していた最初期の例としては、YouTubeチャンネル元気なおじい」が2022年8月14日投稿していた以下の動画かと思われる。

この中で、動画視聴者から寄せられた情報として、報道動画を見ていくと事件現場付近の建物屋上にて「テントがあったがその後数時間で解体された」らしいことを伝えつつ、

そういったものテントからやる狙撃するポーズんだったら、日光からの照り返しとかね、あの、そういったものも防ぐことができるし、ちゃんとこう、じーっと狙撃するポーズできるよね。

と、「テントがあれば日光からの照り返しが防げて狙撃姿勢を保つのに有利だ」といった趣旨の事を話していた。

(だが、後述するファクトチェック結果を受けてか後に「メンバー限定開」設定としてメンバーしか動画を見られなくした上で、動画説明文

その後、多くの視聴者様情報提供により、ビルメンテ作業でした。
当初の予想通り、クソ暑い屋上スナイパーなんか出来ませんよ。(笑
スナイパー説は全否定の大勝利です。
皆さんも、妙な都市伝説に振り回されないように気をつけて下さいね

と書き足していた。この熱い手のひら返し速な保身は見習いたいものである。)

2022年8月16日 YouTubeチャンネル「FAMILY GROWTH家族の成長」

そして「スナイパー小屋」という言葉自体が登場するのは、「FAMILY GROWTH家族の成長」というタイトルYouTubeチャンネルを持っている「ドクターパパ」というハンドルネームの人物が、2022年8月16日に同チャンネル投稿した動画が最初のものであったようだ。

この動画では

安倍さんが撃たれたのはここですよねー。で私がスナイパー撃ったんじゃないかってのはここだったんですけどー、えー、ここ、このねー、建物のここに(笑)、そんなねー、簡易テントがあるなんていうのを見つけた方がいらっしゃるんですよスゴイですよねぇ。なぁんていう観察力でしょうフッ(笑)

と、事件現場を高所から映したニュース番組の映像を流しつつ、マウスポインタで位置を示しながら語っていた。

(ちなみに、動画タイトルの「スナイパー小屋」はその後に、後述するファクトチェック結果を受けてか「清掃業者の簡易倉庫」にしれっと変更されていた。)

Twitterでの拡散

そして、上記の「スナイパー小屋」を動画タイトルに含む「ドクターパパ」氏の動画について、「ドクターパパ」氏を称賛しつつ肯定的にTwitter拡散する人々が出てきた。中には1万以上の「いいね」や5000回以上の「リツイート」を集めているツイートもある。

さらに、ネット偽不明の情報検証不足のままに流してしまうまとめサイトとして有名な「Share News Japan」も、同動画についてサイト記事にまとめつつ、そのことをTwitterで宣伝。

評論家/翻訳の「白川」氏も「これが事実なら」と前条件をつけつつも「奈良県警より民間ユーチューバーのほうがはるかに優秀だといわざるをえない。」としてShare News Japanの記事を紹介した。

その他、お笑い芸人の「ほんこん」氏や東京都中野区議会議員「吉田康一郎」氏などがこの「Share News Japan」の記事をリツイートするなどして紹介していた。

2022年8月17日 インターネット放送局「文化人放送局」

2022年8月17日には、保守系のインターネット放送局「文化人放送局」の配信にてもこの「屋上テント」について取り上げられた。

文化人放送局」のMCである「加藤清隆」氏も、「スナイパー小屋」という単語自体は使用していなかったがこの「屋上テント」について、「これが本当なら驚愕の事実」などとツイートしていた。

疑問視

だがTwitter上では、この「スナイパー小屋」なる概念について否定的なも挙がっていた。

例えばライターの「dragoner」(別名義:石動仁)氏は「スナイパーを隠すために余計立つスナイパー小屋を建てると考えている人、どういう思考回路なんだろ」と、「立つ」という点から却下していた。

ファクトチェック

そんな中、ウェブメディアBuzzFeed Japan」(バズフィードジャパン)が2022年8月18日にこの「スナイパー小屋」についてファクトチェック事実確認)した記事を掲載した(記事執筆:相本啓太)。

確認方法は単純なもので、屋上に「スナイパー小屋があった」とされるビル「サンワシティ西大寺」の管理・運営企業「三和住宅」に取材したもの。

「三和住宅」はそれに答えて「排煙ダクトの清掃作業などにテントを使っていた」と説明しつつ、「悪質なデマを信じた人たちから『スナイパーがいた』などと電話も来ている。非常に迷惑しており、弁護士に相談のうえ法的に対処していくことを検討している」と語ったという。

ただし、「よほど都合が悪いらしい」論法で食い下がる人も居たようだ。

「このくらいで法的措置検討とか大げさでは?」といったも上がっていたようだ。しかし、スナイパー々に関する電話をかけられるなどの実質的な被害が起きてしまっている。

また、かつてアメリカ合衆国では「あのピザ屋では小児性愛者組織により児童へのおぞましい虐待が行われている」という陰謀論拡散されたことが原因で、そのピザ屋にを持った「正義感に燃える陰謀論者」が押し入った事件(※Wikipedia記事「ピザゲート」exit参照)が過去に実際に起きている。こういった過剰なエスカレートを防ぐためにも、「自社が管理する建築物に関する陰謀論期に法の場で白黒つけておくべき」という考え方もあるだろう。

謝罪

上記「Twitterでの拡散」節で触れた、この話を拡散してしまった著名人の中では、「ほんこん」氏は「この話は誤りであった」と判断して謝罪した。

他の陰謀論との親和性

この「スナイパー小屋」の話をTwitter上で拡散した人々について「彼/彼女らの多くが2020年アメリカ合衆国大統領選挙の頃にも「ドナルド・トランプに反対する勢力が大規模な選挙不正を行っている」といった話を広めていた」、という点について注する人も居た。

ちなみにその「選挙不正」の話が実際にはどうだったかについては「2020年アメリカ合衆国大統領選挙不正投票疑惑」のニコニコ大百科記事を参照されたい。

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