モキュメンタリー(英:mockumentary)とは、フィクションを元に作られるドキュメンタリー風の表現方法である。
由来は英語の「疑似」を意味する「モック(mock)」と、「ドキュメンタリー」を組み合わせた造語(かばん語)。
「フェイクドキュメンタリー」とも。
モキュメンタリーの手法はいつから始まったのか、正確には分かっていない。
モキュメンタリーが有名となったのは、1938年10月30日、ハロウィン特別番組としてアメリカのラジオ局が制作した『宇宙戦争』とされている。
H.G.ウェルズのSF小説を原作とし、オーソン・ウェルズによって制作。
『マーキュリー放送劇場』のバンド演奏の途中で臨時ニュースが入る。それはニュージャージー州グローバーズ・ミルの農場にUFOが着陸し、更に中から姿を現した宇宙人による虐殺と侵略が報じられるという内容だった。
「この番組はフィクションです」という断りは入ったものの、番組の冒頭と終了直前という微妙なタイミングだった。これを知らずに途中から視聴を始めた人々は「宇宙人の侵略が本物である」と錯覚、多くの人々がパニックを起こした。幸いパニックによる死者は出なかったが、ネタバレ後は激怒した連中が放送局に押し寄せ、ラジオ局にも抗議電話が相次いだという。
ただし近年では、これらの「パニック」は都市伝説だという向きもあり、当時メディアとして台頭しつつあったラジオを潰す為、新聞がこぞって「ウェルズのやらかし」を書き立てたとも言われている。
ともあれ、これによりオーソン・ウェルズは全米に一躍その名を轟かせる事となった。
各方面からめっちゃ怒られはしたものの、大衆の「影響のされやすさ」について言及したコラムによる擁護もあって、罪に問われる事もなく、訴訟も華麗に回避。『マーキュリー放送劇場』にはスポンサーがつくほどの人気番組となった。それから3年後に映画『市民ケーン』を発表して「新聞王」ランドルフ・ハーストを激怒させるのはまた別の話。新聞への意趣返しかな?
その後もモキュメンタリーはしばしば表現手法として用いられてきた。
その認知度が更に大きく高まったのは、映画『スパイナル・タップ』(1984年)である。架空のヘヴィメタルバンドを題材に、ロックバンドにありがちな「事件」を「密着取材」した本作はその作り込みから高く評価され、2002年にアメリカ国立フィルム登録簿に登録された。
近年では『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』『パラノーマル・アクティビティ』『REC/レック』など、低予算でもヒットを生み出す可能性がある手法として認知されつつある。
また『カメラを止めるな!』のように、モキュメンタリーと見せかけて更に仕掛けを施した作品もある。
またドキュメンタリーの体裁を取りながら、グロテスクかつセンセーショナルな内容を取り上げ、フェイクややらせを織り交ぜて作られた作品は「モンド映画」と呼ばれ、モキュメンタリーの祖とされる。
著名作は『世界残酷物語』(1962年)、『食人族』(1981年)など。特に『食人族』は「失踪者の遺留品から発見されたフィルムにより、過去に起きた惨劇が判明する」という点において、『ブレア~』から連なる系譜の始まりと言ってもいいかも知れない。
個別記事がある作品は太字。
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最終更新:2024/11/09(土) 07:00
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