「反社会的カルト集団」とは、何らかの集団を「反社会的だ」「カルト的だ」と批判する呼称である。
「反社会的」と「カルト」いずれもマイナスイメージの強い語句であるため、ジョークや諧謔などを込めた文脈以外で自らの団体を「反社会的カルト集団」を呼称することはまずない。必然、他者が批判的意味を込めて呼ぶときに使用される言葉である。すなわち一種の蔑称。
初期の使用例としては、雑誌『詩人会議』の1995年8月号にて以下のような文中で使用されている。
こうした弱い者いじめの政治を反映して、憲法不在の職場、リストラや就職難、極端な競争社会、未来に希望をもてぬ若者の反社会的カルト集団への傾倒や、学校·地域での子どものいじめ·自殺など、社会不安は深まっています。
上記の用例は特に対象を名指ししていないが、ほぼ同時期の別雑誌に以下の用例があることを踏まえると、おそらくカルト宗教「オウム真理教」を念頭においたものではなかったかと思われる。こちらは雑誌『諸君!』の1995年10月号。
むしろ、既成の宗教団体は危機感をもって、オウム真理教のような反社会的カルト集団、破壊的新・新宗教と自らの違いを明確にし、二度とこのような事件が起きないような具体的提言をしてゆかなければならない。そのことが、社会での宗教団体の公益的存在性を証明することにもつながっていくのではなかろうか。
この年、1995年の3月20日に地下鉄サリン事件が起きており、当時「反社会的カルト集団」と言えば真っ先に読者の脳裏に浮かぶのはオウム真理教だったのである。
そして時代が下がるにつれ、オウム真理教以外の団体に対しても批判を込めてこの言葉が使われる例が登場してきた。
例えば、「NHKから国民を守る党」を「反社会的カルト集団」と呼称して批判している用例が2019年から確認できるようだ。その中には、「選挙ウォッチャーちだい」という名で全国の選挙を取材しているジャーナリスト「石渡智大」氏がいた。
そして「NHKから国民を守る党」および同党代表者の「立花孝志」氏は2024年に、石渡智大氏が複数回「NHKから国民を守る党」を「反社会的カルト集団」と表現しておりその事で名誉を傷つけられた、として石渡氏に対して160万円の賠償を求める訴訟を起こした。[1]
ところが、2024年11月27日に東京地裁(裁判長:阿部雅彦)は「NHKから国民を守る党」側の訴えを退ける判決を下した。すなわち石渡智大氏の勝訴、「NHKから国民を守る党」および立花孝志氏の敗訴である。
この判決文内の「当裁判所の判断」における記述によれば、裁判所はこの訴訟の争点を
に整理している。
そして、争点1については、「反社会的カルト集団」と表現することは
「社会的評価を低下させるものであることは、社会通念上に照らし明らか」
と判断した。
だが、争点2については
「本件各表現行為は、原告の政治活動を批判して、原告について、犯罪行為や違法な行為を平然かつ盲目的に次々とおこなう危険な集団又は団体であるとの意見あるいは論評を表明するものといえる」
と非常に批判的な表現であったことを認めつつも、
「公共の利害に関する事実に関わり、その目的が専ら公益を図ることにあり、その前提としている事実が重要な部分について真実であると認められるものであり、かつ、意見あるいは論評としての域を逸脱したものとはいえない」
という判断から、違法性を阻却したのである。
要するに、
「この「反社会的カルト集団」という言葉は「NHKから国民を守る党」の社会的評価を低下させるものだ」
「「NHKから国民を守る党」が犯罪行為や違法な行為を平然かつ盲目的に次々とおこなう危険な集団だ、と言っているようなものだ」
「だが、前提としている事実、すなわち「NHKから国民を守る党」らがこれまで行ってきたことを考えれば、こう呼んでも違法と言えない」
とする判決を下したことになる。
その、裁判所の判断理由となった「前提としている事実」とは何か? これについても判決文内に記述があり、
(前略)
このように、原告代表者及びその支持者らについては、平成25年以降現在に至るまで、複数回にわたって、犯罪行為又は不法行為と評価される行為をしていた事実が認められる。
(中略)
このように、原告代表者は、法律を遵守する意思がない旨、繰り返し表明していた事実が認められる。
(中略)
さらに、原告代表者は、上記のとおり、被害者の有る犯罪行為や不法行為を繰り返してきたのみならず、本件副党首とともに支持者に対して自らに批判的な言論活動を行う被告または第三者への迷惑行為を促し(別紙事実11・14・15)、テロや民族虐殺をも辞さないかのような発言すら行っていた(別紙事実1・7)事実が認められる。
と、「原告代表者」すなわち「立花孝志」氏が
「複数回にわたって、犯罪行為又は不法行為と評価される行為をしていた」
「法律を遵守する意思がない旨、繰り返し表明していた」
「被害者の有る犯罪行為や不法行為を繰り返してきたのみならず」
「支持者に対して自らに批判的な言論活動を行う被告または第三者への迷惑行為を促し」
「テロや民族虐殺をも辞さないかのような発言すら行っていた」
と指摘する内容であった。裁判所はこれらについて事実として認めたわけである。
上記引用部分で「(前略)」「(中略)」した、裁判所が列挙する「NHKから国民を守る党」や関係者のさらに具体的な言動内容については、判決文自体を参照されたい。
「反社会的」「カルト」という2つのパワーワードを組み合わせた極めて批判的な呼称「反社会的カルト集団」を使って批判していた……にもかかわらず裁判所は「事実に基づいている」という理由で名誉棄損にあたらないと判断した……というこの裁判結果はなかなかに印象的なものであり、報道各社も以下のように記事として取り上げている。
この一審判決についてNHKから国民を守る党/立花孝志氏は不服の意を表して控訴していたが、2025年3月には東京高裁にてこの控訴を棄却する判決が言い渡された。
この控訴審では「もし「反社会的カルト集団」と論評されるような行為を行っていたとしてもそれは現在の「NHKから国民を守る党」の前身となった別団体の頃の行為であるので、現在の「NHKから国民を守る党」をそう表現するのは不当だ」といった補足的主張を行ったようだ。しかし、東京高裁はこの主張を退けて一審の判断を支持したのである。
また、石渡氏は2024年6月26日に、SNS「X」に「反社会的カルト集団「NHKから国民を守る党」の尊師・立花孝志」という文章を含む投稿
を行っていた。そして立花氏と対立していることで知られる「みんなでつくる党」党首の大津綾香氏が、同日にそのX投稿を「リポスト[2]」した。このリポストに対して、「NHKから国民を守る党」および立花孝志氏は「大津氏のリポストは名誉棄損だ」とする民事訴訟を起こした。
だが、2025年1月15日に東京地裁はこの訴えを棄却する判決を言い渡し、大津氏の勝訴となった。判決では「反社会的カルト集団」という語句について「攻撃的ではある」としながらも「原告が反社会的な集団である旨をいう本件意見論評は、その前提としている事実が重要な部分について真実であるということができる」と認定したという。
なお上記のように、他者を「反社会的カルト集団」であると批判することは裁判所も認める相手の「社会的評価を低下させるもの」であり「攻撃的ではある」とも見なされた表現であるため、生半可な相手に使用してよい表現ではないことは注意しよう。
この件において「言われた側」である原告「NHKから国民を守る党」が複数の裁判で敗訴しているのは、裁判所すら「この言葉を使って批判されても論評として逸脱しているとは言えない」と考えるような反社会的な言動を同党が行ってきていたからという、「言われた方がかなり特殊だったから」というレアケースにすぎない。
ちなみに、こういった「社会的評価を低下させる言葉であり言われた側が言った側を訴えたが、言われた側のそれまでの言動を裁判所が勘案して、訴えが退けられた」例はこれまでにもいくつかある。
著名人の例:
それぞれの訴訟についての詳細は当該人物の記事を参照されたい。
、事件番号「令和4年ネ770号」
。掲示板
12 ななしのよっしん
2025/09/21(日) 16:42:27 ID: jpxJccUZ5M
トランプのやる事なら何でもOKなアメリカ共和党もこれになっちまったな
13 ななしのよっしん
2025/10/02(木) 19:57:42 ID: KpXd9YZiBw
暇空茜: 原告(暇空)の言動は支離滅裂で「反フェミ&反サヨクで脳が壊れちゃってる」と被告が信じるに足る真実相当性がある
14 ななしのよっしん
2025/11/02(日) 19:17:44 ID: 4gkG2FODdQ
共産主義ゲリラ、なんか妙なスピリチュアルに目覚めた危険な集団等の例があるが、わかりやすいものだとオウム真理教かな?
武力的な脅威が弱いのも含めると統一教会や創価学会、後は法の華?
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最終更新:2025/12/06(土) 00:00
最終更新:2025/12/06(土) 00:00
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