大江戸科学捜査 八丁堀のおゆうとは、山本巧次による時代ミステリー小説シリーズ。宝島社文庫刊。
時は文政年間の江戸。両国橋の近くに、「おゆう」と呼ばれる小粋な年増の姐さんが住んでいた。南町奉行所同心の鵜飼伝三郎とちょっとイイ仲の彼女は、伝三郎を手伝って江戸の事件に首を突っ込み、時に江戸の岡っ引きたちが見逃した驚くべき手がかりを発見して、事件解決に貢献している。
――そんなおゆうの正体は、現代のアラサー元OL・関口優佳。彼女は祖母から受け継いだ家に江戸時代へ通じるタイムトンネルを見つけ、現代と江戸の二重生活を送っていたのだ。知人の分析マニア・宇田川の力を借りて、優佳=おゆうは現代の科学捜査を駆使して江戸の様々な事件に挑む!
著者・山本巧次のデビュー作であり看板シリーズ。2022年11月現在、既刊9巻。
山本は2014年、第13回『このミステリーがすごい!』大賞に本シリーズの第1巻にあたる「八丁堀ミストレス」を応募。最終選考で「発想や設定はたいへん面白く、このまますぐ出版できるレベルだが、新人賞の受賞作にするにはあまりにもシリーズものっぽすぎる」という理由で落選となり、「隠し玉」として2015年8月、タイトルを『大江戸科学捜査 八丁堀のおゆう』と改めて宝島社文庫から刊行された。好評を博してシリーズ化され、以降はだいたい年1冊ペースで新刊が出ている。
江戸時代の岡っ引きたちによる事件捜査に、タイムトンネルと分析オタクの友人というご都合主義設定を使って現代の科学捜査技術を持ち込んだアイディアが本シリーズの最大のミソ。江戸時代から持ち帰った証拠品を科学分析にかけて指紋を検出したりDNA鑑定をしたり、逆に盗聴器やドローンを江戸時代に持ち込んで情報収集したりといった、普通の時代小説では絶対にあり得ない捜査過程が読みどころである。
ただし、現代の科学知識で得た情報はそのまま江戸時代には持ち込めない。たとえば現場に残された毛髪がDNA鑑定で関係者の誰かのものと一致したからと言って、江戸時代の住人にそれをそのまま説明しても意味不明である。なので主人公のおゆうは、「現代の科学捜査で得た情報をどうやって江戸時代の人々が理解できるように伝えるか」に頭を捻ることになる。この現代の論理と江戸時代の論理をなんとかすり合わせながら事件の謎を追う様は、現役のミステリ作家からも評価が高く、第4巻では法月綸太郎と山口雅也が推薦文を寄せていた。
2019年7月には『時空探偵おゆう 大江戸科学捜査』のタイトルで、原作1巻の内容をベースに関テレ・TOKYO MXの深夜枠で実写ドラマ化された(全8話)。現在はU-NEXTで独占配信中。
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最終更新:2024/04/20(土) 08:00
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