ビジンダカラナリタツハナシ
美人だから成り立つ話とは、漫画『こちら葛飾区亀有公園前派出所』内の台詞。
「夢がある話だと見なされている『シンデレラ』などの童話だが、主人公が美しく魅力的でなければ成りたたない薄っぺらな話じゃないか」と揶揄した言葉である。
「両津」はこの漫画の主人公の男性警官「両津勘吉」、「麗子」はレギュラーキャラクターの女性警官「秋本・カトリーヌ・麗子」である。なお、途中で両津が突然敬語になっているのは、その部分では両津の上司「大原部長」に向かって話しているため。
両津「お前シンデレラに夢があると思うのか?」
麗子「もちろんよ女性の憧れよ!」両津「大きな誤解をしているぞ!お前! あれはシンデレラが美人だから成り立つ話なんだぞ!」
両津「美人だから何人もいる女性の中で王子の目に止まったんだぞ」
両津「美女だからこそ王子と幸せになれたんだ これは差別だとお前らは怒るべきだ」 (※両津は『美女と野獣』『ねむれる森の美女』の本を手にしている)
両津「例えばシンデレラが変身する前で一生懸命働く姿を見て好きになったのなら本当の愛だ! 性格の悪い姉を選び「私が君を変えてあげよう」と結婚すればこれも本当の愛だ!」
両津「ところが舞踏会で一番美しいシンデレラに一目惚れしてしまうわけだろ王子は! ミス・ユニバースみたいなもんだ!シンデレラは成るべくして幸せに成ったわけだ」
両津「女だって金と権力の座に目が眩んでついて行ってしまうでしょう! 「私は村の吾作が好きですごめんなさい」と断る女はいない! やってる事は「金色夜叉」ですよ!ほんとに!」
(出典:『こちら葛飾区亀有公園前派出所』ジャンプ・コミックス85巻収録「新説桃太郎!の巻」
なお、上記引用内で太字化している「美女」の部分は本来は傍点。)
ツイートを読み込み中です
https://twitter.com/NIGOUKUN/status/855422786675679233
上記のように元々の漫画内においては童話『シンデレラ』を評したフレーズであるが、他にもコマの中に登場してひきあいに出された『眠れる森の美女』など、様々な童話や創作作品がこの台詞に該当しなくもない。
ただし、同じくコマの中に登場している『美女と野獣』は微妙なところである。童話には様々なバージョンがあるので一概には言えないが、『美女と野獣』でのヒロインは優しさや心の清らかさが強調されていて、ヒロインと最終的に結ばれる「野獣」はヒロインのそういった心情にひかれたという設定になっていることが多い。要するに「美女」とタイトルに付くものの、さほど外見が重視された話というわけではないのだ(もちろん「ヒロインの外見が醜すぎたならば、「野獣」もヒロインに恋愛感情は抱けずに、尊敬や親愛どまりだったのでは?」と無理にひねくれた見方をすることは可能だが)。
そういった観点で言えば、上記引用部分で主な槍玉にあげられている『シンデレラ』も「気立てが素直ないい子」であり「いい子だから魔法使いが助けてくれた」と設定されているパターンで語られることが多いので、外見だけではなく内面も良くなければ救われなかったであろうから、完全に外見至上主義の話というわけでもない。とはいえ、やはり外見が良くなければ王子は一目ぼれしなかったかもしれないので「美人だから成り立つ話」という両津の台詞が間違いとも言い切れないのだが。
なお『こちら葛飾区亀有公園前派出所』はギャグ漫画であるので、上記の展開は真剣な問題提起などではなく「童話に対して興醒めな突っ込みを入れていく」というギャグシーンである。念のため。
「美人」だと現代の日本では女性を指して言うことが多いが、「美形だから成り立つ話」と言い換えれば男性キャラクターにも使えるだろう。「かわいい」「愛らしい」などと言い換えれば動物とのハートウォーミングストーリーなどにも拡張できるかもしれない。
さて、あなたが知っているあの作品は、もし「美しい」「魅力的である」と設定されている登場キャラクターの外見が美しくも魅力的でもなかったとしても、問題なく成り立ったであろうか? あるいは、そのキャラクターの外見が美しくなかった場合、どのようにストーリー展開が変化していただろうか?
また上記のやりとりの後半で「桃太郎」を引き合いに出して両津が茶化しているように、物語で悪役を務める「恐ろしい外見」と設定されているキャラクターの外見がとても美しく魅力的であったならばどうであろうか? ストーリー展開は変化しなかっただろうか?
ひとつひとつの作品について考えてみても面白いかもしれない。
ところで、こういった話題において時々挙がる意見が「これが「心が美しいから惚れた」という話だったとしても、心が美しく育つかどうかは「育てられ方」「生育環境」も大きく作用するのだからして、結局「本人には根本的な改善は難しい、生まれで決まるスペックで判断される話」になっているのは変わらないんじゃない?」というもの。どうでしょうね?
ちなみに、逆に「主人公の外見が悪いから成り立つ話」も存在する。例えば芥川龍之介の『鼻』や、八木教広の『エンジェル伝説』など。
掲示板
24ななしのよっしん
2022/05/21(土) 20:53:38 ID: E619QQa2xT
現代の創作は殆ど、この理屈で片付けられるでしょ。
作画の向上という時代の流れもあるだろうが、見て呉れが整っていない様なものはないし。人間臭さよか、キャラをスペックとしての杓子定規で測った方が視聴者は快くいられる。
25ななしのよっしん
2022/06/29(水) 15:10:33 ID: P97QTlwgXd
26ななしのよっしん
2023/01/24(火) 22:01:12 ID: txdZKkGd+o
ここまで「そこへ高須クリニック院長が現れて武闘会へ行ける顔ではなかったシンデレラを整形手術で男を洗脳できる顔にしました」の件なし
急上昇ワード改
最終更新:2023/02/03(金) 09:00
最終更新:2023/02/03(金) 09:00
ウォッチリストに追加しました!
すでにウォッチリストに
入っています。
追加に失敗しました。
ほめた!
ほめるを取消しました。
ほめるに失敗しました。
ほめるの取消しに失敗しました。