選手別応援歌とは、選手各々に対して作られている応援歌の事である。ここでは、最も知られている野球においての選手別応援歌について説明する。
現在の日本の野球では、プロアマ問わず、打者が打席に入るたびにその選手のために用意された特定の応援歌を観客が楽器、歌唱、手拍子などの方法で演奏することが多い。この「特定の選手のために用意された応援歌」を選手別応援歌と呼んでいる。
ちなみに、選手別応援歌とは別に、得点のチャンス時に流れる「チャンステーマ」、7回の攻撃前の応援としても用いられる「球団歌」などの応援歌も存在する。
高校野球などのアマチュア野球では、公式の大会で登録された選手一人につき一曲が用意されることが多い。メロディは「暴れん坊将軍のテーマ」「サウスポー」「ルパン三世のテーマ」などの世間一般によく知られた曲を用いることが多いものの、有名な曲ならどんな曲でも使用されるわけではなく、頻繁に使用される「定番曲」なるものが決まっている。また、「ハレ晴レユカイ」「あまちゃんオープニングテーマ」など、一時期流行した曲が使われることも多い。ほかにも、プロ野球に使用されている応援歌を流用したり、完全にオリジナルで作曲する場合もある。他の曲のメロディを使用する場合は、歌詞を野球にちなんだものに変更したり、繰り返し演奏できるように編曲したり、テンションが上がるようにテンポを速くしたりといった工夫がみられる。
センバツのテレビ中継を見ると常にトランペットによる演奏が行われているように感じるが、同じ学校の吹奏楽部が毎回大会についていけるわけではないので、地方の大会などでは、ベンチ登録から外れた選手が観客とともに歌唱により応援している場合がもっぱらである。
もともとは、球団公認となっている球団歌や応援歌を用いているのがメインであったが、1970年代末期に、広島東洋カープの応援団によって初めてトランペットによる選手別応援歌が演奏されるようになった。(プロ野球として最初に個別の応援歌が作られた選手は当時4番打者の山本浩二。)その応援スタイルが好評だったため、他球団にも浸透して行き、1989年までに全ての球団で採用されるようになった。(最も後発の球団は日本ハムファイターズ。)
選手別応援歌ができた初期のころは、様々なスタイル・長さのものがあったが、現在はおおむね8小節+コールのスタイルを採用している応援歌が多く、応援歌は繰り返し演奏される。しかし、球団によって様々な特徴がある。これについては後述する。
また、アマチュア野球の選手別応援歌とは違い、各球団の応援団によってオリジナルで作詞作曲をされたものが多い。
投打の分業が進んでいる日本のプロ野球においては、選手別応援歌は主に野手に作られ、「主力の選手」「期待度の高い新加入選手」「前年度に活躍した選手」などに作られることが多いが、球団によっても異なる。選手別応援歌がない野手は、野手の汎用応援歌が使用される投手の選手別応援歌については、作られる球団と作られない球団がある。投手の選手別応援歌がない球団の投手は、投手用の汎用応援歌が使用される。また、応援歌が公式で販売されたCDに収録されていた時代もあったが、それらには球場で未使用の投手応援歌も収録されている場合がある。
新たに応援歌が発表される時期は、シーズンオフから開幕前までの時期が多く、プロ野球ファンのシーズンオフの楽しみの一つにもなっている。シーズン中であっても、オールスターゲーム終了をきっかけとして新応援歌を発表する球団もある。
以下では各球団の選手別応援歌の特徴を述べる。
応援団が公式のものである読売ジャイアンツでは、他の曲のメロディを使用した例がほとんどない(原辰徳1作目のみエイトマンのテーマを流用)。最近では、前奏のついた応援歌が多く、主力選手の中には、10小節や12小節といった少し長めの応援歌を持つ選手もいる。比較的落ち着いたテンポ・1音を長くとるメロディで堂々とした感じを演出しているのではないかと思われる。
旧応援団では、他の曲のメロディを使用したものも多かったが、新応援団になってからはオリジナルのものが多い。とにかく歌いやすさを重視しており、メロディラインや音域が調整されている。時々既存の応援歌のキー変更が行われるが、歌いやすさを考慮しているものと思われる。また、歌詞も「虎」「猛虎」などの単語が多用されているほか、難しい言葉を用いている例は少なく、歌詞も単純なものが多い。
選手別応援歌は繰り返し演奏されるが、2周目の演奏から「スクワット応援」と呼ばれる応援方式が始まる。「スクワット応援」では、トランペットの演奏と並行してコールのみを行う。選手別応援歌では8小節でない応援歌が作られることも少なくないが、この応援方式が定着して以降、8小節の応援歌しか作られていない。また、曲のテンポが比較的早いのも特徴である。「赤」という単語が歌詞にしばしば用いられる。
旧応援団では、比較的明るめの曲調、複雑なメロディラインのものも多かったが、現在の新応援団に代わって以降、少し暗めの曲調、簡単なメロディラインの曲も増えてきている。また、テンポも遅くなってきているように感じる。最近では、選手の名前や愛称を歌詞に組み込む例が他球団と比べると多いように感じるほか、チャンス時の別応援歌を作成、二つの応援歌を交互演奏など、様々な取り組みをしている。
他球団に比べると、過去制作された応援歌を再度採用し、流用している応援歌が多い。昔は単調なメロディ、単調な歌詞のものがほとんどだったが、近年ではメロディラインや歌詞が凝ったものになっており、短調の応援歌も増え、表現の幅が広がっている。トランペットの演奏も好感度が高く、セ・リーグの応援団で最も評価されているといっても過言ではない。
旧球団の横浜ベイスターズ時代の応援歌を含め、過去の応援歌を流用している例が多い。球団の雰囲気もあってか、アップテンポでノリのいいメロディの応援歌が多い。「海」「波」といった球団色の強い単語も歌詞の中で多用されているほか、「空」「星」など清涼感を漂わせるワードチョイスが多い。また、活躍が期待される選手には他球団よりも積極的に応援歌を作っている。
以前は、支配下登録された全選手(投手含む)にすぐ選手別応援歌を作っていたが、選手の特徴が変化することも鑑みて、ここ最近は新人選手には汎用応援歌を用いている。短調の応援歌が比較的多いのが特徴であり、少々の暗さが応援歌全体の引き締まりを生んでいる。以前まで全選手に応援歌を作っていたこともあり、ワードチョイスは単純なものが多い。また、南海時代も含めた過去応援歌の流用も多い。
8小節+コールにとらわれない応援歌が多く、ドラムリズムも自由なものが多い。球団内で曲のテンポが異なるものが存在することは非常にまれであり、大きな特徴と言える。そのほか、歌詞も非常に特徴的な単語を使用しているものが多い。以前まではコールの部分が他球団より長いものになっていたほか、投手の選手別応援歌も採用されていたが、いずれも廃止されている。
ロッテも8小節+コールにとらわれない応援歌が多いが、曲のテンポは統一されている。長めの応援歌がかなり多く、大きな特徴の一つである。旧応援団が解体されてから、ジントシオ氏がほぼ一人で作曲していたこともあり、曲の統一感がある。ジントシオ氏が楽天の応援団に移ってからも「ラララ」「オオオ」といった語の多用、歌詞なし応援歌、などの統一感を持たせながら作詞作曲されている。
新応援団になるまでは、少し暗めの切ない雰囲気の応援歌が多かった。しかし、前述のジントシオ氏が応援団に加わり、公式の新応援団ができると、長めの選手別応援歌を積極的に採用し、曲調も闘志あふれる熱いものが多くなった。歌詞も難しい言葉を減らし、単純な語を増やした。曲の雰囲気が急変したためか、旧応援団の扱いのせいか、賛否は大きいが、コールを変更するなど、新たな応援の形を模索している。
爽快感とも妖しげとも取れる独特な雰囲気の曲が多い。メロディはきれいなものが多く、凝っている印象がある。少し長めの応援歌や、名前と歌詞の掛け合わせなどの工夫もみられるが、模範的なものが多い。過去の応援歌の流用も多少みられる程度である。最大の特徴は、1周目のアカペラの応援歌に続いて2周目から伴奏ありの応援歌になることだろう。北海道の大地の雄大さを表しているかのように感じられる。
近鉄バッファローズとオリックスブルーウェーブスの合流によってできたこの球団は、歴史を重視しているのか過去応援歌の流用が多い。もともとのそれぞれの球団の応援歌の評価も高いからか、現在でもそのクオリティを維持している。それどころか、難解な語を選んだり、短調の応援歌に力を入れたり、チャンス時に別の応援歌を用意したりとさらなる工夫をみせ、パリーグでは最も評価されているといえる。
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最終更新:2024/10/06(日) 19:00
最終更新:2024/10/06(日) 18:00
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