UNIX 単語

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UNIXとは、元はベル研究所が開発したオペレーティングシステムである(このときC言語が生まれている)。

概要

UNIXはおおよそ以下の三種類に分類されるが、UNIXの商標現在The Open Groupが持っており、SUS(Single UNIX Specification)の認を得た物が公式にUNIXと名乗れることになっているので、公式にUNIXを名乗れるのは1のみである。

  1. UNIXの商標を管理する団体The Open GroupよりSingle UNIX Specificationを満たすことの認を受けたOS
  2. ベル研究所で開発されたオリジナルのUNIX及び、オリジナルのUNIXのOS
  3. POSIXなどのUNIXに関連する規格をみたす、UNIX互換なOS

分類1によるUNIX

2008年12月現在SUSを受けているのは以下の通り。

分類3によるUNIX

一般にUNIXと言うと、この意味で用いられることが多い。この場合、Linux*BSDなど、互換性を持ったシステムも含まれる。以前は広義な意味でUNIXライクなOSに対して*NIXなどの表記が用いられた。

歴史

ベル研で開発されたオリジナルのバージョン

1969年9月PDP-7上のアセンブラ開発された。
1971年11月3日1st Edition(V1) - PDP-11/20上のアセンブラ開発された。
1972年6月12日2nd Edition(V2)
1973年2月3rd Edition(V3) - Cで書き直され、パイプが実装された。
1973年11月4th Edition(V4)
1974年6月5th Edition(V5)
1975年5月6th Edition(V6) - 1BSDから2.xBSDの元になったバージョン
1979年1月、7th Edition(V7) - XENIXなど多くのUNIX系OSの元になったバージョン
1979年5月、32V - V7をVAX移植したバージョン3BSDSystemIIIの元になったバージョン
1985年2月、8th Edition - このバージョン以降ベル研でのみ使用された。4.1BSDを取り込んだ。
1986年9月、9th Edition
1989年10月、10th Edition - 最終バージョン

BSDと商用化UNIX

当時、UNIXを入手するにはベル研の属していたAT&Tと、アメリカ政府からのライセンスが必要だった。(政府CoCom絡みか?)しかし、AT&Tは独占禁止法コンピュータ事業に参入できないため、UNIXの配布は実費程度で行われサポートもなかった。それでも、バージョンが上がるにつれて利用者は増えていった。

1974年カリフォルニア大学バーレイ校で初めてUNIXが起動された。
1977年、最初のBSDリリースpascalコンパイラex
1979年5月2BSDリリースmore、termcapvicsh。
1979年3BSDリリースベースは32V。VAX用。仮想メモリ
1980年8月マイクロソフトSanta Cruz Operation(旧SCO)がXENIXの最初のバージョンリリースベースはV7。いくつかのバージョンを経てOpenServerになる。マイクロソフトは84年に手を引く。
1980年10月、4BSDリリース
1981年7月8日、4.1BSDリリース
1983年9月、4.2BSDリリースTCP/IP実装

SunとAT&Tの参入

80年代からUNIXベンダーが増え始め、UNIX戦争と呼ばれる時期が90年代前半まで続いた。

1982年1月AT&Tが地域会社を分割し、それまで独占禁止法で参入できなかったコンピュータ事業を開始した。
1982年AT&Tが、最初の製品であるUNIX SystemIIIリリースベースは32Vやいくつかのバージョン
1982年Sun Microsystemsが創業、Sun UNIX0.7をリリースベースUniSoft UNIX V7と4.1BSD
1982年SunOS1.0をリリースベースは4.1BSD
1983年1月AT&TがSystemVをリリースSystemIV開発失敗したとされる。
1984年、UNIXの標準化のための業界団体としてヨーロッパのメーカがX/OPEN設立。後に標準規格であるPOSIXリリースする。
1986年SystemVRelease3(SVR3)リリース
1986年4月5日、4.3BSDリリース

OSF vs. UI

これからの5年間がUNIX一番の混乱期となる。

1988年AT&TとSunSystemVRelease4(SVR4)を発表。ベースSVR3、4.3BSDXENIXSunOSリリース1990年?多くのSunBSDユーザが失望。
1988年SVR4危機感を感じたDECApolloHPIBMなどがOpen Software Foundation(OSF)を設立しOFS/1を発表。リリース1992年
1988年OSFに対抗して、AT&TとSunがUNIXInternational(UI)を設立。
1988年POSIX.1リリース。→ POSIX

USL vs. BSD

1989年、ベル研内にUNIX System Laboratories(USL)が設立され、AT&TのUNIX事業が移管された。
1989年9月NeXTSTEP1.0リリースベースMachと4.3BSD
1990年3月SunOS4.1リリースベースは4.3BSDSunOS4.1.4までリリースされ後にSolaris1.xと呼ばれた。
1990年SystemVRelease4リリース?この後、SunSystemVには関わっていない。
1991年6月28日、4.3BSD NET/2リリース。4.3からベル研のUNIX由来のコードを取り除いたバージョン
1991年、NovellがUSLに出資した。
1992年2月、386BSD0.0リリース。4.3BSD NET/2をPC上に移植し不足しているファイルを追加したもの。フリー
1992年2月BSDiが、BSD/386の最初のバージョンを商用UNIXとしてリリースベースは4.3BSD NET/2。
1992年SystemVRelease4.2(SVR4.2)リリース
1992年DECOSF/1リリース
1992年7月SunSolaris2をリリースベースSunOS4.1とSVR4
1992年7月、USLBSDiとBSD Net/2に対して知的所有権について訴訟を起こした。
1992年11月、NovellがUNIXWare1.0をリリースSystemVRelease4.2と同じもの。
1992年12月頃、NovellがUSLを買収することが明らかに。

その頃日本では

1970年代後半、東大石田晴久SRAの岸田孝一らが海外でUNIXを知った。
1976年石田晴久日本にUNIXを紹介
1983年石田岸田斎藤信男、村井純らが日本UNIXユーザ会(jus)を設立。
1985年Σプロジェクト開始。将来の技術者不足に対応するためだったがSystemVベースマシンを作っただけで終了。後々まで失敗した公共事業の代名詞になる。
1986年10月アスキーがUNIX MAGAZINEを創刊。
1987年ソニーNEWS-OSリリースベースは4.2BSDΣプロジェクトには関わっていないソニーはそれを横に発売。

UNIXでないUNIX

時代は前後するが、AT&Tライセンスが厳しく高額になるにつれUNIXライクなOSがいくつか開発された。

1983年9月GNUプロジェクトがR.Stallmanによって始められた。
1987年Minix1.0リリース。A.S.TanenbaumがOS教育用としてUNIX V7互換のOSゼロから書き上げた。
1991年9月Linux0.01リリース。L.TorvaldsがMinixを受けて作り始めた。

和解

1993年1月20日クリントン政権誕生。ゴア大統領情報スーパーハイウェイ構想を提案。
1993年3月、USLBSDiへの訴えが却下された。
1993年3月Common Open Software Environment(COSE)設立。UNIX標準化のための業界団体。IBMSunHP、USLなどが参加。
1993年4月NetBSD 0.8リリースベースは386BSD0.1と4.3BSD NET/2。
1993年6月、COSEが、Common Desktop Environment(CDE)を発表。OSFのMotifベースデスクトップ環境
1993年6月AT&Tが、USLとUNIXに関する全ての資産をNovellに売却することを決定。当時NovellPCソフトウェアシェアマイクロソフトと戦うために多くの企業を買収していた。
1993年6月、NovellはUNIXの商標をX/Openに譲渡した。
1993年12月FreeBSD1.0リリースベースは386BSD0.1。
1994年、USL vs BSDiの裁判の判決に沿って4.4BSD-Liteリリースされた。
1995年、4.4BSD-Lite2リリース。最後の本家BSD
1995年、NovellがUNIXWareを旧SCOへ売却。Novellマイクロソフトとの戦いに敗れ会社が傾きかけていた。
1996年、X/OpenにOFSが合流し、The Open Group設立。
1996年12月AppleNeXTの買収を発表。1997年2月、買収了。
1998年3月、旧SCOが、UNIXWare7をリリースベースSystemVRelease5SCOはXENIXの子孫のOpenServerというPC用のUNIXも持っていた。

UNIX以外のPOSIX対応

1993年IBM MVS/ESAPOSIXに対応。
1993年WindowsNTPOSIX Subsystem搭載。Windows 2000まで。
1995年頃、CygnusがCygwinをリリースWindows上で動作するPOSIXシステムコール互換環境コマンド類。
1996年InterixServices for UNIXリリースWindowsNTPOSIX Subsystem

The SCO Groupへ

またか、もがそう思った。

2000年8月、Caldera Systemsが旧SCOからUNIXWareとOpenServerの権利を取得した。買収了は2001年5月
2001年3月Mac OS X1.0リリース
2002年1月23日、 Caldera InternationalPDP-11のV1からV7までと32Vをライセンスフリー化した。→ Ancient UNIXexit(Wikipedia)
2002年8月、CalderaはThe SCO Groupに社名変更。旧SCOはTarantellaへ社名変更。
2003年3月SCOがIBMに、「UNIXのコード断でLinuxに使用した」として訴訟を起こした。
2005年SCOはSolarisオープンソース化は問題ないとした。
2005年6月Solaris10のソースオープン化。
2007年8月SCOは何も拠を出せないまま敗訴。UNIXの著作権はNovellにあると判決。
2007年9月14日SCOは倒産、再建中。
2009年8月24日SCOは先の裁判の判決の一部を覆すことに成功、裁判の差し戻しが決定。
2010年3月30日差し戻し審でUNIXの著作権Novellにあるとめて確認。
2011年SCOはUNIX OSをUnXis(現Xinuos)に売却。
2016年2月16日SCOの訴訟はIBMSCOの合意をもって終わりとなった。

UNIXの定義

2007年10月Mac OS X Leopard(現macOS)リリースSUSを受けて正式なUNIXになった。これと同時期にSUSの認を得たものがUNIXの商標を名乗ることを許されるようになった。

未来

2038年1月19日、UNIXの2038年問題
C言語time_tが32ビット符号付整数となっている環境(多くの32ビットアーキテクチャと、一部の64ビットアーキテクチャ)で桁あふれが起きる。

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