Wikipediaはニコニコ大百科と同じくルールさえ守れば誰でも気軽に編集できてしまうので当然のことながら Wikipedia の編集者によっては著しく信憑性を欠く。記事の編集履歴を見れば、過去には荒らしや偏った記述、あるいは誤った内容の記述が多くあったことが確認できるし、現在もそのようなものが訂正されずに残っていると予想できる。
アメリカの大学では Wikipedia の内容をレポートに加えた場合受け付けないと言う方針を出している所が多く、とある大学では「レポートにおいて Wikipedia からの引用が発覚した場合、単位を剥奪する」と発表したところもある。日本においても、 Wikipedia の出典や引用を認めないケースが増加している。
週刊少年サンデーで連載経験のある漫画家のモリタイシは結婚してないのに Wikipedia に「既婚者である」と書かれてしまった。そのため1年ぐらいに渡り友人・知人から結婚おめでとうのメールが届いていて困った事を自身の漫画の中でネタにした。驚いたことに親も Wikipedia の内容を信じ息子がいつの間にか結婚していたと思っていた。(その記述を Wikipedia から削除したのはモリタの知人)
2007年には Wikipedia に「ミシャンドラ」という悪魔がソロモン柱の73番目の悪魔としてもっともらしく書かれた。そしてそういう悪魔の種類があると思い込んだ人によって書籍化されてしまった。ミシャンドラという悪魔を掲載した書籍は少なくとも3冊存在する。つまり出版社の人間が Wikipedia の内容を真実かどうか確かめもせず、子供のデタラメのような内容を丸写しで雑誌を出版していたということである。
こういった信憑性の問題から、 Wikipedia では出典の明示や内容の検証を慎重に行うようガイドラインを定めており、逆に信頼できる明確なソースのない記載は[要出典]と注記され注意喚起されたり、あるいは削除されることがある。ただし、記事によってはこの「要出典」が貼られすぎて問題になることがある一方、出典の内容を不都合と考えたユーザーによって何らかの理由で出典無効とされ、情報が削除されることもあるが、こういったケースが公正に対処されることはあまりないという。
さらに刊行文献主義を取っているため、刊行物になっていればそれが事実に反していても掲載できてしまう一方で、個人のBLOGや動画については出典として用いることができないことで例え事実であっても掲載できないという大きな矛盾が生じている。同様に刊行物自体の信頼性を問われている記事がある一方で、同一の刊行物が別の記事では出典として認められる、芸能人の公式BLOGなど管理者が私感で著名人だと考える人物のBLOGであれば有効な文献として認められてしまうなど、文献主義にもかかわらず信頼できるとされる文献の基準とその扱いについては Wikipedia の原則とジャンル毎のローカルルール(編集者間の合意)との間で大幅な揺れがあり一貫性に欠けるのも大きな特徴である。
特に信憑性に関しては運営側も問題視しており、 Wikipedia 設立者の一人であるラリー・サンガーは、新たに『Citizendium』(シチゼンディアム。= CITIZen's compENDIUM of everything (一般市民の/による/のための百科要覧)という百科事典を設立した。こちらはレイアウト等の基本的なデザインこそ Wikipedia とほぼ同一ながら、編集にあたっては実名公開を義務付けるもので、更に記事の信頼性を高めるために一定以上の知識を有している者がチェックする方式を取っている。これらの制度を導入することで、己の感情や欲求に任せて書き込みを行う者の流入をできる限り阻止し、記事の信憑性・中立性・正確性を向上させようという狙いがあるものと言える。
とはいっても、これは本来「著名な活動を行っていない人の記事は立ててはいけない」「記事の発展性・特筆性に書けるものや、一過性・一部の流行による記事を立ててはいけない」という Wikipedia の基本ルールに反しているからであって、ニコニコ動画の文化自体が拒絶されているわけではないのだが、とりわけこの「ニコニコ大百科」ができる以前は一部のニコニコ動画ユーザーたちが Wikipedia の一部分をニコニコ大百科にするような勢いでニコニコ動画用語の記事を作成していた過去があったため、このような現状となっている。
何が言いたいかというと、 Wikipedia の記事を参考にして独自の文章を書き起こすのはいいが、 Wikipedia の情報をそのままコピー・ペーストしてニコニコ大百科の記事にするのは、「ニコニコ大百科が CC ではない (誰がどのように書いても未来検索ブラジルの著作物となる)」 ことから、 Wikipedia のライセンスに反している可能性があることになる。また、その記事が GFDLライセンスであった場合は、さらに 「履歴が継承されていない」 などの問題も発生する。つまり、いろいろとまずい可能性が考えられるので、やってはいけない。