フォーミュラ2とは、自動車レースの車両規格および選手権の名称である。F1の直下に位置付けられる。
1948年に規格が制定されて以来フォーミュラ2マシンを使ったレースは数多く存在し、主に下記の3つを指す場合が多い。
1と3は時期は離れているが前身・後継の関係を持つ。2は3と同じ名称だが繋がりはなく独立している。本記事では1~3それぞれを解説する。
1947年にF1マシンの規格が誕生し、翌1948年に下位クラスとしてF2マシンの規格も制定され同年からレースが行われる。この時点ではF1, F2ともに年間を通した選手権は存在せず、単発のレースが開催されていた。
当初のF2規格の立ち位置は安定していない。1952~53年はF1世界選手権を争うマシンとして指定されたり、1960年に1年限りでチャンピオンシップが導入されるなど重視される一方で、他のカテゴリとの兼ね合いで規格が一時的に廃止されるなど、流動的であった。
1967年からは年間10戦前後のレースを対象とした選手権が設立され、1984年まで開催される。
70年代中盤まではF1ドライバーも(入賞の対象外として)参戦し、若手は彼らを破る事で実力をアピールできるなど、ステップアップカテゴリとして人気を博していた。しかし次第にF3から一気にF1デビューを果たす例が増え、F2の存在意義は薄れていく。
1980年からのホンダ参戦も選手権の存続の観点では痛手だった。ホンダはエンジン供給先を少数チームに絞り、1983年後半から1984年にかけて17戦15勝と選手権を席巻する。この快進撃は裏を返せばBMWのワンメイク状態の中で1チームだけが特別開発のエンジンを使い独走する、イコールコンディションの破壊行為であった。
この状況が影響したのかは不明だが、1984年末にBMWは撤退を表明する。エンジンの確保が困難となったヨーロッパ選手権は同年限りで終了し、翌85年から国際F3000選手権へと移行する。(こちらはF1で型落ちとなったコスワースDFVエンジンを流用している。)
日本では1973年に全日本F2000選手権としてスタートし、1978年に全日本F2選手権に改称された。
ヨーロッパ選手権の後を追う形で1986年に終了。翌87年から全日本F3000選手権へと移行し、今日のスーパーフォーミュラに至る。
2008年、当時のFIA会長であったマックス・モズレーはFOTA(フォーミュラ・ワン・チームズ・アソシエーション。F1チームによる組合。)と対立し、彼が主導する形でFIA F2選手権が新設される。当時のF1直下カテゴリであったGP2は参戦費用の高騰が問題視されていたため、それに対抗する形で安価なコストをアピールポイントとしていた。
翌2009年から開始され、大半は世界ツーリングカー選手権(WTCC)のサポートレースとして行われた。
シャシーはF1のウィリアムズが設計。エンジンはアウディ製1.8L 直4ターボで、最大400馬力を発揮した。
年間ランキングの上位3人はスーパーライセンスの発給資格を得られるほか、ドライバーズ・チャンピオンはウィリアムズからF1のテスト走行の機会が与えられた。
しかし初年度にヘンリー・サーティスの死亡事故が発生し、同年秋にモズレーがFIA会長の座を辞するなど、早くも暗雲が立ち込める。
加えて発足の経緯からF1チームのサポートを受ける選手は少なく、計4シーズンの参加者のうちF1へ辿り着いた者はジョリオン・パーマーただ1人である。ジョリオンも後年にGP2を経由したうえでのF1デビューであったため、本カテゴリはステップアップの場として機能していなかった。
2012年限りで、参加選手の減少に伴い選手権は終了した。
2017年から、FIAのカテゴリ再編に伴いGP2がFIA F2選手権へと改称される。当初の構想から1年後ろ倒しされたうえ、使用するマシンの規格が各種カテゴリの混走予定(旧GP2、スーパーフォーミュラ、フォーミュラ 3.5 V8)からGP2のみへ変更されるなど二転三転した末の船出であった。
2024年現在、シリーズチャンピオンはおおむね3年以内にF1のシートを得ており、ステップアップカテゴリとしてはある程度機能しているといえる。
シャシーはダラーラ製。2018年から頭部を防護する機構「HALO」が追加されている。
タイヤはピレリ製。2020年から、F1に先立ってホイール径が従来の13インチから18インチへ拡大された新仕様が導入された。
年 | チャンピオン | F1出走経験 |
---|---|---|
2017 | シャルル・ルクレール | アルファロメオ(ザウバー)、フェラーリ |
2018 | ジョージ・ラッセル | ウイリアムズ、メルセデス |
2019 | ニック・デ・フリース | ウイリアムズ、アルファタウリ |
2020 | ミック・シューマッハ | ハース |
2021 | オスカー・ピアストリ | マクラーレン |
2022 | フェリペ・ドルゴビッチ | 未出走 |
2023 | テオ・プルシェール | 未出走 |
年 | ドライバー | ランキング | F1出走経験 |
---|---|---|---|
2018 | ランド・ノリス | 2 | マクラーレン |
アレクサンダー・アルボン | 3 | トロ・ロッソ、レッドブル、ウイリアムズ | |
2019 | ニコラス・ラティフィ | 2 | ウイリアムズ |
2020 | 角田裕毅 | 3 | アルファタウリ |
ニキータ・マゼピン | 5 | ハース | |
2021 | 周冠宇 | 3 | アルファロメオ |
2022 | ローガン・サージェント | 4 | ウイリアムズ |
※年はF2参戦の最終年。
2019年、スパ・フランコルシャンのレースにてアントワーヌ・ユベールがクラッシュに巻き込まれ他界した。翌2020年以降は最優秀新人選手に対し、彼の名を冠した「アントワーヌ・ユベール・トロフィー」が贈呈される。
年 | 選手権名 | |
---|---|---|
1948~1959 | 無し(単発のレース、 一部開催されない年あり) |
|
1960 | F2選手権(正式名称不明) | |
1961~1966 | 無し(単発のレース) | |
1967~1984 | ヨーロッパF2選手権(1) | |
1985~2004 | 国際F3000選手権 | |
2005~2008 | GP2 | |
2009~2012 | FIA F2選手権(2) | |
2013~2016 | ||
2017~ | FIA F2選手権(3) |
年 | 選手権名 |
---|---|
1973~1977 | 全日本F2000選手権 |
1978~1986 | 全日本F2選手権 |
1987~1995 | 全日本F3000選手権 |
1996~2012 | フォーミュラ・ニッポン |
2013~ | スーパーフォーミュラ |
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最終更新:2024/12/23(月) 19:00
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