高低差200mの坂とは、2013年5月26日、東京競馬場に出現した巨大な坂である。
さあ直線向いた! 世代の頂点へ! 一生に一度の晴れ舞台日本ダービー!
400を切った! 高低差200mの坂!
試練の坂! その向こうに何が見える?!
キズナ・エピファネイア・ロゴタイプ・ラブリーデイなど、2010年代を彩るのちの名馬たちが、3歳の頂点を目指して最終直線に入ったそのとき。ゴール板手前に突如壁ともいえる坂が出現した。
水平距離400mに対して高低差200mとはすなわち50%勾配である。
比較すると、以下の通り。
すなわち、ギアを落としてヒーコラ言いながら、そうでなければ鋼鉄のワイヤーで引っ張りながら、そうでなければ道をつづら折りにしながら登るレベルを遙かに上回る急勾配を、400mにわたって駆け抜けたのである。心臓破りの坂とはよく言ったものである。
ここまで来ると坂と言うより壁であり、当時絶賛連載中だった『進撃の巨人』になぞらえて「ウォール・フチュウ」などとも呼ばれた。
もちろん、正確には「高低差2mの坂」で、単なる実況の言い間違いである。
本競走の実況を担当したフジテレビの青嶋達也アナウンサーは、「アオシマバクシンオー」「距離適性1200m」などと言われ、短距離での早口実況に定評があるものの中距離以上でバテたり慌てたりする傾向があるとされている。
競馬実況の華である日本ダービーを任されたにも関わらず、いつにも増して落ち着きのない実況をしてしまった。
そして最後の最後でこの大チョンボをやらかしたため、本競走における青嶋アナのグダグダ振りを象徴する言葉として、今もなおネタにされている。
本競走には他にも、言葉の選び方や言う順番がまずかったり、必要な語句をすっ飛ばしたりしておもしろフレーズになっている箇所が多く、それぞれがネタにされている。しかし、中には普通のことを言っているにもかかわらず、わざと変な風に捉えて面白がられているものもある。
「ディープ(インパクト)産駒」は前の「キズナ」にかかっており、その鞍上が武豊であることを言いたかったのだと思われる。
本来、「キズナ、ディープ産駒。鞍上武豊は~」などと分かつべき部分を、「ディープ産駒武豊」と一息で言ってしまったため、三冠馬から名騎手が爆誕してしまったものである。
もちろん、武豊はご存じの通り武邦彦産駒の息子である。一方、武豊だしディープインパクトから生まれたと言われても妙に納得してしまうのもこの実況がネタにされるポイントかもしれない。ちなみに、武豊はディープインパクトより33歳年上である。
なお、偶然同じ名前の「タケユタカ」という競走馬がいるが、こちらはパーソロン産駒。
さあこのあたりで一度落ち着いて、ダービー初騎乗のロゴタイプ。
ゼッケン8番のクリスチャン・デムーロ。
日本ダービーは3歳限定、は競馬ファンには常識以前の問題なので「馬がダービー初なのは当然だろうが」と反射的に突っ込んでしまいそうな実況。
本来は、「ゼッケン8番のロゴタイプ。鞍上はダービー初騎乗のクリスチャン・デムーロ」のように、馬と騎手の部分を逆にすべきである。言いたいことは通じるので全体を見れば揚げ足取りではあるが、馬に対して「ダービーが初」と読めてしまう表現が強烈に印象に残ってしまう。
後述と合わせると、ロゴタイプの方が「皐月賞馬」デムーロに騎乗しているというシュールな光景が浮かんでしまうのも笑いを呼ぶ原因。
あとはその後ろに、ここにロゴタイプ。
前述と合わせると、デムーロは斤量484kgの鞍上ロゴタイプをものともせずゼッケン8番をつけて疾走する皐月賞馬ということになり、はるばるイタリアから来ただけのことはあると感心するところ。
競馬実況において、馬と鞍上を並列して言うことはよくあるが、騎手の名を挙げた後で馬に言及をしてしまったことでおかしな語感が生まれたものである。「ここにロゴタイプ皐月賞馬、(鞍上)クリスチャン・デムーロ。」のように順番を入れ替えれば競馬実況としてはよくある言い回しなのだが……
プロにしては言葉の選び方が稚拙、とは思うものの、意味は通じるんだから何年もネタにするほどのことか、とも思う。しかし、デムーロが馬になったかのような言い方は確かに笑えてしまう。あとついでにいうとロゴタイプの皐月賞の鞍上はデムーロはデムーロでもミルコの方だったりするので、どのみちクリスチャン・デムーロは皐月賞馬ではなかったり。
外からペプチドアマゾン! ペプチドアマゾン! アポロソニック!
さあ、横一線だ! 横一線!
真ん中に…いるが!
「真ん中に○○がいるが」と言いかけたものと思われるが、これを空耳にしたもの。
誰のことを言おうとしたかは不明だが、横一線に並んだ中で、上記実況で言及していないのは6番のラブリーデイと8番のロゴタイプ。「真ん中に」いるのはロゴタイプの方である。またコイツか。
「真ん中に…」の瞬間、キズナがエピファネイアを差しきり、ゴール板が目前となったためキズナへの言及に切り替えたのだろう。
単にキズナが勝ったことを言っているだけなので、これをネタにするのは完全な言いがかりである。
しかし、「キズナカッター!」という何かの必殺技のように聞こえる面白い語感も捨てがたく、ついでのようにネタにされている。
一方、父ディープインパクトを彷彿とさせるような驚異の末脚で、同一騎手による親子ダービー制覇を成し遂げたという大偉業を前に、ゴール後でいいのでもう少し何か言うことがあったのではないかとも思え、口の回転に頭の回転がついて行っていない中長距離のアオシマバクシンオーを象徴する文言でもある。
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最終更新:2025/12/26(金) 21:00
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