アスクビクターモア(英: Ask victor more)とは、2019年生まれの日本の競走馬である。
父は説明不要の無敗三冠馬にして目下10年連続でリーディングサイアーを獲得する大種牡馬。本馬はその11年目の産駒にあたり、その翌年のディープ産駒のうち、競走馬として登録されたのが日本に6頭、海外に6頭しかいないためまとまった数の産駒がいる世代としては最後になる。
母は未出走馬だが、その牝系からはアグネスレディーとその子孫(アグネスフローラ・アグネスフライト・アグネスタキオン)を始めとした多数の活躍馬がいる系統。近年ではリスグラシューが有名か。本馬はその3番仔にあたる。
母父は繰り上げながら凱旋門賞を制した馬。日本ではサクラローレルの父として有名であろう。
2019年4月1日に千歳市の社台ファームで誕生。翌年のセレクトセールでコンサルティング会社社長の廣崎利洋(主な所有馬に2015・16年ヴィクトリアマイル連覇のストレイトガール、2015年桜花賞馬のレッツゴードンキなど。近年はアスクの冠名を用いる)に1憶8700万円で落札され、社台ファーム代表の吉田照哉氏と共同所有する形となった。
順調に成長した本馬は6月に東京の新馬戦(芝1800m)にて、鞍上に戸崎圭太騎手を乗せてデビュー。1.9倍の圧倒的な支持を受けたが、レースでは先行策をとったものの5番人気のアサヒとの叩きあいに敗れ、その2頭を外からまとめて交わしていった3番人気ジオグリフの3着。次走の2歳未勝利戦(中山芝1800m)では1番人気のまた顔を合わせたアサヒ(2.1倍)と差のない2番人気(2.3倍)となり、今度は並ばせず押し切って勝利をあげる。
3戦目はアイビーステークス(東京芝1800m、リステッド競走)。ここ2戦の内容の良さから1番人気に推されるも、馬群を抜けるのに手間取っているうちに2番人気のドウデュースに置いて行かれ、必死に追いすがるも3着。
2021年はこれで終了。3戦1勝、敗れた2戦も内容はよく、なによりレースの1着が片やGⅠ馬、片やGⅢ馬とまぎれもない才能は感じられたが、詰めの甘さも感じる2歳戦であった。
明けて早々、1月5日の1勝クラス(中山芝2000m)。鞍上は戸崎圭太から田辺裕信への乗り替わりとなった。レースは1.9倍の1番人気、そしてレースでは2番人気レヴァンジルとの叩きあいをクビ差制して2勝目を挙げる。
次走は弥生賞とスプリングステークスの両にらみとなったが、距離が長いほうが良さげなので弥生賞ディープインパクト記念(GⅡ)を選択。ここにいたのが無敗で朝日杯フーチュリティステークスを制し、主戦の武豊には初の朝日杯勝利を、馬主のキーファーズには初のGⅠ勝利をもたらしたドウデュース。アイビーステークスで辛酸をなめさせられて以来の再戦である。本馬は3番人気(6.7倍)と、ドウデュース(1番人気、2.2倍)相手でも対抗できるとなかなかの人気を集めた。
レース本番。大外から先頭集団に取り付き2番手につけ、初の2000mであるドウデュースはその後方4、5番手に控える。その後本馬は直線で先頭にたついつもの形。そしてドウデュースはというと…、外に持ち出そうとするところをボーンディスウェイに運悪くふさがれる形になった。それでも抜け出して猛追をかけてきたドウデュースだが、そんな不利を受けた状態で勝てるほど本馬は弱くない。クビ差抑えきって初重賞制覇。ドウデュースへリベンジする形となった。ちなみにここまで中山で3戦3勝、完全なる中山巧者である。
優先出走権も確保して臨むはGⅠ皐月賞。1番人気ドウデュースが3.9倍つく混戦模様の中、本馬は前走の勝利とここまでの中山巧者っぷりもあってか、6番人気とはいえ9.9倍に推される。レースはというと、逃げを打つと目されたデシエルト(若葉ステークス勝馬)がまさかの出遅れ。2枠2番と内枠であったこともあり、本馬が2番手まで押し上げてきたデシエルトにつつかれながら逃げを打つ形になる。レースは1000m60秒2と平均ペースで、ドウデュース以外の有力馬は前目につける苦しい展開。直線入ってからもしばらく粘ったものの、外から襲い掛かってきたジオグリフとイクイノックスにはちぎられ、さらに後方から飛んできたドウデュースと内を突いたダノンベルーガにも差されての5着に終わる。とはいえドウデュースからはクビ-クビ差であり、オニャンコポンは抑えきって掲示板に残し、優先出走権を確保したのは本馬の実力であろう。
続いてはGⅠ東京優駿。またしても2枠3番の内枠。ここまでの府中戦績が2戦0勝ということもあり、人気はガクッと落ちて7番人気(24.7倍)。それにしても前走負かしたオニャンコポン(6番人気)以下とはどういうことだ。
レースは今度はスタートをきっちり決めたデシエルトがハイペースで飛ばす中、それを無理に追わずにいつも通りの2番手につける。レースはデシエルトが飛ばしていった結果1000m58秒9のハイペース。直線で力尽きたデシエルトを交わして先頭に立つが本馬も外ラチへよれまくるなど疲れ切った状態、後方待機策からの大外一気を選んだドウデュース(地味に本馬がよれてきたときに邪魔をされている)とイクイノックスにあっという間に交わされてしまい、内からは1番人気ダノンベルーガの強襲を受ける。しかし本馬は最後の力を振り絞り、クビ差抑えきっての3着。おかげで3連単は15,770円とそこそこついた。
夏は放牧で休養し、秋は得意の中山・GⅡセントライト記念から始動。レースでは先行策から直線入口先頭といういつものパターンにもちこんだが、本馬を徹底マークしていたガイアフォースに並びかけられ、一歩も引かない根性を見せたがアタマ差の2着に敗れた。
同レース2着に入り優先出走権は獲得したので、次走は本番の3000m・菊花賞へ。皐月賞馬ジオグリフが秋天、ダービー馬ドウデュースが凱旋門賞へ行き、前年度に続くクラシック馬2頭が不在のレース。皐月賞・ダービー2着のイクイノックスも秋天へ向かったので春二冠の連帯馬が1頭もいないという混戦メンバーとなり、アスクビクターモアは上がり馬ガイアフォースに次ぐ2番人気に支持された。
本番は外目の7枠14番から好発進。内からセイウンハーデスがロケットスタートを切っていったので先に行かせ、やや離れた2番手につける。しかし逃げたセイウンハーデスは1000m58秒7という超ハイペースで、アスクビクターモアはこれを追いかけつつ後ろからも複数の馬につつかれるという決して楽ではない競馬を強いられる。向正面でも前は大きくポジションを動かなかったが、3角でセイウンハーデスが力尽きたところで鞍上田辺裕信が促し始め、早々にかわして4角手前で先頭の積極策。そのままギアを上げ、崩れていく先行馬を置き去りに直線に入る。
一時は4馬身近いリードを取ったものの、早め先頭の分もあってゴール前で脚が鈍り始める。そこへ中団後方で待機していたボルドグフーシュが急襲。差はみるみる縮まり、外から完全に並ばれたところでゴール板を通過。勢いは完全に外のボルドグフーシュだったが、写真判定で僅かながら内が残っており、アスクビクターモアに軍配。クラシック最終戦にして悲願のGⅠ勝利を遂げた。
勝ち時計はナリタトップロードが21年にわたって保持していた阪神芝3000mのコースレコードを塗り替える3分2秒4。また、この勝利で父ディープインパクトは2011年の桜花賞を勝った初年度産駒マルセリーナから始まって12世代連続でクラシックホースを輩出するという偉業を成し遂げた。鞍上の田辺裕信はロゴタイプで逃げ切った2016年安田記念以来6年ぶりのJRA・GⅠ3勝目。インタビューでは「3分走ったので疲れました」と言いつつも笑顔をのぞかせた。
| ディープインパクト 2002 鹿毛 |
*サンデーサイレンス 1986 青鹿毛 |
Halo | Hail to Reason |
| Cosmah | |||
| Wishing Well | Understanding | ||
| Mountain Flower | |||
| *ウインドインハーヘア 1991 鹿毛 |
Alzao | Lyphard | |
| Lady Rebecca | |||
| Burghclere | Busted | ||
| Highclere | |||
| *カルティカ 2005 鹿毛 FNo.1-l |
Rainbow Quest 1981 鹿毛 |
Blushing Groom | Red God |
| Runaway Bride | |||
| I Will Follow | Herbager | ||
| Where You Lead | |||
| Cayman Sunset 1997 鹿毛 |
Night Shift | Northern Dancer | |
| Ciboulette | |||
| Robinia | Roberto | ||
| Royal Graustick |
クロス:Nearco 5×5(6.25%)、Native Dancer 5×5(6.25%)
初重賞制覇
春クラシック2戦
菊花賞
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最終更新:2025/12/06(土) 20:00
最終更新:2025/12/06(土) 20:00
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