オマタセシマシタとは、
本稿では2について解説する。
父はジャングルポケット、母ハロウィーン、母父*エルコンドルパサーという血統。
父はアグネスタキオン、クロフネ、マンハッタンカフェといった強豪揃う2001年クラシック世代のダービー馬。種牡馬としても数多くのGIホースを誕生させており、トニービンの後継種牡馬として活躍していた。しかし、種牡馬引退後に体調を悪くし、2021年3月に帰らぬ馬となった。
母は中央で2着1回、地方で1着1回の成績だが、牝系はビューチフルドリーマーを祖とする日本在来の名牝系に属する。二代前の母に名マイラーニッポーテイオーやエリ女を制したタレンティドガールを産んだ名牝チヨダマサコがいる。
母父は最強世代と名高い1998年クラシック世代の一角であり、国内だけでなく日本調教馬初の凱旋門賞2着になるなどフランスでも活躍した名馬である。
顔に縦長の流星があり、その中に横に連なった3つのほくろとその上に1つのほくろがあるのが特徴。
性格は温厚。レースではスタートが苦手でキックバックや馬群を嫌がる。だいたいの競走馬はレース後に食欲が落ちるが、本馬はレース後も食欲旺盛である。
お笑いトリオの「ジャングルポケット」は、競馬が趣味であったメンバーの斉藤が命名したものである。トリオ名の由来は、単に「当時活躍していた馬だから」という単純なものだったが、ジャングルポケットが府中巧者だったということもあり「東京で負けない」という意味が後付けされた。当時トリオは「ネット検索で馬のジャングルポケットより上に表示されること」を目標にしており、のちに彼らはテレビで活躍の場を広げた末、この目標を達成している。こうして人気芸人となった斉藤は、ジャングルポケットに対して何らかの恩返しがしたいと考えていた。
そんな中、ジャングルポケットが死去したというニュースを知る。そこで斉藤は、「馬主となってジャングルポケットのラストクロップを購入する」という企画をYouTube上で行うことにした。
斉藤が最初に目をつけたのはトレーニングセールに出された「ミフユの2019」[1]というジャンポケ産駒。しかし、資金不足で競り落とすことができなかった。その後、スタッフの人脈をたどって岡田牧場にいる本馬(ハロウィーンの2020)を購入することができた。
オーナーはこの馬がジャングルポケット産駒であること、ブレーンのお墨付きが貰ったこと、見た目が可愛いことに加え、4つのほくろがお笑い界の頂点を見上げるジャンポケの3人のように見えることが購入の決め手となったと語っている。
馬名はYouTubeで公募された中から選定。斉藤の持ちギャグの一つであり、「馬を購入し走らせるまで多くの人を待たせた」という意味も込めて「オマタセシマシタ」と命名された。
折しも、命名時は「ウマ娘 プリティーダービー」を端とする競馬ブームの最中にあり、斉藤自身もこの企画の傍らウマ娘に関係する内容の動画を投稿している。本馬は母父であるエルコンドルパサーが同作で擬人化されており、所謂「ウマ娘血統」である。
さらに、2023年2月には父ジャングルポケットもウマ娘化されている。もっとも、斉藤オーナーはサイレンススズカ、ライスシャワー、サトノダイヤモンドといった清楚でお淑やかなウマ娘が好きだと公言しており、元気っ子なウマ娘のジャングルポケットはタイプではなかったようである。しかし、大声キャラという点では斉藤と共通点もあり、ジャングルポケットの擬人化としては最適だったと編集者自身は感じている。
デビュー時はホッカイドウ競馬の田中淳司厩舎に所属。主戦騎手は服部茂史。
能力検査では他馬に囲まれて内側にモタれるなど課題点は多かったものの合格。6月16日に門別競馬場でデビュー戦を迎えた。当日はジャングルポケットの3人で現地観戦に行っており、オマタセシマシタは3番人気。しかし、後方からのスタートとなり道中上がってくる様子も見せるが直線では伸びず6着。それでもジャンポケの3人はオマタセシマシタの健闘を称えた。
その後、門別で8戦するも馬券内に入ったのは3着1回だけであり、レベルの高い門別2歳戦では苦戦した。
11月でホッカイドウ競馬の開催が終わり、翌年4月までレースが行われないことから金沢競馬に移籍。金沢初戦となる9戦目はスタートで出遅れ、キックバックを嫌がる素振りを見せつつも最終直線でいい末脚を見せて4着。次走が金沢でのラストチャンスのレースであったが、雪で開催中止。代替日も馬場の整備が追いつかずそのまま金沢の開催が終了した。
次なる移籍先は笠松。リーディングトレーナー笹野博司調教師にリーディングジョッキー渡邊竜也騎手という万全の体制で年明けの1月26日、10戦目を迎えることになった。
微差ながら2.1倍の1番人気に支持されたオマタセシマシタはスタートでヨレるも、枠順に恵まれたこともありキックバックがかからない外目の位置につける。向こう正面から徐々に位置を上げ直線で抜け出すと半馬身差で初勝利を決めた。
ゴール後、オーナーは感動の涙を浮かべ、渡邊騎手はガッツポーズを決め、現地の観客から大きな拍手が湧いた。それだけ皆に喜ばれる勝利であった。
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https://twitter.com/chsaito/status/1618563158733623296
なお、この日の笠松競馬は平日にかかわらず来場者は前週の1.4倍、売上は1.6倍と競馬の活性化にも貢献した。当日のYouTube Liveの配信ページの概要欄には斉藤の持ちネタを捩った説明文を記載するという粋な計らいが行われている。
また、大元のネタである全裸監督こと村西とおる氏も祝福のツイートをしている。
3歳での初勝利を挙げ、もう一勝すれば念願の重賞挑戦へと弾みがつく中、2月23日の笠松3Rに出走し、単勝オッズ2.6倍の2番人気に支持される。苦手としていたスタートは順調であったが、コーナリングの悪さが再発してカーブで失速。8頭中7着という残念な結果となった。あまりの失速ぶりに故障を疑う声もあったが、馬体はいたって問題はなかった。
3月、深管の炎症を起こしていたことが発覚。馬自身も痛みを感じないほどの軽度なものだったが、デビューから各地を転々としながら連戦してきたこともあり、5月まで大事を取って放牧された。
復帰戦は5月24日の笠松3R。この日はオーナーのスケジュールに空きがあったため現地で観戦した。レースはブービー9着と残念な結果であったが、ゴール後にはファンから無事に完走したことを称える拍手が送られるなど暖かな雰囲気であった。
その後も6着、5着、6着、8着と勝ちきれないレースが続いた。JRAから移籍してきた馬が相手になっているということもあるが、砂を被るのを嫌がること、コーナーを曲がるのが苦手なことなど克服すべき課題が多いのが一因であろう。
転機となったのは休養を挟んだ10月10日の笠松8R、笠松で主戦を務めていた渡辺騎手から宮下瞳騎手へ乗り替わったオマタセシマシタは大逃げ戦法を選択。残り150mほどで交わされたものの、初勝利後としては初の3着を確保。この奇策には現地で観戦していたオーナーも大満足の結果であった。
2勝目への糸口を見つけた陣営は次走を10月23日の笠松7Rに選択。鞍上も宮下騎手が引き続き担当した。前走同様スタートを決めて逃げたオマタセシマシタだが、今回は後続を引きつけて先頭に立った。3コーナーで2番人気シンデレラリリサが内から絡んできたが、ハナは譲らず突き放して直線に侵入。そのまま上がり最速の脚で後続を振り切り8戦ぶりの2勝目を果たした。タイムも1:31.6(ダート1400m)という自己ベストだった。
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斉藤オーナーはオマタセシマシタを地元千葉県にある船橋競馬で走らせることを目標としていたが、これで移籍条件の獲得賞金100万円をクリアした。
11月2日、当初の予定通り船橋競馬の川島正一厩舎へ移籍した。移籍により宮下瞳騎手とのコンビ解消が惜しまれる中、瞳騎手の実の兄で厩務員の宮下康一氏が担当するというサプライズ付きであった。
船橋初戦となったのは12月1日の1R 3歳二三(ダ1000m)。鞍上は地方トップジョッキー森泰斗騎手。苦手な内枠スタートかつ馬体重-15kgという不安要素を抱えながらも単勝7.3倍の3番人気に支持された。
大きく出遅れはしなかったものの、先頭争いには敗れてレース序盤は4番手に。さらにそこからキックバックを嫌がって5~6番手へと順位を落とす厳しい展開となった。しかし、4コーナーを内ラチぴったりにロスなく回ると直線で3番手に浮上し、鋭い末脚で前の1頭を捉えて2着でゴールした。
移籍2戦目は12月17日の8R 3歳選抜馬(ダ1200m)で、オマタセシマシタにとって初の日没後のレースとなった。鞍上は引き続き森泰斗。前走の好走が評価されて2番人気(単勝3.7倍)であったが、門別で4勝した実績馬レオアポロトスが単勝1.6倍の1番人気で支持率ではやや離されていた。
スタートはやや遅れて序盤は中団からのレースになったが、向こう正面で追い上げて3番手に浮上。巧みなコーナーさばきで加速しながら直線に侵入すると1番人気レオアポロトスとの一騎打ちに。そこから上がり最速の脚でスパートをかけ2着に3/4馬身差をつけ1着となった。ゴール後、森騎手は客席に向かってガッツポーズを決め、観客から大きな拍手が送られた。
南関東への挑戦は厳しいとの声をはねのけてオーナーの故郷に錦を上げたオマタセシマシタ。オーナーの夢はまだまだ続いていきそうだ。
| ジャングルポケット 1998 鹿毛 |
*トニービン 1983 鹿毛 |
*カンパラ | Kalamoun |
| State Pension | |||
| Severn Bridge | Hornbeam | ||
| Priddy Fair | |||
| *ダンスチャーマー 1990 黒鹿毛 |
Nureyev | Northern Dancer | |
| Special | |||
| Skillful Joy | Nodouble | ||
| Skillful Miss | |||
| ハロウィーン 2001 鹿毛 FNo.12 |
*エルコンドルパサー 1995 黒鹿毛 |
Kingmambo | Mr. Prospector |
| Miesque | |||
| *サドラーズギャル | Sadler's Wells | ||
| Glenveagh | |||
| マサコチャン 1996 栗毛 |
*サンデーサイレンス | Halo | |
| Wishing Well | |||
| チヨダマサコ | *ラバージョン | ||
| ミスオーハヤブサ |
クロス:Nureyev 3×5(13.63%)、Northern Dancer 4×5(9.38%)
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最終更新:2025/12/08(月) 22:00
最終更新:2025/12/08(月) 21:00
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