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スターズオンアース

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スターズオンアースStars on Earth)とは、2019年生まれの日本の競走馬。黒鹿毛の牝馬。

主な勝ち鞍
2022年:桜花賞(GⅠ)優駿牝馬(GⅠ)

概要

父ドゥラメンテ、母*サザンスターズ、母父Smart Strikeという血統。

父は父キングカメハメハ・母アドマイヤグルーヴの超良血で、2015年の皐月賞と日本ダービーを圧倒的な力で制しながらその後は故障に苦しみ、種牡馬として産駒がデビューし始めた矢先の2021年に急逝してしまった悲運の名馬。5世代しか残せなかった産駒のうち、スターズオンアースは2年目の産駒である。

母はイギリス産の輸入繁殖牝馬で、2017年のオークス馬ソウルスターリングの半姉。
こちらも父スマートストライクはその超良血を証明するようにカーリンを筆頭に多彩な活躍馬を送り出し、2007年と2008年の北米リーディングサイアーに輝いた大種牡馬、母*スタセリタはフランスオークスをはじめGⅠを6勝した名牝でありドイツの名牝系という、これまた折り紙付きの超良血

というわけで、日本の超良血×北米の超良血×欧州の名牝系という世界の良血よくばりセットみたいな血統である。

2019年2月27日、千歳市の社台ファームで誕生。オーナーは社台レースホース。募集価格は70万円×40口(=2800万円)だった。

馬名の意味は公式上は「地球上の星」となっているが、恐らくは中島みゆきの名曲「地上の星」がその由来であろう。

風の中のすばる

2歳~3歳2月・名だたるものを追って

美浦・高柳瑞樹厩舎に入厩し、デビューは2021年8月1日の新潟の新馬戦(芝1800m)。鞍上はここからフェアリーSまで石橋脩。超スローペースの展開を後方から追い込んだが、中団から抜け出したルージュスティリアを捕らえきれず2着。

2戦目は10月9日の東京の未勝利戦(芝1800m)。ここは中団から直線で勢い良く抜け出して2馬身差の快勝。デビュー戦2着のあと2戦目で府中の1800mを勝利というのは、8月31日に旅立った父ドゥラメンテと同じである。亡きドゥラメンテの遺児として、その良血もあって期待を集めたのだが……。

11月の1勝クラス・赤松賞(東京・芝1600m)に1番人気で乗りこんだが、ここでは4番人気ナミュールの末脚に完全に置いていかれて完敗の3着

明けて3歳、1月のフェアリーステークス(GⅢ)から始動。ここでも1番人気に支持され、中団前目の内に構えると直線では最内を抜け出したが、外から飛んできたライラックにクビ差かわされ2着

2月のクイーンカップ(GⅢ)では横山武史を鞍上に迎えやはり1番人気も、直線で馬群を割って抜け出したがプレサージュリフトに最後にクビ差差しきられて2着

どうにも勝ちきれないまま、重賞2着2回で収得賞金は貯まったので、そのまま桜花賞に乗りこむことになった。

2022年桜花賞・桜に燃える草原のペガサス

さて本番の桜花賞(GⅠ)。鞍上は前日の9Rで落馬しながらピンピンしている川田将雅が初騎乗。さすがにこの勝ちきれない戦績では単勝14.5倍の7番人気という評価もやむなしである。

中団でレースを進めたスターズオンアースは、直線に入っても馬群の中、前が壁の状態。
残り300mを切って前のパーソナルハイとアルーリングウェイの間に隙間ができると見るや猛然と加速するが、両馬の間に割って入った瞬間、内にいたピンハイが斜行してパーソナルハイにぶつかり、押されたパーソナルハイによってアルーリングウェイとの間に挟まれてしまう(この件でピンハイの高倉稜騎手は過怠金を課された)

繊細な牝馬であれば、他馬のタックルを受けるとそのまま戦意喪失してしまうことも珍しくない(例:2021年桜花賞でメイケイエールのタックルを食らったソングライン)。ところがスターズオンアースは怯むどころか逆に闘志を燃やしてさらに加速。間を割って抜け出すと、前を行くウォーターナビレラを猛追する。
鞍上の武豊が「今日は全てうまく行きました」と語るほど完璧なレースをし、誰もが押し切る流れと思っただろうウォーターナビレラをゴール手前で捕らえ、ハナ差差しきったところがゴール板だった。

鞍上の川田騎手は「彼女の気持ちの強さが最後につながりました」とコメント。ここまでの勝ちきれない戦いの鬱憤を晴らすように大一番で父譲りの勝負根性を発揮し、武兄弟の夢を打ち砕いて桜の女王に輝いた。ドゥラメンテ産駒は昨年の菊花賞馬タイトルホルダーに続く2年連続2頭目のクラシック制覇。高柳師は開業12年目で嬉しいGⅠ初制覇となった。

2022年オークス・運命を導く街角のヴィーナス

続いて優駿牝馬(オークス)(GⅠ)へ。1982年の勝ち馬ダイナカール、1996年の勝ち馬エアグルーヴの血を継ぎ、母母*スタセリタもフランスオークスことディアヌ賞の勝ち馬。さらには叔母ソウルスターリングも2017年に制している、血統的には非常に縁が深いレースである。

しかし川田将雅がお手馬だった母パールコードのリベンジを目指して忘れな草賞勝ち馬アートハウスに回ったため、今年未だJRA重賞未勝利のクリストフ・ルメールが初騎乗。さらに前走の桜花賞が10着まで0.3秒台に収まる大混戦だったのに加え、過去40年間で勝ち馬はアパパネと同着のサンテミリオンしかいない大外8枠18番というのもあり、人気でもそのアートハウスに抜かれて単勝6.5倍の3番人気に留まった。

そしてスタート前にラブパイローに蹴られたサウンドビバーチェが放馬するアクシデントが発生。7分ほど走り回った後に捕らえられ除外。17頭でのレースとなり、発走は10分以上遅れることに。
1番人気のサークルオブライフ等はその影響もあってか出遅れ、逃げを打ったニシノラブウインクがペースを作る中、中団外目に構えたスターズオンアース。直線で真ん中から大外に持ち出すと、残り400mからぐんぐんと伸び、並んで伸びてきたスタニングローズや内から突っ込んで来たナミュールをまとめて振り落とし、1と1/4馬身差という着差以上の力強い完勝。父ドゥラメンテの二冠から7年、今度は府中から天へと旅立った父に向け地上から星を輝かせてみせた。

これによってスターズオンアースは父ドゥラメンテと同じくクラシック二冠達成。しかも桜花賞・オークスともテン乗りでの二冠は史上初。母母スタセリタのディアヌ賞(仏オークス)、叔母ソウルスターリングのオークスもC.ルメール騎乗だったことを思えば、ここでのルメールへの乗り替わりは運命だったのかもしれない。

しかしこの二冠の代償も大きく、レース後に右前肢第1指骨の剥離骨折が発覚。更に検査を行ったところ左前肢第1指骨の剥離骨折も判明。父ドゥラメンテも辿ったケガとの戦いというイバラの道へと足を踏み入れることになった。

2022年秋華賞・輝く三冠の夢を追って

両前脚の骨片摘出手術を受け、術後は順調に回復し、引き続きルメールとともに秋華賞(GⅠ)へと直行。3冠を期待されての1番人気ではあったものの、怪我明けということもあってオッズは3.0倍にとどまった。

3冠を目指してゲートが開かれたがまさかの出遅れ、加えて即前を塞がれ挟まれる苦しい立ち上がりとなり、最後方からのレースを強いられることに。4コーナーを回っても以前最後方であったが直線でルメールが冷静に馬郡の間を縫っていき一気に追い上げる。が、スタニングローズを捉えきれずナミュールにもハナ差敗れての3着。牝馬三冠の夢は儚く散った。桜花賞・オークスを獲ってクラシックを二冠で終えたのは、2009年のブエナビスタ以来となる。とはいえ直線で見せた豪脚は見事の一言でありポテンシャルの高さは改めて示した。高柳師も戦前に「小回りコースなのでスムーズな競馬をしてほしいし、ルメール騎手にお任せしたい」と触れていたし、つくづく出遅れと挟まれがなければなあ…。

レース後の検査では左前肢の繋靭帯に軽度の炎症が診られたため、年内は休養。来年度に向けて二冠牝馬は、更なる輝きを見せるために再び雌伏の時を送る。

JRA賞では三冠を逃したため満票とはいかなかったものの、288票中286票を集めてこの年のJRA賞最優秀3歳牝馬を受賞した。

2023年大阪杯・届かぬ崖の上のジュピター

休養後、初戦は大阪杯(GI)。レース数日前に調教後の馬体重が+24kgと報じられファンをざわつかせたが、当日は+12kgに落ち着いた。鞍上は今回もルメール。牡馬との戦いは未勝利戦以来となったが、牡馬に超大物がいなかったこともあり、混戦ムードの中でも3.4倍の1番人気に支持される。

大きな出遅れこそしなかったが、スタート直後に隣のキラーアビリティに寄られるなどした結果、今回も集団後方からのレースとなる。逃げるジャックドールが1000m58秒9のハイペースに後続を巻き込んでの消耗戦を仕掛ける中、スターズオンアースは4コーナー時点でも馬群の中の9番手。しかし中団~後方勢がジャックドールのペースの追走だけでスタミナを削られ伸びあぐねる中、直線で前に上手い具合に進路が開くとそこから一気に追い上げ、上がり600m最速の34秒4という豪脚を繰り出し、先頭で逃げていたジャックドールと並んだところがゴール板。ハナ差残されての2着惜敗となった。
3着ダノンザキッド、4着マテンロウレオも先行組で、ハイペース消耗戦の前残りの展開の中でただ一頭、後方から追い込んでのハナ差2着は牝馬二冠馬の意地と強さを見せた内容と言えた。

ルメールは「良いレースはできてラストは脚を使っていますが、元々2400mの馬です。長い直線があれば。秋華賞と同じでした」とコメント。秋華賞と同じく、小回りコースに泣かされる形となってしまった。

2023年ヴィクトリアマイル・先行く雨底のシリウス

次走は引き続きルメールとヴィクトリアマイル(GI)。大阪杯のルメールのコメントとは真逆の距離選択だが、今後のレース選択を考えれば改めてマイルでの実力を測ることには意味があるし、末脚自慢の彼女には直線の長い府中の方が有利という考え方もあり、桜花賞以来のマイル再挑戦となった。
ファンも同様に直線の長い府中ならと考えたか、当日は1枠2番という枠がどうかという見方もありつつも、前年覇者ソダシや昨年の安田記念覇者ソングライン、悲願のGⅠ制覇を目指して仕上げてきたナミュールらを抑え、2.5倍の1番人気に支持される。

雨の降りしきる中課題のスタートが決まり、そのままいつもより前目の5番手あたりに構えたスターズオンアースは、そのまま逃げるロータスランドとそれを追うソダシを見ながら内を回して直線へ。直線では外に振ってソダシを追いかけたが、中距離戦で見せるような末脚の伸びはなく、後ろからぴったりとマークしてきたソングラインにかわされ、目標にしたソダシにも3/4馬身振り切られて3着
ルメールは「マイルのスペシャリストが相手では分が悪いです」とコメント。マイルのペースでは自慢の末脚が残せず、やはり2000m以上が本領のようだ。

その後は直線の短い阪神開催の宝塚記念には出走せず秋まで休養。秋初戦として天皇賞(秋)を選択、ルメールがイクイノックスに騎乗するため鞍上をミルコ・デムーロに変えて出走する予定だったが、レース当日の5日前に右前脚の蹄に異常があることを理由に回避することが発表された。挫石のような症状で重度の怪我ではないようだが、末脚を活かせる府中のレースに出走できなかったことは陣営にとって非常に残念なことであろう。

血統表

ドゥラメンテ
2012 鹿毛
キングカメハメハ
2001 鹿毛
Kingmambo Mr. Prospector
Miesque
*マンファス *ラストタイクーン
Pilot Bird
アドマイヤグルーヴ
2000 鹿毛
*サンデーサイレンス Halo
Wishing Well
エアグルーヴ *トニービン
ダイナカール
*サザンスターズ
2013 鹿毛
FNo.16-c
Smart Strike
1992 鹿毛
Mr. Prospector Raise a Native
Gold Digger
Classy 'n Smart Smarten
No Class
*スタセリタ
2006 青鹿毛
Monsun Konigsstuhl
Mosella
Soignee Dashing Blade
Suivez

クロスMr. Prospector 4×3(18.75%)

  • 2代母スタセリタの産駒に2016年阪神ジュベナイルフィリーズや2017年優駿牝馬優勝のソウルスターリング、2018年アルテミスS(GIII)優勝のシェーングランツがいる。
  • 1920年シュヴァルツェクッテを祖とする「ドイツのSライン」と呼ばれるSをイニシャルとする名牝系に属する。なおドイツ国内では母親のイニシャルを受け継ぐのがルールだが、国外では特に命名に縛りはない。

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関連項目

  • 競馬
  • 競走馬の一覧
  • 2022年クラシック世代
  • ドゥラメンテ / スマートストライク / スタセリタ
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