地球連邦軍、並びにジオン公国の戦士に告ぐ。
我々はデラーズ・フリート!
いわゆる、一年戦争と呼ばれた、ジオン独立戦争の終戦協定が、偽りのものであることは、誰の目にも明らかである!何故ならば、協定は『ジオン共和国』の名を騙る売国奴によって結ばれたからだ。
我々は、些かも戦いの目的を見失ってはいない。それは、間もなく実証されるであろう。
我々は日々思い続けた、スペースノイドの自治権確立を信じ、戦いの業火に焼かれていった者達の事を。
そして今また、敢えてその火中に飛び入らんとする若者の事を。
スペースノイドの、心からなる希求である自治権要求に対し、連邦がその強大な軍事力を行使して、ささやかなるその芽を摘み取ろうとしている意図を、証明するに足る事実を、私は存じておる。見よ、これが我々の戦果だ。このガンダムは、核攻撃を目的として開発されたものである。
南極条約違反のこの機体が、密かに開発された事実をもってしても、呪わしき連邦の悪意を、否定出来うる者がおろうか!省みよう!何故ジオン独立戦争が勃発したのかを!
何故我等がジオン・ズム・ダイクンと共にあるのかを!我々は三年間待った。
もはや、我が軍団に躊躇いの吐息を漏らす者はおらん。今、若人の熱き血潮を我が血として、ここに私は改めて地球連邦政府に対し、宣戦を布告するものである!!
繰り返し心に聞こえてくる、祖国の名誉の為に……機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY 第5話 『ガンダム、星の海へ』より
エギーユ・デラーズとは、機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORYの登場人物である。
概要
ギレン・ザビの理想を盲信するジオン軍人で、デラーズ・フリート創設者。年齢を思わせるちょっと強面な顔立ちと、スキンヘッド&かこみ髭が特徴の男。ちなみに禿ではないらしい。
前史
一年戦争時はジオン公国軍の大佐であり、元々は宇宙攻撃軍ソロモン防空隊グワデン艦長であったが、ア・バオア・クー戦ではア・バオア・クー統一軍総帥直属艦隊司令と所属が変わっている(公式HPより)
ギレンの野望のムービーではギレンの近しい立ち位置にいたと伺わせる表現になっていることが多い。一方で公式HPでは「スペースノイドの自治獲得という主張に賛同していただけかも知れない」という記述があり、ギレン・ザビの信奉者とされるがその詳細は不明である。
しかしギレンは誅殺され、その件は戦死と報告を受けたものの、デラーズは即座にキシリアによる暗殺と看破、直後に離脱する算段をはじめ、指揮下の艦艇に準備させることを指示した(9:25)。ドロワ撃沈、母艦を失い当時大尉だったアナベル・ガトーが死して忠義を示そうとしていたため、その生命を預かる形で強引に引き止めた(10:20)。デラーズ艦隊、アバオアクーを離脱(11:00)。公式百科事典においてはミライの感じた公国軍の防御の乱れがこのデラーズの撤退によるものとの推察があるが、あくまで推察であり確定といえるものではなく、従来通りのギレン殺害による混乱が原因とするのが主流である。
終戦後、カラマポイントに集結した残党のうち、戦力の充実を図りつつ連邦に対し付け入る隙を模索しようとした者たちはアクシズへ退避することとなった。一方、連邦に対して地球圏に残っての徹底抗戦を選んだ者たちを糾合し再編成したのがデラーズであった。その後デラーズは艦隊を暗礁宙域に移動、茨の園と呼ばれる繋留基地の設営に入った。中将への昇進時期は不明であるが、糾合した公国軍残党の中での推挙、アクシズとの共闘関係樹立の際の昇進、あるいはその両者(推挙後、アクシズによる承認)であると推測される。公国軍残党中、地球圏最大の戦力を率いる人物であるから、相応の階級が必要とされたため昇進したのは間違いない。(機動戦士ガンダム公式百科事典ーGUNDAM OFFICIALSより)
人柄・活躍など
0083劇中の事件を起こした張本人であり、敵側における最大のキーパーソンである。後に0083での一件は彼の名をとってデラーズ紛争と呼ばれるようになった。
星の屑作戦を計画し、核兵器を発射することが可能なガンダム試作2号機(RX-78GP02)を強奪。地球連邦軍などに対して「戦争はまだ終わっていない。降伏宣言は売国奴によるものだ」として宣戦布告した。
人物的には、ギレンのように絶対的な思想を基軸としたカリスマがあるというよりは、部下を慮った行動や言動で厚い信頼を受けるタイプである。それは生き恥を晒す羽目になったアナベル・ガトーが絶対的な忠誠を誓っていることからも伺え、他の部下たちからも本当の意味で信頼されている。
思想面では前史にも記述される通り、ギレンの像を置くなどしてギレン・ザビを信奉しており、連邦軍のコーウェンからはギレン・ザビの亡霊と揶揄される一方で、公式設定資料等では「単にスペースノイドの自治権獲得」という主張に賛同していただけかもしれない、とも記述されている。
性格面では星の屑作戦といったネーミングセンスから伺えるように、ロマンに走りがちな傾向があるようだ。またかなりの理想家な部分もあり、それは汚れ仕事専門かつデラーズ・フリートと肌が合わないであろうシーマ・ガラハウを引き入れ、アナベル・ガトーにも諫言されたにも関わらず「自分が導く」と豪語するといった点に表れている。
軍略家としては大変優秀であり星の屑作戦という困難な作戦を成功させた一方で、作戦結果をジャミトフらに利用された点から政治的な能力には欠けていたという評価もある。
作中では、星の屑作戦の真の目的であるコロニー落とし計画までこぎつけるが、そんな自分が導くとしていたシーマに大事な局面において裏切られてしまう。
さらにバスク・オムが展開したソーラ・システムⅡの存在により、星の屑作戦の本懐であるコロニー落とし計画すらもご破産になると思われた
しかし、シーマの裏切りによって人質にされたデラーズを前に迷うガトーを見て、「屍を乗り越えて行け」と叱咤。彼にコロニー落とし完遂の決意を抱かせたものの、それに激怒したシーマに射殺されてその激動の生涯を終える。
星の屑作戦は、当初の狙い通り北米穀倉地帯をコロニー落としで壊滅させることにより確かに食料自給を宇宙側に傾けることに成功した。だが一方でコロニー落としではなくコロニー落下事故であるという名目でバスク・オムやジャミトフによってティターンズ結成に利用されることとなり、スペースノイドの発言権上昇という目的は抑え込まれ、Zの物語へと続くことになる。
ちなみにコロニー落下事故として発表された理由としては、反連邦プロパガンダとしての役目も持っていたコロニー落としを事故として処理することにより、そのプロパガンダとしての機能を失わせる意図であった。
その後の内乱や連邦の疲弊、アクシズの帰還等も含め、星の屑の結果をどう見るかは視点や個人により評価の分かれるところであるが、勝利者などいない物語に相応しいラストと言えるかもしれない。
余談
- 0083冒頭でアナベル・ガトーが乗ろうとしているのは、デラーズ専用のリック・ドム(プロトタイプ・リックドムⅡ)である。つまりガトーは事もあろうに上官の機体を無理矢理拝借して戦おうとしていたことになる。また、デラーズによってそのリック・ドムが運用されていたのか、あるいは象徴的なものだったのかは定かではない。
- 生真面目で気高い人物であるが、スタッフ曰く「あの髭は二時間も手入れして作っている」とのことである。
関連動画
関連項目
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