札沼線(さっしょうせん)とは、北海道旅客鉄道(JR北海道)の鉄道路線である。学園都市線という愛称でも呼ばれる。
概要
札沼線(学園都市線) | |
基本情報 | |
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運行事業者 | 北海道旅客鉄道 |
総路線距離 | 28.9km |
総駅数 | 13駅 |
路線記号 | G |
軌間 | 1067mm |
使用車両 | 721系 731系 733系(0番台・3000番台) 735系 |
最高速度 | 85km/h(桑園-石狩当別) 65km/h(石狩当別-北海道医療大学) |
北海道札幌市中央区の桑園駅と、北海道石狩郡当別町の北海道医療大学駅とを結ぶ地方交通線。
ただし、実際には桑園駅を起点・終点とする列車はなく、同駅に停まる列車は全て函館本線と並走し、札幌駅(一部は千歳線経由で新千歳空港駅)までを運行範囲とする。
非電化区間(北海道医療大学駅-新十津川駅間)の運転が行われていた頃は、運行形態は桑園駅-石狩当別駅(現在の当別駅)間と、石狩当別駅-新十津川駅間とで大きく分けられており、両区間をまたいで運行される列車は札幌駅-北海道医療大学駅間を運行する列車を除き存在しなかった。
現行の運転区間には駅ナンバリングが付されており、Kitaca・Suicaも使用できる。また、この区間は2012年(平成24年)6月1日より電化区間となっている。全列車の約7割、69本が電車化された。同年10月には電車車両の増備により、桑園駅-石狩当別駅間の列車がすべて電車での運行となり、ダイヤも大幅に変更された。2020年4月18日からは北海道医療大学駅以北の運休に伴い、線内すべての列車が電車での運行となった。
札沼線を走る列車には快速や特急といった種別はなく、全列車が各駅に停車する。ただし、千歳線直通列車で直通先において快速エアポートとなる列車は存在する。
札幌駅-あいの里公園駅間は住宅街を進み、地方交通線とはいえ利用客はそこそこ多い。一方、北海道医療大学駅以東は国道275号と並走する形で敷設されているが、このあたりとなると利用客も少なくなり、まさに超ローカル線といった趣として主に鉄道ファンに親しまれていた。列車の本数が少ないので、旅行の際は並行するバスや函館本線へ抜けるバスを利用することで移動の幅が広がっていた。
札幌駅で他の路線と繋がっているとはいえ、直通する列車の数は極端に限られている。全区間非電化だった当時は、函館本線経由の江別駅発着の列車が1日1往復(かつては2往復)あったのみで、部分電化後も千歳線直通列車が1日2往復設定されたのみ(函館本線への直通列車は廃止)、現在では新千歳空港駅まで直通の1往復のみである。そのため、別の線区で運行支障が起こり、運休や遅延が続発したとしても「学園都市線は相変わらず平常通り運転しております。」と札幌駅の改札口で案内されるのが日常となっている。一方で、札幌圏の他の路線に比べて風や雪が強くなりやすく、学園都市線だけ運休ということもままある。
歴史
「札沼線」という名は、この路線がかつて札幌駅と、北海道雨竜郡沼田町にある石狩沼田駅(留萌本線)とを結んでいたことに由来する。1935年(昭和10年)に全線開通。しかし戦時中には石狩当別-石狩沼田が休止。戦後復活するも、1972年(昭和47年)に新十津川駅-石狩沼田駅間が廃止となった。どちらも、函館本線が比較的近かったことで利用が伸びなかったという事情があったとされる。もしもこの区間が現在まで廃止されずに残っていたら、北竜町ひまわりの里などへの最寄路線となっていたであろう。
なお新十津川駅-石狩沼田駅間が残存していた最末期は、札幌から留萌本線を経由して深川駅まで直通する列車が上り2本運転されていた。なお、札幌駅-石狩沼田駅を直通していた列車は一日上り5本、下り4本であった。
路線一部廃止によって路線名が実態とはそぐわないものとなってしまったことや、北海道教育大学・北海道医療大学・札幌市立高等看護学院(現:札幌市立大学桑園キャンパス)などといった教育施設を沿線に抱えることから、1991年(平成3年)に「学園都市線」の愛称を設定。現在、JR北海道の車内放送などでは、学園都市線の呼称のほうが使われている。
また沿線における大学等設立や、札幌市北部の宅地開発の進展を受け、国鉄末期~JR化後直後の1980年代から、列車本数の増加や駅の新設が行われるようになる。列車本数は札幌発の列車で、新十津川以北廃止直前の1972年(昭和47年)3月ダイヤではわずか11本だったものが、JR化後まもない1987年(昭和62年)8月ダイヤでは33本、札幌側の全列車電車化後の2012年(平成24年)10月ダイヤでは57本となっている。また札幌市内の駅数は1970年代まで5駅(桑園駅含む、札幌駅は含まない)であったものの、1986年(昭和61年)に新川駅・太平駅・百合が原駅・あいの里教育大駅、1988年(昭和63年)に八軒駅が増設されて10駅にまで増えている。
また、しばらく非電化のまま本数増などのサービス向上をしてきたものの、その後に非電化のままよりも電化したほうがコストダウンになる(周辺の路線と車両を共通化できる、気動車の製造会社が減った影響で気動車の維持コストが増大している)との判断から、北海道医療大学以南の交流電化工事と電車投入を行い、2012年(平成24年)6月から利用を開始している。
2022年(令和4年)3月12日にはロイズふと美工場の近くに新駅(ロイズタウン駅)が設置され、当別町内も便利になりつつある。ちなみに石狩太美駅、石狩当別駅は当別町にあるにも関わらず、石狩市の駅と誤認されることから、新駅開業と同時に「石狩」を外した。
札沼北線(北海道医療大学以北)の廃止
…と札沼線の札幌側は大きくテコ入れされたものの、新十津川側は運行形態も含めて依然としてローカル線という雰囲気であった。1986年(昭和61年)には浦臼駅以北の列車本数が5往復から3往復に削減。浦臼駅の行き違い設備も撤去され、石狩月形駅-新十津川駅には1本しか同時に列車が入れなくなっている。このため、新十津川駅の始発列車は朝の9時台と非常に遅い。2016年(平成28年)3月26日北海道新幹線開業に伴うダイヤ改正では、前述の始発列車以外はすべて浦臼駅以南で折り返しの運用となり、浦臼駅-新十津川駅間の列車はついに1往復まで減便されてしまった。
当別・月形・浦臼・新十津川の沿線4町および北海道で発足した「札沼線まちづくり検討会議」による協議の末に廃止が検討され「該当区間を廃止しバス転換する」という条件で合意。これによりJR北海道から2020年のダイヤ改正で該当区間の廃止が発表される。ゴールデンウィーク最終日の2020年5月6日にラストランを行って翌日7日付で廃止する予定だったが、このころ流行していた新型コロナウイルス感染症の拡大防止に向けた非常事態宣言を受け、JR北海道は同年4月10日に4月24日に最後の定期運行実施→4月27日ラストラン→28日廃止という方向で前倒しを発表したが、16日に政府から日本全国への緊急事態宣言が適用されたため、緊急でラストランを行わず2020年4月17日の定期運行を最後とすることになり、しばらく休止路線として扱われ5月7日付で正式に廃止となる。
そして2020年5月7日、全国の鉄道ファンや沿線住民に見送られることなくひっそりと廃止を迎えた。これにより札沼線は事実上、全区間電化路線となった。
代替バス
1972年の時点で鉄道が廃止されていた新十津川駅-石狩沼田駅と、列車本数の少ない石狩月形駅-新十津川駅については、長らく国鉄バス(のちジェイ・アール北海道バス)がバスを運行して補完していたものの、2003年(平成15年)に撤退し、以後は北海道中央バスが滝川駅 - 石狩沼田駅と滝川駅 - 新十津川役場 - 浦臼駅で路線を運行することとなった(浦臼駅 - 石狩月形駅のうち、浦臼町内は町営バスが設定されたが、月形町内はバス路線全廃となった)。
その後の2008年に北海道中央バスは碧水駅-石狩沼田駅から撤退、同区間は沼田町のバスで連絡する形となった。
2020年に北海道医療大学駅-新十津川駅間が廃止された際は、代替路線は「石狩当別駅-北海道医療大学駅-石狩月形駅」「石狩月形駅-浦臼駅」の2路線を新設し、浦臼駅-新十津川駅の代替路線は上述の北海道中央バスの路線をそのまま用いるものとした。なおこれらの新設2路線は、鉄道路線廃止よりも前の4月1日より運行が開始されている。
駅一覧
各駅停車のみ存在し、全列車各駅に止まる。ただし、ロイズタウン駅は一部列車が通過となる。
∥:複線区間 ◇、|:単線区間(◇は列車交換可能) ∧:ここより下は複線 ∨ここより下は単線
駅番号 | 駅名 | 読み | ■接続路線 ○駅周辺施設 備考 | 線 路 |
所在地 | |
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一部列車は千歳線新千歳空港駅まで直通 | ||||||
01 | 札幌駅 | さっぽろ | ■JR北海道:函館本線・千歳線 ■札幌市営地下鉄:南北線・東豊線(さっぽろ駅) 正確には札沼線の駅ではないが、全列車が乗り入れるため便宜的に記す。 |
∨ | 札 幌 市 |
北 区 |
S02 | 桑園駅 | そうえん | ■JR北海道:函館本線 ○JR北海道本社 ○イオンショッピングセンター ○桑園自動車学校 ○市立札幌病院 |
◇ | 中 央 区 |
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G03 | 八軒駅 | はちけん | ∧ | 西 区 |
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G04 | 新川駅 | しんかわ | ∥ | 北 区 |
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G05 | 新琴似駅 | しんことに | ■札幌市営地下鉄:南北線(麻生駅) 札幌市営地下鉄麻生駅からは北西に少し離れた場所にある(振替輸送対象駅)。 |
∥ | ||
G06 | 太平駅 | たいへい | ∥ | |||
G07 | 百合が原駅 | ゆりがはら | ○百合が原公園 | ∥ | ||
G08 | 篠路駅 | しのろ | ○札幌市北区役所篠路出張所 | ∥ | ||
G09 | 拓北駅 | たくほく | ∥ | |||
G10 | あいの里教育大駅 | あいのさときょういくだい | ○北海道教育大学札幌校 | ∨ | ||
G11 | あいの里公園駅 | あいのさとこうえん | ○あいの里公園 | ◇ | ||
G11-1 | ロイズタウン駅 | ろいずたうん | ○ロイズ ふと美工場 | | | 石 狩 郡 |
当 別 町 |
G12 | 太美駅 | ふとみ | ◇ | |||
G13 | 当別駅 | とうべつ | ○当別町役場 バスで江別駅にアクセス可能(平日のみ)。2016年3月をもって廃止されました。 |
◇ | ||
G14 | 北海道医療大学駅 | ほっかいどういりょうだいがく | ○北海道医療大学 本路線の終点。 |
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以下、灰色の区間は2020年5月7日付で廃止 | ||||||
- | 石狩金沢駅 | いしかりかなざわ | | | |||
- | 本中小屋駅 | もとなかごや | | | |||
- | 中小屋駅 | なかごや | | | |||
- | 月ヶ岡駅 | つきがおか | | | 樺 戸 郡 |
月 形 町 |
|
- | 知来乙駅 | ちらいおつ | | | |||
- | 石狩月形駅 | いしかりつきがた | ○月形町役場 ○皆楽公園 有人駅だが、下車時の運賃は無人駅同様車内で支払う形となっていた。 バスで江別駅・岩見沢駅にアクセス可能(江別行きは平日のみ)。 |
◇ | ||
- | 豊ヶ岡駅 | とよがおか | いわゆる秘境駅。 | | | ||
- | 札比内駅 | さっぴない | | | |||
- | 晩生内駅 | おそきない | | | 浦 臼 町 |
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- | 札的駅 | さってき | | | |||
- | 浦臼駅 | うらうす | ○浦臼町役場 バスで滝川駅・奈井江駅にアクセス可能(奈井江行きは平日のみ)。 |
| | ||
- | 鶴沼駅 | つるぬま | | | |||
- | 於札内駅 | おさつない | | | |||
- | 南下徳富駅 | みなみしもとっぷ | | | 新 十 津 川 町 |
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- | 下徳富駅 | しもとっぷ | | | |||
- | 中徳富駅 | なかとっぷ | 2006年廃止 | | | ||
- | 新十津川駅 | しんとつかわ | ○新十津川町役場 3kmほど離れた場所に、JR函館本線・根室本線の滝川駅がある。駅前から国道に出てバスでアクセス可能。 |
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関連項目
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