貴方がアクセスを試みているファイルはレベル4/2000クリアランスを持つ人員にのみアクセスが許可されています。このクリアランスは通常のレベル4セキュリティプロトコルに含まれません。 必要なクリアランス無しにこれ以上のアクセスを試みることは財団による雇用の終了、全ての教育上、医療上、退職後、あるいは死亡時の福利厚生を取り消す根拠となります。資格認証のため、貴方はこれをもって既知の認識災害的画像に暴露される事に同意することとなり、貴方が画像に対する予防措置を受けていることを確認します。認証されていないアクセスの場合、このコンソールは操作不能になります。保安要員が派遣され、貴方を蘇生した後に尋問のため留置房へ護送することになります。財団のイントラネットに接続されていないいずれのコンピューターからこのファイルへアクセスを試みることも、クリアランスに関わらず即時終了をもたらすこととなります。 SCP-2000 - SCP財団より,2022/07/22閲覧 |
[ログイン資格を提示せよ: 要レベル4/2000クリアランス]
意識が確認されました。ファイルを取得します。
SCP-2000
SCP-2000とは、シェアード・ワールド『SCP Foundation』に登場するオブジェクト(SCiP)である。
なお本記事は『SCP-1422 (イエローストーンの怪)』の読了を前提とした記述が多く含まれることにご留意いただきたい。また、今となってはSCPバースにおいてある種の最重要オブジェクトとなっているオブジェクトであるが、しっかり読もうとすれば読むほど理解が追いつかなくなる難解なオブジェクトである。SCP初学者の諸兄は『特別収容プロトコル』に関しては斜め読みをするか読み飛ばして早々に解説を読んでいただくことを薦める。
特別収容プロトコル
前述の通り、この項はかなり長い上に専門用語が頻出するため、シェアード・ワールド『SCP Foundation』になれていない読者諸兄は次の概要から読みすすめることを薦める。なお、専門用語が頻出するのは本記事が書かれるきっかけとなったSCP-2000コンテストのテーマが『SF』であり、サイエンス・フィクションとしての設定を練り上げた結果と考えられる。
キーワード | |
---|---|
スクラントン現実錨 | 空間の現実性の強さ (ヒューム)を一定値に固定できる装置。これによって、何者かによる現実歪曲を防止することができる。 |
シャンク/アナスタサコス恒常時間溝 | 定常タキオン流を発生させることで、時間・因果律・空間の隔絶を発生させ、内部を現実改変から保護する装置。 |
擬リーマン多様体 | リーマン多様体の一般化。多様体というのは曲面上の座標のこと。正直、これに関しては施設内部を拡張する何かと捉えたほうがいいだろう。 |
SCP-2000は通常、イエローストーン国立公園の放棄されたパークレンジャーステーションに偽装されている。一般人が今までに幾度となくこの施設に不法侵入を試みているが、SCP-2000に到達した人は皆無である。徹底的に一般のパークレンジャーステーションに偽装するためか、無標識のロードビークルや民間のヘリコプターを使用した物資移送も認められている。
また、財団職員もレベル4/2000未満のクリアランスを持つ職員はSCP-2000の書類のアクセスそのものが許可されず、レベル5/2000未満のクリアランスを持つ人員はサブレベル3より下に侵入できないというくらいに徹底したセキュリティクリアランスが制定されている。このレベル4/2000というのはすべてのレベル4職員ではなく、SCP-2000に対してのレベルが別途設定され、それを満たしていない職員には開示されないよ、という『Need-to-Know』の原則に基づいている。かなり厳格なクリアランスを設定されているのがわかるだろう。それだけでなく、通例現地に配置されたレベル4/2000以上の人員は割当期間中にイエローストーン国立公園を離れることが許されず、離れる際はSCP-2000のことを忘れるような記憶処理と、他の高セキュリティクリアランスまたはKeterクラスアノマリーの収容に割り当てられたとする虚偽記憶が埋め込まれる。チャールズ・ギアーズ博士またはO5評議会により、追加で一時的にレベル4/2000クリアランスを付与することもできる。
このSCP-2000の外層は敵対的なアノマリーによる妨害を防ぐため、20mごとに六角形に並べられたスクラントン現実錨 (Scranton Reality Anchor、以下SRA)で囲まれ、更に施設全域の定常タキオン波を維持するために、シャンク/アナスタサコス恒常時間溝(Xyank/Anastasakos Constant Temporal Sinks、以下XACTS)が設置されている。更にサブレベル4の入り口では擬リーマン多様体が起動されており、これらの技術は常に点検され、可能な限り維持と補修には非特異的材料と資源を用いる。これにより延べ10km2の床面積が得られており、36時間は擬リーマン多様体の故障後も機能し、更に無制限に修復が可能なのだという。
SCP-2000の存在や機能に損害を与えないいかなるK-クラスシナリオに対しても手順CYA-009は実行され、残存する地球上の財団施設はシナリオの展開を監視、つまり「世界の終わり」について観察を行い、文書2000XKAC-1.9に定められるSCP-2000からの問い合わせに対して全てのサイトが警戒解除のコードを返すまでガニメデ・プロトコルにもとづいて可能な物的資源を保持する。そして、受理され次第、手順ラザルス-01が実施される。
概要
SCP-2000 | |
基本情報 | |
---|---|
OC | Thaumiel |
収容場所 | イエローストーン国立公園地下 |
著者 | HammerMaiden |
作成日 | 2013年11月22日 |
タグ | thaumiel ギアーズ博士 クレフ博士 シャンク博士 時間 構造 歴史 管理者 記憶影響 財団製 遺伝子 |
リンク | SCP-2000 |
SCPテンプレート |
過去数百年以内のいずれかの時点で建造された財団の地下施設。つまり財団が作っておきながらアノマリー認定されているのがSCP-2000である。
そして、このSCP-2000の目的は『文明の再構築』。人類が絶滅するなどの世界が終わる事態 (K-クラスシナリオ)が避けられない時、これを起動することで文明を再構築することが可能となる。このSCP-2000について建造されたり、想定される最初の使用の記録は失われているが、これが世界が終わるという事態にそこまで気にしていられないことによる偶発的なものだったのか、作った人が隠蔽を図ったのかは定かではない。とりあえず、SCP-2000は最低でも2回起動された形跡がある。施設の基幹部位は地下75mから100mの地点に広がっている。
SCP-2000の再構築にあたり、機密を保持しつつ全てを行うのは手に負えないが、すべてのサブシステムの再作成そのものは実験室環境において再作成に成功している。また、維持に必要な設備と手順は自然界にごくふつうに存在するものである。仮にもアノマリーとして認定されているのに、ここまで「財団がつくりました」「やろうと思えばもう一個作れます」「作るのに必要なものはすべてありふれた材料です」と連呼されるのもなかなかなものであろう。たとえば主電源は液体フッ化トリウム反応炉であり、併設して地熱発電機も設置されている。前者は原子力発電であり電源の安定供給に優れているためであるし、後者はイエローストーン国立公園が存在する場所がホットスポット故に使われているだけでいずれも不自然さもない。特別収容プロトコルで登場した機械類も財団製であり、その原理を財団は理解して使用しているようだ。
前述の発電機によって、恒常的に10000人の人員の生命維持が可能である。具体的には、浄水施設、大気浄化・再利用システム、水耕栽培棟と居住施設。――ここまで読んだ読者諸兄は次にこう言うだろう。「なるほど、たしかにすごいかもしれないが、それでどうやって文明を再興するんだ?」と。
SCP-2000には500,000のブライト/ザーションヒト科複製機(BZHR)が組み込まれている。これにより、1日に100000人の非特異人間を産み出すことができる。この人間は、SCP-2000域内の種々の温泉とマグマ流から人体錬成に必要な材料をかき集め、既知のすべてのヒト対立遺伝子のデータを格納したコンピュータメモリバンクにより、任意の失われたヒト遺伝子を再創造したり、あるいは再構築に当たっての新奇遺伝子を生成できる。要はクローンもデザイナーベビーもお茶の子さいさいと言っているわけである。繰り返すが、これは財団がありふれた材料で、自前で作成した機械なのだ。ただし、この装置にはとある欠陥が見つかっており、現在は故障中と見做されている。
こうやって生産された人間は、任意の年齢まで成長可能であり、クラスG幻覚剤の投与と催眠療法による擬似記憶の埋め込みも可能である。最低一人は生き延びた人間がSCP-2000を起動できるように、財団人員の生育歴や神経学的アーキタイプスキャン、遺伝子は保管されている。
世界がどうしようもなくなった時、SCP-2000のセキュリティシステムはロック解除され、任意の財団職員による手順CYA-009の着手が可能となる。更に20年経っても財団職員が誰一人来ませんでしたという事態になれば、一般人もアクセスでき、手順の着手が可能となる。一旦着手できればSCP-2000は近くにいる全レベル4/2000以上のクリアランス所持職員が健在かを確認し、誰一人無事でない場合は最初に該当者を再生産する。該当人員がすべて蘇生された時、手順ラザルス-01はレベル5/2000クリアランス所持職員が望ましい復活日時をSCP-2000のBZHRコントロールユニットに入力することで開始され、その時代における傑出した政治・文化的指導者の製造を開始するとともに、その時代の一般大衆の複製、その時代の文化基盤の複製などが行われる。このために建築資材、建築機具、工場機械、農機具、美術作品、音楽、文学作品、ワールドワイドウェブの完全なバックアップの貯蔵がされている。
とはいえ、いたずらに世界終焉の20年前より前に設定するな、と前反復 (前回SCP-2000を起動した時)時に歴史担当の博士であるアイゼンハワーは述べている。現監督官のギアーズもこれに賛同しており、「世界大戦は二つで十分だ」と記している。実際、戻しすぎると利用可能な資源まで壊す必要が出てくるだろう。日本で言えば昭和を再現しようとしたら、昭和に存在しない資源は全て破壊しないといけなくなる――USJは更地にしないといけないだろう。サイト外に居住する最初の補充人類はSCP-2000の存在と自分たちが産み出された機能を知らされており、文明の再構築にあたって財団を手伝い続ける。そしてその人類たちが地理的な離散と再構築を繰り返し、経済・農業インフラの回復を行う。一方財団はというと、歴史の連続性の体裁を保つために、年輪年代学的、天文学的、放射測定学的日時の改竄を行う。こうして手順の25-50年程度で西暦2000年の水準まで復元可能であると推定されている。これが終わると、記憶処理剤を大量に散布して再構築人類にそれまでの記憶を忘却させられる。
なお、これらのことから理想的な行動と文化的な修正を加えれば、人類が理想的に動けそうにも思える。極端に言えば、SCP-2000を最低2回も行ったのに、財団の対立集団が産まれるということは財団の理念を考えると喜ばしくないはずだが、ギアーズ博士は「これ以上の修正は技術的及び社会的発展が抑制されることが示唆される」として修正は行わない方針とのこと。
機能不全による「再生産」
先述したBZHRだが、現在は諸事情により故障中、と述べた。この故障とは具体的には以下の様なものである。
ある日、とあるSCPの収容違反の最中に、BZHRは起動して、同時にSRAとXACTSの機能不全が起きた。こうして25日もの間、1000万体の『人間』を出力したが、その姿は明らかに現生人類とは異なるナニカであった。この『人間』は追加された心室、多指、頭蓋内体積と頭蓋高の増大、そしてラジオ波を放射・受信する腹腔内臓器の存在……この「出来損ない」は5週間後に死ぬまで無意識状態にあり、クラスG幻覚剤の投与も受けておらず、催眠療法も受けていない。診断プログラムによるチェックと構造的修復が行われているが、通常機能の回復見込みはどんどん伸びており、2008年から2013年、更には2020年になってまだ復旧がなされていない。
更に、復旧の際に死後450-700年経過した遺骸を発見した。この遺骸はアルト・クレフ博士のセキュリティ資格を持っているにも関わらず、遺伝情報は一致しなかった。傍らにメモが落ちていたが、今生きているクレフ博士は以下のメモについて、何も知らないと回答している。
我々はなぜこれを造らねばならなかったのか?
いつやったのか?
どれほど続けているのか?
そもそも我々は知っているのか?!
SCP-2000 - SCP財団,2022/07/22閲覧
山積する謎
財団の秘密兵器であるものの、そもそも財団製であり、財団はすべてわかっているはずのSCP-2000。しかしそんなSCP-2000が産出したのは、およそヒトとは呼べぬ出来損ないであった。そもそも、最初の一回目の時点でなぜSCP-2000はつくられなければならなかったのか。そして、最低2度は起動されてしまったのは何が起きた故なのか。そもそも財団はこれを理解しきっているのか。
そもそもこの報告書を我々読者が開いた時、このページはレベル4/2000クリアランスを持つ人しか読めませんよと記載されているのだが、記事中ではレベル5/2000クリアランス、更にはレベル6/2000クリアランスの存在まで言及されている。ということはこのSCP-2000には、レベル4/2000人員には隠匿されている内容があるかもしれない。あるいは、何らかの虚偽が含まれる可能性すらある。サブレベル4以降のこともレベル4/2000は侵入できず情報も得られない。
なんなら、別に一つ隠匿されている情報があることに気付いているだろうか。上述の通り、SCP-2000を起動するにあたり、手順CYA-009と手順ラザルス-01、この二つの手順が実行されることが書かれている。このうち、手順ラザルス-01については詳述されているが、この前段階の時点でラザルス-01を行うにあたり、手順CYA-009が行われ、地球上の財団施設が警戒解除コードを送信すると実行されるとある。だが、その肝心の手順CYA-009については何も記されていないのだ。
レベル4/2000職員が理解できるのは、手順CYA-009が行われた後のサイトが警戒解除コードを送信すること。このことから、SCP-2000起動に当たり障害となるものの排除 (≒K-クラスシナリオの主要因の鎮圧) を行うことが推察される。だが何をどうやって?そもそも、手順CYA-009とは多くのK-クラスシナリオに有効な何らかの手順なのだろうか?
もう一つ、「出来損ない」についてだが、実はこの報告書には隠し文字が記載されている。
…お前たち人間は理解しない。そして私は決して理解することはないだろうと思う。
お前には彼らを戻すことは出来ない。
お前はそれを捕まえたか?
お前はすでに失敗している。
やめろ。
やめろ。
ただやめておけ。
SCP-2000 - SCP財団,2022/07/22閲覧
我々の視点では「頭が肥大した、ラジオ波でテレパシー会話ができる多指症の出来損ない」だが、もしかしたら我々こそが頭が小さくなり、テレパシー会話もできなくなり、指も欠損した出来損ないなのかもしれない。
SCP-2000は万能なのか
SCP-2000は現在壊れているが、仮に直ったとしたら、SCP-2000はいかなるK-クラスシナリオにも立ち向かえるのだろうか?
まずすごく夢のない話になるが、そもそも原子炉と地熱発電が止まると動かなくなってしまう。……つまり、地球そのものが破壊されたりするとどうしようもなくなるわけである。つまり、最低条件、地球は存続していなければならない。NK-クラス:世界終焉シナリオも地球そのものが住めなくなるためSCP-2000ではどうしようもできない。物理法則の変動にも無力なので、CK-クラス:再構築シナリオにも無力だ。皮肉にも、SCP-2000内部そのものはSRAとXACTSのおかげでその再構築の影響を免れるのだが。
地球が存在するGH-クラス:"デッドグリーンハウス"シナリオのようなケースであれば有効である。というより、このGH-クラスに関してはSCP-2000がTale『マリアナ海溝から回収された文書』に対するアンサーとして執筆されているため、有効であるように設定されたというほうが正しいのだが。
次に、あらゆる情報と、ワールドワイドウェブの完全なバックアップが取られているということは、人間の会話活動を全て記録しているということであるため、ミーム汚染が進行すると弱い。SRAもXACTSもあくまで現実歪曲を防げるだけで人間の意識までは守ってくれない。SCP-3002 (思考抹殺計画) がSCP-2000を無力化していることからこれも理解しやすかろう。
というかそもそもSCP-2000はシェルター兼再生装置がメインであり、上述の手順CYA-009で多少の何かはできるかもしれないが、物事の根本をどうにかするためのなにかではない。実際、本報告書内で『管理官』は「SCP-2000は神の不信を幾度も先延ばしにできるだけ」と記述している。極論、再生した人類がうまくやってくれることを祈り、「セーブ&ロード」を繰り返す地球規模のTASみたいなものなのである。
……にもかかわらず、どういうわけかSCP-3812 (背後から聞こえる声)に対してはSCP-2000が重大なダメージを与えることができていたりする。SCP-3812は雑に言えば具体的な姿をとらない最強の現実改変実体、いや多重メタ改変実体なのだが、SCP-2000のサブレベル4以下にある擬リーマン多様体による拡張エリアには物語改変に対抗するなにかがあるのだろうか。
他作品との関わり
SCP-2000はSCP-1422 (イエローストーンの怪) における、「なぜ財団職員だけがイエローストーン国立公園を認識できなかったのか」とTale『マリアナ海溝から回収された文書』における「財団職員が世界の再起動に使ったオブジェクトとはなんなのか」というのに答えて書かれたオブジェクトである。SCP-1422の執筆者Communism will win氏はかつてScantronと名乗っていたので「スキャントロン」→「スクラントン」と変形し、スクラントン現実錨に名前が使われている (その後、スクラントン現実錨の設定が拡張するに従い、Communism will win氏との関わりは薄れていったが)。また、Tale『マリアナ海溝から回収された文書』の執筆者はDr Gears氏であり、故にギアーズ博士がSCP-2000のHMCL監督官に任命されているのだろう。
ただし、アンサーということは逆説的に言えば『後付』でもあることに留意したい。読者諸兄のヘッドカノンにおいて、SCP-1422がただの不思議現象でもいいし、別の何かを隠匿する場所であってもいいし、財団と敵対する勢力が使用していてもいいのである。もっとも、SCP-1422が隠匿しそうなものとして、SCP-2000はこれ以上無いアンサーだったために、そのような別解釈がされることはもはやなくなってしまったが。Tale『マリアナ海溝から回収された文書』についても同様のことは言える。
逆にSCP-2000が登場するオブジェクトは数多あるのだが、中でも直接つながるのはSCP-3480 (オリンポス山) であろう。オリンポス山の頂上では、何故かSCP-2000の「出来損ない」と似たような人型実体が発見され――
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関連リンク
関連項目
- SCP Foundation
- マリアナ海溝から回収された文書
- SCP-2000-JP - 『伝書使』。SCP-2000に対する、日本支部流のさらなるアンサー。
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- リビジョン番号: 3285871
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