アーチャー自走榴弾砲とは、スウェーデンとノルウェーが共同で開発した自走砲である……スウェーデンの一国開発のような気がするが。
性能諸元
| 全長 | 14.10m |
| 全幅 | 3.00m |
| 全高 | 3.00m(乗員室の高さ)3.30m(武装含む) |
| 全備重量 | 33.5㌧ |
| 乗員 | 4名 |
| エンジン | ボルボTD102KH 6気筒ディーゼル |
| 最高出力 | 287HP/2200rpm |
| 最高速度 | 65㎞/h |
| 航続距離 | 550㎞ |
| 武装 |
その名は弓兵
スウェーデンの国産自走砲、バンドカヌーンの後継として開発された榴弾砲。バンドカヌーンが装軌式だったのに対し、こちらは装輪式になっている。
ボルボ製鉱山用ダンプ『A30D』のシャシーにボフォース製榴弾砲『FH77』を搭載し、砲塔は完全無人化・自動化されている。また、自衛用機銃まで無人砲塔化され、乗員4名は操縦席のキャビンから一切出ることなくすべての行動が可能。2S4チュリパン涙目。移動から停止→射撃体勢への移行までわずか30秒。射撃後バックれるまでも30秒しかかからないなど驚異的な身軽さを誇る。Sタンクの砲兵版じゃねぇか。
アチャー
その身軽さと全自動無人砲塔というハイテクぶりは日本の軍ヲタさんのハートをがっちり受け止めた。『こういう兵器こそ日本に必要なんだ!』と叫ぶヲタさんは数多い。
しかしこいつには致命的な弱点が存在する。まずはお値段高めという問題。装輪式が世界的に流行してるのは高速展開が可能な火砲が装軌式と比較して安価で買えるということなのだが、こいつのお値段は本国導入価格で450万ドル、日本円にして約5億。輸出するとなるともっとお値段が高くなるだろう。これの何が問題かというと、この値段だと、実は装軌式榴弾砲である韓国のK9自走榴弾砲が新品で買えるのである。イギリスのBAEシステムズが総代理店になって世界中に売り込みをかけているが、今のところスウェーデンと共同開発のノルウェー以外の採用国が出ていない。というか当のノルウェーがK9を購入してしまいスウェーデン涙目である。余談だが日本の19式装輪自走155mmりゅう弾砲は2020年度の納入価格で約6億8千万円なり。
そして最大の問題、それは軸重。要はタイヤ一個にかかる重量である。これの何が問題かというと、これが重い車両は硬い地面でないと走れないのである。柔らかい地面だとタイヤがスタックして埋まってしまう。ただでさえ33.4㌧なんてくっそ重いアーチャーはそれをたった六つのでっかいタイヤで支えている。こんなもん、例えば日本の田んぼに突っ込んだら一発で行動不能である。
2020年、とうとうスウェーデンは従来のボルボA30DからドイツMAN社製HX2軍用トラック(※19式装輪自走155mmりゅう弾砲に採用されたアレ)にシャーシを変更する発表をした。アーチャーHX2として米陸軍の次期装輪砲システムのコンベンションに参加し、AM社製『ブルータス』装輪自走砲システムと争うとのこと。
関連動画
総代理店BAEシステムズ制作のプロモーションビデオ。
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関連項目
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