クラウディオス・プトレマイオス(Klaudios Ptolemaios、英語 Claudius Ptolemy)とは、ローマ帝国時代の2世紀にエジプトのアレクサンドリアで活躍した学者である。英語読みでトレミーとも呼ばれる。
概要
プトレマイオスの生涯についてあまり多くは分かっていない。彼の著作から得られる証拠を元に推定される生没年は、おおよそ西暦100年から170年ごろにかけてである。また、名前からギリシア系の家系に生まれたのだと思われる。
天文学書『アルマゲスト』の著者として有名なので「天文学者」と紹介されることが多いが、実際には様々な分野で著作を残している。いずれも各分野では近代に入るまで必読の教科書とされたものばかりだ。あと名前が格好いいこともあって色々な創作で使われていたりする。以下に列挙する。
- アルマゲスト[天文学・数学]
- 元の題名は『マテマティケー・シンテーシス(数学全書)』で『アルマゲスト』は翻訳を繰り返すうちについた名前。プトレマイオスの代表作であり、17世紀まで西洋で一番権威のある天文学書であり続けた。詳細は当該記事を参照。
- 惑星の位置を計算するために幾何学を駆使しており、その産物として学校でも習う「トレミーの定理」が生まれた。
- テトラビブロス[占星術]
- 題名は「四巻の書」という意味のギリシア語だが、これも元々は別の名前だったようだ。『アルマゲスト』が数学を駆使して惑星の位置を計算することに特化した書なら、こちらはその計算結果を基に星占いを行うためのマニュアルである。
- 惑星仮説[天文学・宇宙論]
- 『アルマゲスト』は「地球からの惑星の見え方を計算するにはこうするといいですよ」という本であり、現実の惑星の配置についてはスルーしている。そのためプトレマイオスは『惑星仮説』と呼ばれる本を書いて、各惑星までの距離などについて考察した。一応ギリシア語のタイトルもあるが、そちらで呼ばれることはあまりない。
- ゲオグラフィア[地理学]
- タイトルはラテン語でそのまんま地理学。ギリシア語では「地理学入門」という意味の題名だった模様。地球が丸いことを前提として、ヨーロッパ、北アフリカ、そして当時存在は知られていた中国までのアジアを世界地図にまとめると共に各地の経度や緯度を記した。また地図の製作方法も解説している。
- 日本(ジパング)の存在が西洋に知られるのはもう少し後のこと。
- 15世紀にコロンブスは『ゲオグラフィア』の知識を元に、反対側から行けばジパングへ近道できると信じて航海に出た。ただ、地球は『ゲオグラフィア』に書かれているより大きいこと、そしてジパングとの間には未知の大陸が存在する事をコロンブスは知らなかったのである。
- ハルモニア論[音楽論]
- 『音階論』とも訳される。古代の音楽では音階と和音に関する理論が大事だった。そして音の高さは弦楽器の弦の長さで決まるので、こうした理論は突き詰めれば「比」の計算に行きつく。というわけで、かつては音楽論は数学の一種だったと言ってもよい。
- オプティクス[光学]
- ラテン語版しか残っていないが、中世のイスラム世界やヨーロッパで詳しく研究されたことが分かっている。ギリシアの先人たちの理論を継承し、光の反射や屈折などの計算と共に、視角の理論などもまとめた。なおプトレマイオス(と彼の先人たち)によれば、我々が物を見ることができるのは目からビームが出るからである。いや本当にそう言ってるんだってば。「外送理論」でググってみて。
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