ビルボ・バギンズ とは、J. R. R. トールキンの小説「ホビットの冒険」の主人公である。ホビットの冒険の続編である「指輪物語」にも登場する。
概要
生い立ち
バンゴ・バギンズと「トゥック家の三美人」の一人ベラドンナ・トゥックとの間に生まれる。バギンズ家がいわゆる「お堅い家」だったのに対し、トゥック家は名家でありながら好奇心の強い、無鉄砲な冒険者を輩出する家系であった。
両家の血を引くビルボは冷静沈着な所と向こう見ずさを併せ持つ、両家の特徴を兼ねた性格となった。後にガンダルフがはなれ山へのドワーフの旅にビルボを推薦した理由も、ビルボが「トゥック家の向こう見ずさとバギンズ家の冷静さを併せ持つ」ことにあった。
少年の頃のビルボは冒険に対するあこがれが強く、長寿で知られるゲロンティウス(通称トゥック爺)の下を訪れるガンダルフに冒険の話をせがんだという。ビルボ自身はこのことをほとんど忘れてしまったが、ガンダルフはこの頃からビルボのことを気に入っていた。
とはいえ、大人になるにつれてビルボは次第に冒険心を失っていく…
ホビットの冒険におけるビルボ
ビルボは両親から袋小路屋敷を初めとする財産を一人で受け継ぎ、満ち足りた生活を送っていた。かつてトゥック爺さんの話を目を輝かせて聞いていた頃の面影は影を薄め、すっかり一般的な「常識のある」ホビットとなっていた。
しかし、ある日ガンダルフが袋小路を訪ねてきたことから彼の日常は一変する。ガンダルフはかつて竜によって奪われたドワーフの王国「エレボール」の富を奪還するというドワーフたちの計画にビルボを推薦したのだ。
すでに冒険に対するあこがれを失いつつあったビルボは最初これを断る。しかし、ドワーフ達が去った翌朝彼らの置き手紙を読んだビルボはほとんど衝動的にドワーフ達を追いかけ、冒険に加わることを決めた。
そしてこれが取るに足りない、ちっぽけな種族であるはずのホビット族が歴史の表舞台に現れるきっかけとなった…
指輪物語におけるビルボ
「冒険」の後にはドワーフやエルフとの交流から一般的なホビットからは「変人」扱いを受けていたが、ギャムジー家などの親しい人々、ビルボから施しを受けた貧しい人々、そして年下の親戚達からは尊敬される人物となっていた。
メリアドク・ブランディバック、ペレグリン・トゥック、フレデガー・ボルジャーといったビルボを慕う少年達の中で最もビルボと親しく、年長だったのがフロド・バギンズであり、ビルボは若くして両親を失ったフロドを養子に迎え入れる。
偶然にも誕生日が同じだったフロドとビルボは毎年盛大に合同誕生祝いを行い、満ち足りた生活を送る。ビルボは何故かほとんど老けることがなかったが、いつしか自分が「薄っぺらい」存在であるかのように感じ始めていた。
そして、フロドにとって成人の年である33の誕生日、ビルボにとっての111歳の誕生日にビルボはかねてから考えていた計画を実行に移す…
赤表紙本
「ホビットの冒険」「指輪物語」はトールキン教授が遙か昔の言語で書かれた「赤表紙本」を英語に訳した作品であるという設定である。
この赤表紙本は最初ビルボの冒険の記録(要はホビットの冒険のこと)として書かれ始め、後にはフロドによって指輪戦争の記述が追加され、最終的にはサムに渡されてホビット庄で受け継がれるようになった。
…つまり、今私たちが「指輪物語」や「ホビットの冒険」を楽しめるのはビルボ(と翻訳したトールキン教授)のおかげなのである。ビルボとトールキン教授に感謝!
映画
ピーター・ジャクソンによる指輪物語の映画化(ロード・オブ・ザ・リング)の際にはイアン・ホルム(吹き替え:山野史人)がビルボを演じた。ちなみにイアン・ホルムは指輪物語のドラマCDにおけるフロド役も務めている。
2012年に公開された映画版「ホビットの冒険」では新にマーティン・フリーマン(吹き替え:森川智之)が若いビルボを演じる(冒頭部分の老ビルボは引き続きイアン・ホルムが演じている)。今回は年相応の配役に見える。
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関連項目
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