ユムシ(ゆꜜむし < イムシ「縊虫, 首くくり虫」)とは、海のおちんちん環形動物門に属する健全な海産の無脊椎動物である。ここでは主に標準和名がユムシであるユムシ目ユムシ科のUrechis unicinctusについて述べる。
概要
漢字で書くと螠虫。干潟など浅い海底の砂地に住んでおり、普段は自分の粘液で固めたU字型の巣穴の中で暮らし、細かな有機物(デトリタス)を食べて暮らしている。いわゆる蠕虫状の生物で、比較的単純な体の構造をしている。というかほとんど管である。体の前方には吻があり、その先端に口がある。また、後ろには肛門もある。自在に伸び縮みするが、体長は10~30cmぐらい。
高級な釣り餌として利用されるほか、北海道や朝鮮半島、中国など一部地域では珍味として食用になる。刺身や塩焼き、しゃぶしゃぶなどで食べられており、意外と美味しいんだとか。日本では食用としての市場への流通はない。
…ここまで長々と書いてきたが、このユムシ、見た目はどう見てもアレである。しかも皮を被った。誰だって健全な男児のアレを連想してしまうだろう。そもそも、英語では「ペニスフィッシュ(penis fish)」[1]と呼ばれている。直球である。また、日本の別名・地方名として「コウジ[2]」「ルッツ[3](北海道)」「イイ(和歌山)」「イイマラ(九州)」などと呼ばれており、またしても直球なものが混じっている。韓国では「ケブル(개불)」と呼ばれ食材として身近だが、これは犬の陰茎を意味する。あのさぁ…。
残念ながら別に硬くなったりはしない。有機物の循環のために肛門から水は出すが。これにより干潟の生態系の維持にも一役買っている。
ニコニコ静画やpixiv等では案の定ち○こや触手の代わりをさせられたり、どう見てもち○こなのにユムシと言い張られていたりする等の活躍がある。
ユムシの仲間
ユムシは以前はユムシ動物門という独自の動物門に分類されていたが、現在は分子系統解析によって環形動物門(ミミズやゴカイの仲間)の一員とされている。
ユムシの仲間には下記のサナダユムシや深海性のものなど吻がとても発達したものも知られており、実のところ吻が発達したタイプのユムシの方が種数は圧倒的に多い。その為、英語でペニスフィッシュと呼ばれるのは標準和名ユムシとその近縁種3種のみであり、ユムシの仲間全体の英名は吻をスプーンに見立てた「スプーンワーム(spoon worm)」である。
サナダユムシ
日本の干潟に生息するサナダユムシ(学名:Ikeda taenioides)は本体65cm、吻が2mにもなる世界最長のユムシであり、吻が千切れやすい上に深い縦穴の中に生息するため本体の採取が極めて困難なことで知られる。なんと2019年(と2020年)に88年ぶりに本体が採集された程[4]。和名は真田紐から。属名のIkedaはユムシ類の研究者でありサナダユムシの本体を採集したこともある動物学者の池田岩治博士(1872-1922)に由来する。
関連動画
関連静画
関連リンク
関連項目
脚注
- *アメリカ西海岸などにいるのはUrechis caupoという種。嵐が去った後に夥しい数のユムシが岸に打ち上げられることがある。 → CNN.co.jp : 大量のソーセージ?、嵐の影響でユムシが海岸を埋め尽くす 米
- *釣り餌として利用されるとき、小さいものを「ユムシ」、大きいものを「コウジ」と言い、日本産の物を「本コウジ」と言う。
- *アイヌ語で「ミミズに似ている」という意味
- *サナダユムシの本体、88年ぶりに採集成功 -干潟の深い巣穴に住む世界最大のユムシ- | 京都大学
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