出会って3分で退場(であって3ぷんでたいじょう)とは、2018FIFAワールドカップロシア大会で起きた珍事である。
概要
2018FIFAワールドカップロシア大会1次リーグH組、日本対コロンビア戦。
日本は選手とのコミュニケーション不足等に起因する大会直前の監督交代、さらに初戦の相手は前回大会ベスト8のコロンビアということもあって、世界のサッカーファンたちはほとんどがコロンビアの勝利を予想、日本国内の盛り上がりもいまいち欠ける状況にあった。そして、会場となったサランスクのモルドビア・アリーナも観衆のほとんどがコロンビアサポーター。日本は完全アウェイに近い状況でこの初戦に臨んだ。
そんな試合の開始早々に事件は起きた。大迫勇也が相手GKと1対1の場面でシュートを放つも、GKに阻まれてしまった。しかし、こぼれ球に香川真司が反応して再びダイレクトで狙う。この時、コロンビアのMFカルロス・サンチェスがバレーボールのワンハンドレシーブのごとく、ジャンプしながら右手を出してゴールを阻止。これが「決定的な場面における意図的に手を使っての得点機会阻止」と見做され、主審はカルロス・サンチェスにレッドカードを出し即退場を命じた。前半3分14秒。ワールドカップ史上2番目となるスピード退場記録であった。
コロンビアはこのプレーによって、この試合のほぼ全部において数的に不利な戦いを強いられたばかりか、日本にPKまで献上。これを香川真司に決められ先制点を許し、試合そのものにも1-2で敗れる結果となった。
この試合はワールドカップでアジアのチームが南米相手に勝利した初めてのケースであり、日本代表のジャイアントキリングは全世界で大きく報じられた。当然日本でもこの勝利には大きく盛り上がり、大迫勇也の活躍をたたえる「大迫半端ないって」がTwitterでトレンド入りするなどの事態となったが、同時に前述の退場劇も大きく注目され、これを指す言葉として「出会って3分で退場」というフレーズがなんJやTwitterなどで生まれることとなった。元ネタは日本のAV制作会社・アリスJAPANの人気シリーズ「出会って4秒で合体」。…ったく、お前らどれだけアダルトビデオ好きなんだよ。
なお、コロンビアはサッカー強豪国であると同時に南米屈指の治安が悪い国としても知られており、2018年6月時点で日本の外務省はコロンビアの約半分の地域に渡航中止勧告を出している(これでもだいぶマシになったほう)ほか、長らく続く内戦の結果、世界で最多の国内避難民を出しているのがこのコロンビアである。1994FIFAワールドカップ・アメリカ大会では、米国戦でオウンゴールを献上してしまったアンドレス・エスコバルが、帰国後に射殺される痛ましい事件が発生。「エスコバルの悲劇」としてサッカーファンに語り継がれている。今回もコロンビアが日本に敗れた直後から、同国内ではカルロス・サンチェスに対する殺害予告が出されており、日本のサポーターからも彼の身の上が案じられている。
ちなみに…
概要で今回の件はワールドカップ史上2番目のスピード退場だったと述べたが、最短記録を持っているのはウルグアイのホセ・バティスタである。1986FIFAワールドカップ・メキシコ大会のスコットランド戦において、出会って56秒で退場処分となっている。
2009年4月15日のJ2リーグ・東京ヴェルディ対サガン鳥栖戦では、東京ヴェルディのキックオフ直後、ボールを奪いに来たサガン鳥栖の選手を東京ヴェルディの菅原智が後方から引きずり倒す事態が発生。菅原は出会って9秒で退場を命じられた。これはJリーグのみならず世界のプロサッカーリーグすべてを通じた最速退場記録である。
イニングを基準に試合が進行する野球の場合、時間による最短退場記録は当然ながら残っていないのだが、危険球という独自の制度があるNPBでは、出会って1球で退場となった中継ぎ投手が複数存在する(2009年4月30日の岩瀬仁紀、2015年5月24日の山崎康晃など)。先発では2017年9月30日の畠世周(4球)、2014年7月21日の山口俊(5球)、2009年7月31日の大場翔太(8球)などが、出会って10球以下で退場した例として知られている。
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関連項目
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