概要
天文学・占星術で満月を示す記号「FULL MOON WITH FACE(顔付満月)」の株式会社写研によってデザインされた版で、他の三日月を示す記号の字種(記号BA-88・89)なども存在する。
しかし、その特別に味わい深い絵柄はネタにされ、特定の感情を表す「絵文字」として定着、漫画などにその用例がみられるようになった
俗称として「ぽげムた」「ニコニコおじさん」「ほほえみ太郎」など。
歴史
前項にある通り、天文学・占星術のための記号の一種で、少なくとも19世紀には欧米の活版印刷のために鋳造が始まっていた。一方、日本ではじめにこの記号が印刷用の文字として用いられた時期は正確には不明なのだが、写植機及びそれに向けた書体の開発を手掛ける株式会社写研においても前述の記号を元に制作が行われ、手動写植機用文字盤「BA」(飾罫・地紋)に収録されたものがすべての始まりとなった(写研のホームページで2022年3月に公開された内容においては「1960年代から」と説明されており、また同社の1965年の見本帳にこの記号が掲載されているため、文字盤の発売はその時期と推測される)。
写研発の本記号を指す場合に限っての呼称が「記号BA-90」となる。また、同文字盤内には飾罫にも90番の字種(飾罫BA-90)が存在するので、単にBA-90とすると区別ができないことに要注意である。
後年は電算写植機用書体としても「SAA1」に「No.244」として収録されている
1980年代後半、この記号に磯野波平のような一本毛をつけた「ぽげムた」といわれる記号がアスキー社出版のゲーム雑誌「ログイン」でキャラクター化して多用されたことから、読者や特定の業界に広がっていった。ファンロードなどの雑誌や、コロコロコミックといった漫画雑誌の中で、「何を言っているかわからないが激しく叫んでいる様子」などを表すせりふの中に他の記号と混ざって用いられるなどしてその存在を広めていき、「笑っている様子」を表す絵文字などとして認知されたり、漫画ごとに様々なキャラ付けが行われていった
また、同年代には他にも「💢」「💧」などの絵文字の手書き文化が同時に発生していたのだが、表情を表す「絵文字」の中では先駆け的存在といえ、一定の影響を与えたといえる。やはりその印象が強烈なためか現代に至るまで人気は根強く、写植が用いられなくなった現在でも一部に使用されている。
絵文字としてはUnicode 6.0以降に「U+1F31D」として収録されている🌝が、多くの実装では写研のものと印象が異なる。
顔文字としては「 ´^てˆ̯ 」と表されたりする。
使用できるDTP向けフォント
本記号の本家である写研はPCで動作するDTP向けフォントとしては書体をリリースしていないので、利用は手動もしくは電算写植機の置いてある印刷所やアウトラインサービスなどに頼む必要がある。ただ、既に2024年以降にOpenTypeフォントのリリースを予定しており、シーンへの復活が期待されている。
代替としてはいくつかのデジタルフォントでは再現された記号が内蔵されており、所定の操作によって入力可能。特に、イワタの「イワタアンチック」では、喜怒哀楽さまざまな表情をしている「記号BA-90」らしき顔の派生記号が内蔵されており、シュール極まりない
有料フォント
フリーフォント
作品に使用したことが知られる漫画家の例
関連動画
ニコニコ動画内では、歌い手である__(アンダーバー)が自身のアバターなどとして多用しており著名である(本人曰く「線の長さ等に若干の差異があり、厳密には記号BA-90そのものではない」)。
関連静画
関連項目
親記事
子記事
- なし
兄弟記事
- 21
- 0pt