鈴木たろうとは、競技麻雀のプロ雀士である。最高位戦日本プロ麻雀協会所属。
概要
第15期 最強位、第8回 野口賞、日本プロ麻雀協会の最高タイトルである雀王位を4期など、多数のタイトルを持つ麻雀界でも屈指のタイトルコレクターである。
麻雀の対人ゲームとしての性質を重視しており、その打ち筋は「黒いデジタル」と呼ばれる。
協会時代は同姓の「鈴木達也」がいたため、また最高位戦でも「鈴木優」がいるため、テレビ対局などでは「たろう」と呼ばれることが多い。
Mリーグ・赤坂ドリブンズに所属しており、初年度(2018年シーズン)から参戦している。
日本プロ麻雀棋士会から、2005年に日本プロ麻雀協会に入会した。その後2020年11月に協会を退会し、最高位戦に入会した。協会での実績により最高位戦リーグはA2に編入。2024年からはA1リーグで最高位戴冠を目指して戦っている。
雀風
「黒いデジタル」の名が示す通り基本的にはデジタル派の雀士である。ただし彼の言うデジタルとは、流れに代表される論理的に説明のできない事柄に選択の理由を求めない打ち方のことであり、ネット麻雀を中心に発達した、統計的に基づき局収支を最大にするという一般的なデジタル打ちとは少し異なる。
彼のテレビ対局などでの打牌は、麻雀が対人ゲームであることや、多くのタイトル戦が短期勝負でかつ、一位以外に意味が無いことなどを最大限考慮したものであるため、一般的に正着と言われる打牌選択とは異なることがしばしばある。しかし、一局面だけを切り取ってみると不利に見える打牌も、全体の着順や素点、半荘内での着順や持ち点などを含めて総合的に見てみると、理にかなったものであることが多い。そのような大局観に基づいた打牌選択(と、たろうの風貌)から、最近では「ゼウスの選択」という新たなキャッチフレーズが生まれた。
また、鳴きを多用する打ち手としては珍しく、安い仕掛けはあまりせず、面前で先制テンパイできそうにない場合のブラフ気味な「高くて遠い仕掛け」を好む(この仕掛けを「お出かけ」と言う)。序盤で安いテンパイが組めた場合でも、より高い手が見えるときにはテンパイを崩し高めを目指すこともあり、その打ち筋は「強欲」とも評される。
氏は常々「リスクのない打牌はない」と語っており、十分なリターンが見込める局面では大きなリスクを負うこともいとわず攻めこんでいく。そのため、一局勝負などの超短期戦の場合では全局参加することも珍しくなく、そういった点でも視聴者を大いに楽しませてくれる。常に視聴者を意識しているかのような彼の麻雀はまさに「魅せる麻雀」であるといえるだろう。
実際に、Mリーグ外の打牌で魅せた例を2つ挙げる。※この例の中では敬称略
例1: 2023/8/9 神域リーグ第8節第23試合 南三局
ネット麻雀「雀魂」にて行われる、MリーガーがVtuberを指揮して麻雀を打つ麻雀リーグ「神域リーグ」にて鈴木たろうが魅せた伝説の「山越し」ロン。
鈴木たろうが先制で
の發東混一色、 三面張の満貫12000点の聴牌を取った。その後、一向聴であった上家の風見くくが聴牌を取り、当たり牌の を打牌。しかしそれに対して鈴木たろうはロンを取らずスルー。それを見た下家の多井隆晴が を合わせ打ちし、それに対してロンを取った。
これも、全体の着順や素点、半荘内での着順や持ち点などを含めて総合的に見てチームの優勝を見据えたゼウスの打牌と言える。
この時点で、風見くくから12000点の直撃を与えてもこの半荘、更にリーグ戦においてもメリットは薄かった。この半荘でもラス目な上、更に所属するチームグラディウスはリーグ最下位。一方で、オーラスを見据えてこの局でできるならトップ目の多井隆晴を降ろしておく必要があり、更に言うと多井隆晴率いるチームアキレスもリーグ内順位2位で要注意である。また、対面の因幡はねる所属のチームヘラクレスはリーグトップだが半荘は3位であり、今狙うなら多井隆晴である。
理論では確かにそうなのだが、果たしてこの親満貫聴牌に対して風見くくが当たり牌を打牌した時、それにロンと言わず見逃すことのできる雀士はこの世にどれほどいるのだろうか?それを大一番で決めることのできる、それが「ゼウスの選択」鈴木たろうという雀士である。
例2: 「MJ杯」10周年記念最強決定戦予選Bブロック 南三局二本場
- 東家:サッポロビール(セガNET麻雀MJユーザ代表) 45600点
河 - 南家:鈴木たろう 15600点
手牌 ツモ - 西家:茅森早香 20800点
河 副露 - 北家:渋川難波 18000点
河(立直)
Mリーガーとネット麻雀ユーザ代表が勝負するこの企画。予選は連対(上位2位)勝ち抜けのルールの終盤、ユーザ代表が絶好調で直撃しなければ決勝は安泰でもう一つの席をMリーガーで争うこの局面。ベタオリであれば先に打たれた渋川難波の現物 を打つであろうが、このときに鈴木たろうは を打牌した。
ともすれば茅森早香の大三元を恐れ を切れ際ない雀士も少なくないが、ここはリーグ戦ではなく半荘1回勝負の上位2位勝ち抜けルール。白發混一色の満貫を和了られるとその時点でオーラスが辛く、その意味では役満に振り込もうが満貫・跳満に振り込もうが実上の辛さにはさほど差が無い。それよりもチーで手を進められそうな筒子を絞りにかかった。そもそも、たしかに と は副露しているがまだ6巡目であり も都合よく対子なんていうことはさすがに確率としてそうそう有り得る話ではないからだ。
眼の前の大三元を恐れるのではなく、ルールと立ち位置、河から一番恐れるべきは何かを見極め打牌するのがプロ、鈴木たろうである。
余談ではあるが、このとき…ではなく、2巡目の打牌が終わった後の茅森早香の手牌はこうだった。
すべて対子の上に筒子で一面子一雀頭揃っている混一色大三元二向聴のトンデモ手牌であった。結果、「そうそうあり得る話ではない」はずの確率を越えて が捕まり、32000(+600)の放銃。吸い込まれるように大三元スターターセットに振り込んだ鈴木たろうに対して先制立直をかけていた渋川難波は盛大にツッコミを入れるしかなく、トップから2位に落ちたユーザ代表も苦笑を隠せなかった。
獲得タイトル
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