CorelDRAW(コーレルドロー)は有名なベクターグラフィックスソフトウェア(ドローソフト)。コーレル株式会社が開発し、日本での販売・サポートはソースネクストが行っている。最新バージョンは 2024 (25番目)。WindowsとMacに対応。ウェブブラウザで動作する「CorelDRAW.app」はiOSやAndroidでも利用できる。価格を抑えた「CorelDRAW Standard」「CorelDRAW Essentials 」シリーズも同時に発売されている。
概要
図形や文字をベクターデータとして扱い、画像(ラスターデータ)も使用して印刷物やWebバナー、動画の素材などデジタル画像の制作に利用できる。
1989年に発売されてから35年以上のロングセラーで、Adobe Illustratorの対抗馬として世界的に利用されており、数少ないIllustrator形式(.AI)対応のソフトとしても知られている。
プロの印刷で使われるCMYKカラーやカラーマネージメント、PDF/x-1a:2001など、本格的な印刷物の制作に必要な機能も搭載している。
現在はフォトレタッチソフトであるCorel PHOTO-PAINT とその他ソフトをセットにした統合パッケージ「CorelDRAW Graphics Suite」として発売されている。CorelDRAW 単独では購入できない。
機能を制限して安価にした「廉価版」として「CorelDRAW Standard」と「CorelDRAW Essentials」も同時にリリースされている。ペンツールの種類が少ないだけでなく、ファイル対応数にも違いがあるため購入する前に確認するとよい。(後述)
Adobeのソフトがデファクトスタンダードとなっている日本ではいまいちマイナーだが、レーザー彫刻やカッティングプロッタのシステムと相性が良く、この分野では多く使われている。北米では、Illustratorが猛威を振るう中でも一定の支持層があり、たとえばサウスパークのキャラクターは本ソフトで作られている。
よーくみると「CorelDRAW」はCorelとDRAWが離れておらず、DRAWは大文字である。(小文字は間違いだし、CorelDRAWが一つの名前なので、「Corel DRAW」(CorelのDRAWみたいなの)は違う!
Illustratorとの比較
相違点・良い点
CorelDRAWはWindows用DTPソフトとしての歴史が長く、左クリックや右クリックメニューで大抵の作業が完結するような楽さがあり、マウスホイールだけで編集画面の拡大・縮小が可能。(Illustratorはショートカット必須)
また、CorelDRAW Graphics Suiteに組み込まれているCorelDRAWとCorel PHOTO-PAINTは連携が可能で、画像を右クリックし[ビットマップを編集]をクリックすると埋め込み画像の編集が可能。
ラスタ画像をベクタ画像に変換する「CorelTRACE」は元々MicroGrafxのWindowsDRAWというソフト用プラグインとしてWindows95の時代から開発されている。 CorelDRAW2020のアップデートで、AI(人工知能)を利用し精度の向上が実現している。
パスのグループ編集モードではなく、ctrl+選択でグループ内オブジェクトをグループを解除せずに選択可能、編集も可能。
- サブスクリプションだけでなく、買い切り版がある。価格は Illustator + Phooshop よりも安価。
- パスから余計なアンカーポイントを削除する機能が優秀で、Illustrator よりも良い結果が得られる。
- DTPソフトのような複数ページ構成をサポートしている。Illustrator のアートボードよりに比べ、ページ物の使い勝手が良い。
- 自動処理用のマクロとして、VBA に対応している。
- パワークリップ(イラレでいうクリッピングマスク)を行ったものに対して、更にパワークリップを行うことが出来る。(漫画的にコマに絵を埋め込んだり、最終レイアウト決定時にドキュメントサイズでパワークリップを行えるので超楽)
- オブジェクトパネルに、ベクトル素材の形が表示されていて選択しやすい。
- CorelDRAW.appで作成したドキュメントをPC版で編集出来る他、PC版からアップロードしたドキュメントをCorelDARW.appにて注釈をつけたりコメントをつけることが出来る。
- クリップやテクスチャ素材、ダウンロード可能なフォントがとても多く、追加ダウンロードすることができる。(かつては国語辞典並みの分厚い素材見本がパッケージに付属していたぐらい。)
残念な点
ノウハウ
- CorelDRAWは複数ページを作成する機能を有しており、ページの扱い勝手はInDesignに近い。ただし InDesign とは違い、ルビ機能や縦中横機能などはない。
- Graphics Stuiteにはサブスクリプション(月額・年額)と買い切りの二種類が存在する。サブスクリプションは期間内に大型アップデートがあった場合に利用することができるが、買い切り版は大型のアップデートはあまりない。また、サブスクリプションの場合は、「こういう機能付いてほしいな」というアイデアを共有するCorelDRAWポータル(英語)にアクセスして投稿できる。deepLを使いながらアクセスするといいかも。
廉価版
CorelDRAWは、最上位版の「Graphics Stuite」 の他にCorelDRAW Standard、CorelDRAW Essentialsを発売しており、機能を制限し価格を抑えている。用途によっては一番安いCorelDRAW Essentialsでも十分使える。
2024年9月現在 | Graphics Stuite | Standard | Essentials |
プラットフォーム | Win、Mac、Web | Win | Win |
購入方法 | サブスク・買い切り | 買い切り | 買い切り |
対応ファイル形式 | AI、DWGを含む100種類 | PDF、EPSを含む70種類 | HEIF、WebPを含む10種類 |
付属アプリケーション | PHOTO-PAINT Capture After Shot HDR Font Manager |
PHOTO-PAINT Standard |
PHOTO-PAINT Essentials |
ペンツール | フリーハンド 2ポイント ベジェ ペン Bスプライン 3ポイント曲線 |
未調査 | フリーハンド (描画後ベジエ調整は可能) |
寸法ツール | 〇 | ||
ビットマップ調整 | 〇 | 〇 | 〇 |
シャドウツールなど | 〇 | 〇 | |
プロ仕様の印刷オプション(CMYKなど) | 〇 | ||
VBA、Javascript | 〇 |
Corelとソースネクストの関係
コーレルはカナダの企業ですが、日本支社(コーレル株式会社)もあります。
日本支社では主に企業・官公庁向けにライセンス関連を扱っていますが情報発信もしています。
家電量販店やネット販売、サポートはソースネクストが行っています。
どちらにもわかりやすい情報があり、価格もそれぞれ違うのでチェックするとよいでしょう。
学習情報
関連動画
関連項目
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