概要
全長は943mmで重量は3.3kg。使用弾薬は5.45mm×39mm弾で、箱型弾倉に30発装填できる。銃口初速は900m/s、作動方式はガス圧式で発射レートは毎分650発である。
第二次世界大戦の教訓をもとにソ連が開発したAK-47では、口径は従来の歩兵銃と同じ7.62mmだが、火薬の量を半分ほどに減らし、弾丸重量も9.6gから7.9gに落とした小型弾薬を使用した。米国はベトナム戦争でAK-47と戦うことでこの小型弾薬のメリットを初めて認識した。ただ、米国は「火薬の量を半分にするなら口径も小さくすることで空気抵抗を小さくして速度の低下を防ぎ、距離判断の誤差による弾着誤差を減らそう」と考え、口径5.56mmの弾薬を使うM16を採用した。この「小口径高速弾」は命中すれば従来の7.62mm弾に負けない威力を示したため、ソ連も小口径高速弾の小銃を開発することになり、AK-74が誕生した。[1]
AK-74はAKMをベースに開発されており、AK-47やAKMと比較して使用弾薬以外にも以下のような違いがある。
- レシーバー(機関を覆う外殻部)の一部パーツをプレス加工で製造。AKMからの継承で、AK-47では全て切削加工で製造していた。
- AK-47のような傾斜したストック(銃床)ではなく、銃身の軸線の延長上にストックが位置するよう上端が直線形状のストックを使用。これによりフルオートでの射撃反動抑制が容易になっている。AKMで既にこのような設計であり、それを継承した形だが、同時に肩に当たる部分のパッドは改良され、また軽量化と見た目による判別のためストックの両サイドには溝がつけられた。初期は従来と同じく合板製だったが、後にプラスチック製に変更。
- 大型マズルブレーキの装備。
おおよそ目的とした性能アップは達成しており、ソ連では一線級部隊にAK-74を配備し、二線級部隊や同盟国に余剰となったAK-47やAKMを回した。その後、ソ連はAK-74の生産を同盟国が行うことを認めたが、同盟国のほとんどは大量に流入したAK-47やAKMで満足してしまったためAK-74を配備した国は少ない。
AK-74の後継については、カラシニコフ社のAK-12(5.45x39mm弾を使用)とAK-15(7.62x39mm弾を使用)が2018年に採用されている。[2]
バリエーション
- AKS-74
折りたたみストックを装備した戦車兵・空挺部隊向けモデル。ストックは左側面に折りたたむ。
- AK-74M
AK-74の近代化改修モデル。固定ストックのような形状なのに左側面へ折りたためる独特の強化プラスチック製ストックを装備し、これにより歩兵や戦車兵などの兵種に関係なく一種類の突撃銃(AK-74M)を支給することが可能になった。ストック以外にも機関部の軽量化などの改良点あり。
- AKS-74U
AKS-74を切り詰めたカービンモデル。CQBに向くと言われる。銃身が元であるAK-74の半分程度に切り詰められており、初速が他のAK-74シリーズより低く、動作確実性の向上と消炎のため専用のフラッシュハイダーが装備されている。ビンラディンの隣に立てかけてあったAKはこれである。
- RPK-74
AK-74の分隊支援火器モデル。通常のAK-74より長く肉厚な銃身と二脚を装備する。ベルトリンクによる給弾には対応しておらず、AK-74用30連マガジンか専用の45連マガジンを使用する。
これ以外にも、輸出を意識したAK-100シリーズや旧東側諸国が独自改良を行ったバリエーションが存在する。
関連動画
関連コミュニティ
関連項目
脚注
- *「銃の科学 知られざるファイア・アームズの秘密」かのよしのり SBクリエイティブ 2014年 p.66
- *ロシア国防省がカラシニコフ・コンツェルンのAK-12とAK-15自動小銃を制式採用 2018.5.11
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