AR-18とは、アメリカのアーマライト社によって開発されたアサルトライフルの一つである。
AR-15の姉妹銃でありながらMナンバーがついていないのは、アメリカ軍に制式採用されなかったため。
兄よりすぐれた弟なぞ存在しねぇ!!
概要
東西冷戦の頃にあった銃の一つ。AR-15(M16)と同じくアーマライト社製の銃だが、ナンバリングこそ後継にあたるものの設計思想が異なっているため、M16とはいわばイトコのような関係にあたる。
当時はソ連がAK-47をはじめとするAKシリーズを同盟国などに供与したりライセンス生産させることで陣営を強化していたため、アメリカもこれに対抗して同盟国に供与・ライセンス生産させる銃を欲していた。
だがM16の素材であるアルミ合金や発射機構リュングマン方式(DI式)がアメリカ以外でも製造できるわけではなかったため、アメリカ以外の国でも生産しやすいよう板金をプレス加工して製作することを前提に開発された試作品「AR-16」をベースとし、さらに素材や発射機構を変更されたものを「AR-18」としてナンバリングした。
しかしいざライセンス生産された銃は、プレス生産された機関部の質は低いうえに銃床が壊れやすかった。加えてM16の量産化で単価を下げることに成功したアメリカがM16をそのまま輸出する方針に転換したこともあって、AR-18のライセンス生産が意味をなさなくなったため、結局のところ開発国であるアメリカを始め制式採用する国はなかった。
が、その銃に取り入れられている様々な要素は、次世代アサルトライフルの参考とされているため、銃自体はともかく設計思想に関しては名銃であったと思われる。
詳細・スペック
| スペック | |
|---|---|
| 製造 | アメリカ・アーマライト社 日本・豊和工業 |
| 全長 | 965~970mm 733~736mm(折り畳み) |
| 重量 | 3.2~3.3kg |
| 銃身長 | 463mm |
| 機構 | ガスピストン方式 (ショートストローク) |
| 口径・弾薬 | 5.56×45mm NATO弾 |
| 有効射程 | 約450m |
先述の通りAR-15の後継にあたる銃ではあるが、発展途上国など工業能力の低い国でも生産できることを前提としていたため、単純かつ生産の容易な銃として開発されている。
発射機構は、M16で採用されているリュングマン方式ではなくガスピストン方式を採用することで耐久性や信頼性を高めている。構成パーツはほとんどプレス加工で作れるうえ、ボルトキャリア部分にあるハンドルのおかげでボルトを手動開閉して動作不良に対応できるようになった。M16は、リュングマン方式が銃身を痛めやすくボルトキャリアにハンドルがないため、これらの要素はM16とは方向性の異なる長所となっている。
折りたたみストックは、ちょうつがい部分に脆さがあったため配備を想定されていた空挺師団などからは不評だったが、銃の長さを減らす工夫としては優れており、このストック仕様は後々の銃器に引き継がれている(もちろんちょうつがいの脆さは克服済み)。
制式採用する国はなかったものの、発射機構・生産性・システムなどAR-18のもつ要素を参考にした派生銃は多く、西側と東側の中間として生まれたスイスの「SG550」、AR-18の生産ノウハウを利用して製作された日本の「89式小銃」や台湾の「64式歩槍」など、思想は受け継がれている。
なお、日本ではAR-18そのものをライセンス生産していた時期があるが、1970年代のアメリカでは250ドル(当時のレートで7万円ほど)で売られていた。豊和工業が納入していたセミオートモデルのAR-180は性能がよかったらしく、「AR-180を買うならホーワ製にしとけ」というのがアメリカでは常識だったとされる。[1]
しかし後に、このAR-180がアイルランドのテロ組織「IRA」に流れてフルオートに改造されテロに使われていたことが判明したことで問題となり、『武器輸出三原則』が制定されてライセンス生産は中止されることとなる。
AR-18の派生銃
| 直系 | 派生銃 | 発射システム派生 |
|---|---|---|
(※1) 内部はAKベース
関連動画
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関連項目
脚注
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