SG550、またはSIG550とは、スイス・SIG社(現在はSIG Sauer社)が開発したアサルトライフルである。
概要
1970年代末、それまでスイス陸軍が主力として使用しており、防御戦闘に重点を置いているとはいえ余りにも重く、反動の大きいバトルライフル「SIG510/StG57」をに代わる銃として、SIG社が開発、後1986年頃より量産、配備が始まったアサルトライフルである。
スイスは永世中立国であり、攻められる可能性はあっても攻める事はない前提である為、防御重視の性能特性としているのが特徴。
また、攻め込まれた場合後が無い国でもある為、限られた戦力によって最大限の戦闘能力を得る必要があり、極めて高い精度と耐久性を持っているのも特長で、世界でも最高水準の小銃として高く評価されている。
構造等
外見はG3系やAR-18系に近い、オーソドックスな西側アサルトライフル的デザインだが、内部はAK-47系列のロングストローク・ガスピストンにターンボルトロッキングを採用しており、単に最良の設計を行っただけとはいえ、スイスという国の政治、地理的立地の表れとも言える構造になっている。
使用弾薬は5.56x45mm弾薬だが、高い精度での射撃が可能な専用設計のGw Pat. 90 5.6mm弾という弾薬を使用する。(ただし5.56mmNATO弾等にも対応はしている。)
銃自体も極めて高い精度で生産されている為、専用弾を使用した場合のベンチ精度は、全ての個体が300mで7cmに集まる程である。この時点で0.84MOAとなり、単純計算ではあるが仮にも狙撃銃であるSVDを大きく上回る。
実際に狙撃銃として改造されたSG550 Sniperと呼ばれる派生型が存在し、PSG-1にも匹敵する高精度のセミオートマチック狙撃銃としてフランスのGIGNなどに配備されているらしい。
ちなみに、M16やAKのような一般的な量産ライフルでは「300mで人に当たる程度」の精度であり、SG550の精度は本来マークスマン(スナイパー)向けに別に仕上げられるレベルのものである。
重量はフルサイズモデルで約4kgと、二脚装備とはいえ樹脂パーツを導入した銃としては若干重め(M16で3.5kg、AKで4.5kg)であるが、その分連射時の安定性、特に二脚立てでの安定性は高い。上述した通りスイスは攻め込んでいくことがあり得ない上に国民皆兵国家なので、むしろ好都合である。
弾倉は10・20・30発の樹脂製専用品を使用するが、アメリカ向けモデルではM16互換タイプを装着するモデルも販売されている。
気になるお値段であるがこれがべらぼうに高く、およそ3000ユーロ(約38万円)。89式小銃(約28万円)と並んで高額なアサルトライフルと言われることが多い。ただしヨーロッパではAUGやFAMASなど他のアサルトライフルも同程度に高いので、どちらかと言えば東側とM16が安いと言った方が適切かもしれない。スナイパーモデルはさらに高価で約90万円とのこと。参考までにPSG-1はおよそ70万円くらいである。
スイスでは家に一丁ある(あった)
スイスでは国民皆兵を理念としている為、有事の際の召集に持参し即戦力として動けるように、もしくは自主的に民兵組織を結成し侵攻勢力に対抗できるように、軍を退役した者(予備役)に本銃が貸与されている。
日本では考えられないような「平和」へのアプローチ法だが、こういう考えもあるということである。
が、家庭に保管されている銃器での事件が多発したため、最近では郵便局などで一括保管されているようである。
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関連項目
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