ボーイング777(B777, Boeing 777)とは、アメリカ合衆国のボーイング社が開発したワイドボディ・ジェット旅客機である。
概要
ボーイング・コマーシャル・エアプレーンズが開発・製造したワイドボディ双発式ジェット旅客機・貨物機。運用開始は1995年。一般に愛称のトリプルセブン(元々は全日本空輸の登録商標)で呼ばれる事が多い。
1980年代に入り、ボーイング社が最大の勢力を誇っていた矢先、エアバス社やマクドネル・ダグラス等の旅客機メーカーとしのぎを削る時代となっていた。当時エアバス社はA330/A340を、マクドネル・ダグラスはDC-10旅客機の後継であるMD-11型旅客機の構想を打ち立てており、これに対抗すべくB767-Xとして計画がスタートした。
当時ボーイング社は、市場調査(マーケティング・リサーチ)として、有力な各航空会社の代表者を招聘し、意見を聞いて開発に反映させる「ワーキング・トゥゲザー」と呼ばれる試みを行っており、その結果、最新鋭のコクピットとなる等の結果と反映がなされている。
このB777の特徴は、システムプログラム設計をAdaで、設計をCATIAで行っている等、コンピュータ技術が多用されている事にある。その結果計画当時最新鋭であったB747-400のコクピットを更にハイテクにした液晶パネル6枚で構成され、フライ・バイ・ワイヤを使用したコクピット・操縦体系を取っている。
エンジンも強力であり、最大で512.9kN(GE90-115B)を誇るゼネラル・エレクトリックGE90エンジン、プラット&ホイットニーPW4000エンジン、ロールス・ロイスRR800エンジンを2基搭載、その直径はB737型の胴体直径に匹敵する。
2000年代になり日本でも大量に導入されるようになり、B747シリーズに代わって日本の空の顔となっている(特に3発機以上を乗り入れ禁止とする大阪国際空港では腐るほど目にする)。2019年に退役するB747-400日本国政府専用機の後継機としてもB777-300が選定された(これがB777にとっても初の軍用型となる)。
このB777は就航以来納入が急増、2007年には発注1000機を超えた。
バリエーション
B777のバリエーションには大きく分けて『-200型』と、お客様の集客数を増やせる『-300型』の二つがある。さらに -200には航続距離を伸ばした"ER機"(Extended Range)、ERより航続距離が長い"LR機"(Long Range)、貨物専用の"F機"(Freighter)があり、-300にはER機がある。
B777-200 | B777-200ER | B777-200LR | B777-200F | B777-300 | B777-300ER | |
---|---|---|---|---|---|---|
全長 | 209+1[Ft+In] 約63.7[m] |
239+11[Ft+In] 約73.1[m] |
||||
全幅 | 199+11[Ft+In] 約60.9[m] |
212+7[Ft+In] 約64.8[m] |
(-200と同じ) | (-200LRと同じ) | ||
全高 | 61+8[Ft+In] 約18.8[m] |
61+7[Ft+In] 約18.6[m] |
(-200と同じ) | (-200LRと同じ) | ||
最大座席数 | 440 1クラスの時 |
301 3クラスの時 |
550 1クラスの時 |
365 3クラスの時 |
||
最大搭載燃料 | 209,560[Lbs] 117,340[L] |
305,690[Lbs] 171,200[L] |
323,740[Lbs] 181,300[L] 又は 360,980[Lbs] 202,570[L] |
323,740[Lbs] 181,300[L] |
305,690[Lbs] 171,200[L] |
323,740[Lbs] 181,300[L] |
一号機の行方 | キャセイ・パシフィック航空 (機番B-HNL) |
ブリティッシュ・エアウェイズ (機番G-VIIA) |
パキスタン国際航空 (機番AP-BGY) |
エールフランス・カーゴ (機番F-GUOA)[注1] |
キャセイ・パシフィック航空 (機番B-HNE) |
日本航空 (機番JA732J) |
- [注1]後にN880FDとしてフェデラル・エクスプレス(FedEx)に売却
- [Ft+In]って何?
Ft(フィート)+In(インチ)の事で長さの単位で。アメリカではSI単位(メートルとか日本で日常的に使用する単位)を使用せずにヤード・ポンド法で生活しているので、飛行機もそれに基づいて作られる。
ちなみに1Ftは約30.5cm、1Inは約2.54cm、1Ft=12In。
さっさとSI単位で統一してくれ。 - -200と-200LRは何で幅が違うの?
主翼を大きくして、燃料搭載量を増やして航続距離を伸ばしたため。 (飛行機の燃料は通常主翼の中に入っている)-200と-200ERの幅が同じ理由は、-200に比べて、-200ERは中央翼内(左右の主翼の間)に燃料を積めるので航続距離を延ばせる。
足もとに燃料が積んであるなんて…ガクブル - [Lbs]って何?
Lbs(ポンド)の事で重さの単位。1Lbs=約0.45Kg。さっさとSI(ry
液体の量を図るときは体積(L、リットル)で図るのが普通。何故飛行機は燃料の量を重さで測るのか?
それは、温度によって燃料の体積は増減する(質量は一定)から。
地球の丸みがモロに航路に影響する航空機、まして777のような旅客機は緯度差が小さくない飛行をしがちである。例えば成田からニューヨークへ飛ぶ際、アラスカ上空など北極近くを経由する:参考。
また、搭載すべき燃料は機体重量によって決まるため、その計算を容易にするためでもある。 -
B777-200LRは何で最大搭載燃料が2種類あるの?
オプションで床下にある貨物室内に燃料タンクを乗せることができる(最大搭載燃料は ドラム缶1013本分)。ちなみに他の機種でも貨物室内にいろいろな物を乗せられる。 - ポンドからリッターへの換算は、比重=6.76Lbs/Gal、1Gal=3.785L、1Lbs=0.45Kgを使用すればでる。
- 777-200と777-300は主に国内線や短距離国際線、777-200ER/LR、777-300ERは主に長距離国際線機として使用される。(ただ、現在は777-200の生産が中止され、777-200ERに切り替わったため、新規導入時は国内線用であっても777-200ERが投入されることになる。)
開発にあたり
ボーイング社はB777の開発にあたり、以下の3つを開発の柱とした。
つまり『マーケット・ドリブン』『ワーキング・トゥゲザー』『サービス・レディ』のことである。
- マーケット・ドリブン(Market Driven)
- 顧客第一主義のことで、使う人が使いやすい飛行機を作ろうという考え方である。いままでの飛行機は、『テクノロジー・ドリブン』つまり、顧客のニーズに関係なく新しい技術をどんどん取り入れよう。という考え方で設計されており、それにより技術革新もどんどん進んで行ったが、使いやすい飛行機とはいえなかった。B777はその考え方をやめて、本当の意味での”ユーザーフレンドリー”の飛行機に設計した。
例をあげると、B777は操縦系統に「フライ・バイ・ワイヤ」を使用しており、ジョイスティックによる操縦も可能だが、パイロットがB777に移行しやすいように、あえて機体総重量が重くなる操縦桿を採用している。 - ワーキング・トゥゲザー(Wolking Together)
概要にも書いてあるが、飛行機を皆さんと一緒に作りましょうという考え方である。
例をあげると、パイロットがコクピットへ入るときは、飲み物が入っている紙コップをもって入るのだが、今までの飛行機にはカップホルダーが付いていないため、パイロットは置く場所に困っていた。(もし計器の上にこぼしたらショートして壊れてしまうかもしれない)そこで『ワーキング・トゥゲザー』としてボーイングへ提案したら、B777ではコクピットにカップホルダーが実際に付くようになった。
実際、シカゴや北海道など寒冷地での運用を想定し、点検用アクセスドアを手袋をしたまま開閉可能にした(ユナイテッド航空の提案)。 - サービス・レディ(Service Ready)
これはB777を航空会社へ引き渡す際に、最高の飛行機で航空会社に引き渡そうという考え方である。
B767をはじめとする飛行機が、航空会社へ行き飛行をするとさまざまな不具合が発生し、そのたびに航空会社は改修することになった。(もちろん費用はボーイング社もちだが、その間飛べなくなる)
B777は初飛行を行う前に1000回を超すテストフライトを実施し、通常の飛行で発生する不具合を発見してその場で改修することにより、初飛行するときには世界で一番安全で、不具合の少ない飛行機として航空会社へ引き渡した。これによりB777は世界初『アーリー・イートップス』を取得した。
関連動画
関連商品
関連コミュニティ
関連項目
- 7
- 0pt