Freestailo(またはFreestylo、Fristajlo、Фристайло。どの綴りでも、読みは「フリースタイロ」)とは、海外のネットミームである。
概要
流行したきっかけは、2007年にカザフスタン人青年のエルナ・カルディノフ(キリル文字:Ернар Калдынов、ラテン文字:Ernar Kaldynov)がテレビ番組に登場して楽曲を演奏し、歌ったことにあるようだ。
そのテレビ番組とはオーディション番組「Superstar KZ」(イギリスの「ポップアイドル」やアメリカの「アメリカンアイドル」のカザフスタン版)である。
カザフスタンでは「アクン」(ақын)という吟遊詩人的な存在が民族音楽を伝えている。そのアクンらは「ドンブラ」(домбыра)という、ギターやマンドリンのような指でつまびく弦楽器を用いる。エルナ・カルディノフはこの民族楽器「ドンブラ」の奏者であった。
「Superstar KZ」の2007年シーズンに出場した素朴な外見の青年、すなわちエルナ・カルディノフはドンブラを携えており、まずは伝統的なスタイルの楽曲を演奏した。そこに審査員の男性が「もっと面白いやつをできるのでは?」と話しかけ、その後にエルナは別の曲を弾き語り始めた。「フ・フ・フ・フ・フリースタイロ! フ・フ・フ・フ・フリースタイロ!」という掛け声も交えて披露したその楽曲は先程のものよりアップテンポなものであった。
ポストを読み込み中です
https://twitter.com/xxShiroyasha/status/1243266486283755522
だが審査員らの反応は「やや苦笑交じり」といった感じであまり芳しくはなく、演奏はそこそこの所で中断となり、「KVN(ロシアのお笑いオーディション番組)に行くといいんじゃないかな」と言ったようなことをエルナに語って落選を告げ、「ありがとう」と言う言葉で締めくくった。エルナは「ありがとう」と小さく呟いて返答し、ステージから去った。
だが、YouTubeに同番組からこのパフォーマンス部分を切り抜いた動画が転載され、多くの人が閲覧した。
そしてこの話題性を受けて、2007年中に行われたこの番組「Superstar KZ」のライブにおいてエルナ・カルディノフも出演。観客らの歓声を浴びつつ、ステージ上でこの楽曲を再度披露することになった。
上記の切り抜き動画が出回ってすぐの時点では、どうも「面白い」「笑える」と言った反応が多かったようだ。しかしこの演奏や歌声が「耳に残る」「趣深い」と感じた人々も少なくないようで、そんな様々な人物によってこのエルナの演奏を元にしたリミックス楽曲や動画などがいくつも作成されるようになり、ネットミーム「Freestailo」(または「Freestylo」)となっていったのである。
- Kazachstar - Fristajlooo (Village Rmx) - YouTube
- Dj Stony - Freestailo (Radio Edit) - YouTube
- Freestylo Mix - "Tiri Diri Dam Mix" By pprika - YouTube
- DJ Sensor - Freestaylo (superstar kz remix) - YouTube
- Freestylo - Dope Monkeys (Hardstyle Remix) - YouTube
ちなみにその後のエルナ・カルディノフは故郷の東カザフスタンに帰り、家庭を持ち、地元の文化会館で働き始めたらしい(以下の動画は、そんな彼の元を訪問して、この楽曲を演じてもらったものであるようだ)。
以下は、恐らく彼のものではないかと思われるInstagramアカウント。
歌詞
カザフ語歌詞
(※本楽曲についてロシア語で説明している記事より転載&調整)
Фы-фы-фы-фы-ФРИСТАЙЛО!!!!
Фы-фы-фы-фы-ФРИСТАЙЛО!!!!
Лака-мака-дам
Ду-тун-тари-дури-дам
Ду-тун-тути-рути дам
Ду-тун-тири-рири-дам
Ду-тун… У-ООО!!
Ойға да шыққан бүлдірген!
Қырға да өскен бүлдірген!
Айналайын қыздар-ау!
Қадіріңді кім білген!
Уоқ-ауоқ-ауе!
Сүйесің бе?
Бәрін тастап, сен маған тиесің бе?
Тири-рири-дам
Ду-тун-тари-дури-дам
Ду-тун-тути-рути дам
Ду-тун-тири-рири-дам
Ду-тун
カザフ語発音のアルファベット表記
(※YouTube動画「Freestylo lyrics - YouTube」や「Freestylo kazakh lyrics (Фристайло казахский текст песни)」説明文から転載&実際に聴こえる音に合わせ調整)
Fu-fu-fu-fu-Freestailo!!!!
Fu-fu-fu-fu-Freestailo!!!!
Waka-maka-dam
Du-tun-tari-duri-dam
Du-tun-ti-riti-dam
Du-tun-tiri-diri-dam
Du-ti... U-OOO!!
Oygha da Shikkan buldirgen!
Kirgha da oesken buldirgen!
Aynalayin kizdar-au!
Kadirindi kim bilgen!
Oka-oka yey!
Suyesin be?
Berin tastap, sen maghan tiesin be?
Tiri-diri-dam
Du-tun-tari-duri-dam
Du-tun-ruti-ruti-dam
Du-tun-tiri-diri-dam
Du-ti...
日本語訳
(※上記カザフ語のGoogle翻訳や、歌詞の英訳を掲載しているページなどを参考に試みた和訳&聴き取りのカタカナ転写。正確性は保証しない)
フ-フ-フ-フ-フリースタイロ!!!!
フ-フ-フ-フ-フリースタイロ!!!!
ワカ-マカ-ダン
ドゥ-トゥン-タリ-ドゥリ-ダン
ドゥ-トゥン-ティ-リティ-ダン
ドゥ-トゥン-ティリ-ディリ-ダン
ドゥ-ティ…オッオー!!
思い浮かぶは野苺!
尾根で育った野苺!
親愛なる乙女!
誰があなたの価値を知ろうか!
ああ、ああ!
あなたは私を愛してくれますか?
全てを捨てて、私のものになりますか?
ティリ-ディリ-ダン
ドゥ-トゥン-タリ-ドゥリ-ダン
ドゥ-トゥン-ルティ-ルティ-ダン
ドゥ-トゥン-ティリ-ディリ-ダン
ドゥ-ティ…
楽曲の詳細が不明
ちなみに、「この楽曲は本来はなんという曲名の楽曲なのか」「作曲者や作詞家は誰なのか」が調べてもよくわからなかった。上記のライブ映像では「Fut-Fut-Fut Freestylo」というテロップが映し出されてはいるので、これがタイトルなのかもしれないが。
「エルナ・カルディノフのオリジナル楽曲なのでは?」と思うかもしれないが、彼が「Superstar KZ」に出演した2007年より前の2006年5月24日の時点でYouTubeに投稿されている以下の動画で、既にこの楽曲が別の演奏者により演奏/歌唱されている。よって、どうやら以前から存在する既存の曲ではあるらしい。
この動画はどうやら、上記の「Superstar KZ」の審査員も言及しているロシアのお笑いオーディション番組「KVN」のものらしい。だが、これがいつ放映されたKVNの映像で、映っているのが誰で、楽曲名が何なのかが今ひとつわからない。
また、2006年10月31日に投稿されているカザフスタンのヒット曲を紹介する動画?でも、やはり同じ楽曲が演奏/歌唱されている。こちらの演者は「R.Lizer」という人物だという情報もあるが、正しいのかは不明。
曲名や作詞/作曲者、オリジナルバージョンがどれなのかなど、この記事を見ている方でこの曲の詳しい来歴についてご存知の方がいたら、どうかこの記事に追記してほしい。
関連動画
関連リンク
上記2つのリンク先は、エルナ・カルディノフの「Superstar KZ」への出演やそれをきっかけとした「Freestailo」の流行について、英語で説明している記事。
ただし、「Superstar KZ」の後に「R.Lizer」バージョンが生まれたかのように記載されているが、上記のように「R.Lizer」バージョンの動画がYouTubeに2006年10月31日に既に投稿されていたようなので時系列が矛盾しているようにも思え、内容の正確性については不明。
また、以下の英語版Wikipediaでの楽器「ドンブラ」に関する記事でもエルナ・カルディノフの「Superstar KZ」への出演について少し触れられているが、
こちらでは「オリジナルの曲名は「Freestailo」で、カザフ人男性「R.Lizer」によるものだ」という内容が記載されている。だがこの記述にも出典が付されておらず、その正確性については判断しがたい。
これはロシア語のWikiサイト「Lurkmore」におけるこの曲のページ。英語サイトで得られない情報も含まれているようだ。
関連項目
- 4
- 0pt