iOS6マップ不具合事件とは、Appleの地図アプリ「マップ(Apple)」で発生した、大規模な不具合である。
経緯
2012年9月19日、Appleは新型スマートフォン「iPhone5」の発売に先駆け、iPhone / iPad / iPod touchに搭載(当時)するOS「iOS 6」をリリースした。
この新OSにおいて、同社は従来の純正地図アプリだった「Googleマップ」と決別し、同社が独自開発した新たな地図アプリ「マップ(Apple)」との入れ替えを行った。
しかしこの独自開発版は、駅・空港・公共建造物等の主要なランドマークなどに限らず、日本はおろか、世界中のあらゆるものの位置・場所・名称の表示が間違っているという、おおよそ実用には足りないレベルの製品であった。
不具合事例
2012年9月19日当時、以下に挙げている通り、日本のいたる所で新駅の設置や駅・施設の改名、増殖、水没、大移動が相次いで発生していた。
(なお、2013年3月11日に地図データの大幅なアップデートが行われ、現在は事象が改善されている)
- 羽田空港が大王製紙に
- 駿河湾がフィリピン海に
- 尖閣諸島魚釣島がふたつ存在
- パチンコガンダム駅
- マクドナルド駅
- 餃子の王将駅
- スターバックス駅
- バーミヤン駅
- ドワンゴ病院
- いちがや駅水没
- ソビエト復活
- 邪馬台国復活
どうしてこうなった
iOS6のマップの地図データは、海外ではオランダのTOMTOM社、日本ではインクリメントP(現在は社名変更してジオテクノロジーズという社名)のデータが使われているが、決して地図データが誤っていたわけではなく、それを受け取ったApple側のデータ取り扱いミスが原因であると言われている。そのため、地図データ提供元が、仮にゼンリンであろうが昭文社やOpenStreetMapであろうが、この惨事は起こりえたと言える。
2005年7月に登場したGoogleマップも、現在では精度の高い地図となった。Googleの地図関連製品にはGoogleストリートビューカーの収集するデータに加え、フルタイム従業員1,100人と契約労働者6,000人もの人員が投入されている[1]。世界規模の地図製品事業には、それだけ膨大な人・物・金・時間のリソースが必要とされるということである。
余談
Apple CEOの謝罪
この騒動に際し、Apple CEOのティム・クック署名による謝罪文が公式サイト上に掲載された。
At Apple, we strive to make world-class products that deliver the best experience possible to our customers. With the launch of our new Maps last week, we fell short on this commitment. We are extremely sorry for the frustration this has caused our customers and we are doing everything we can to make Maps better
アップルにおける私どもは、可能な限りお客様に最高の体験をお届けするワールドクラスの製品作りに邁進しています。先週私どもが提供した新「マップ」はこのお約束を裏切るものでした。このマップがお客様にご不快な思いをさせてしまい大変申し訳なく思っています。そして私どもはマップを改善するために出来る事を全て行なっています。
なお、この謝罪文は、本来であればiOS開発責任者であるスコット・フォーストール上級副社長(元)の署名にて掲載される予定であったが、同氏がこれを拒否したと言われている。
株を上げたゼンリン
この騒動の余波で、これまでiPhone/iPad/iPod touchで使用されていたGoogle マップに日本のデータ提供を行っている地図会社ゼンリンの株価が値上がりをした。相対的にゼンリンのデータに対する評価が上がったものと思われる。しかし、例えゼンリン製データを使用していても、前述の通りAppleのデータ取り扱いミスが原因と推測されるため、不具合は避けられなかった可能性が高い。
代替の地図アプリ
2012年12月13日に公開された公式Googleマップアプリや、その他Googleマップ対応の他社製地図アプリおよび独自地図アプリが存在する。
アプリ名 | 価格 | 備考 | サイト | App Store |
---|---|---|---|---|
Google Maps | 無料 | 公式Googleマップアプリ。 | Store | |
Google Apps Browser - G-Whizz! | 無料 | Googleマップ対応アプリ。 | Store | |
簡易カーナビ なびすけ | 無料 | Googleマップ対応アプリ。 | Store | |
地図マピオン | 無料 | (比較サイト) | → | Store |
地図 Yahoo!ロコ | 無料 | iPad限定。(比較サイト/開発者向け) | Store | |
いつもNavi | 800円/年 | → | Store | |
MapFan for iPhone | 2,300円 | オフライン利用対応。容量約1.9GB。 | → | Store |
外部リンク
2012年9月19日リリース当時
- iOS6のマップがヤバイと話題に! 「パチンコガンダム駅」「マクドナルド駅」「尖閣諸島が無い」「群馬県庁がボロ小屋」(東京別視点ガイド)
- パチンコガンダム駅!? iOS6地図アプリのひどすぎる画像まとめ(NAVER まとめ)
- iOS6から搭載されたApple純正地図アプリのスクショを速報でお届け!意外に悪くない?(Togetter)
- iOS6地図は元データや文化の差異ではなく、ずさんなエンジニアリングが原因 - 横浜スローライフ
- 「パチンコガンダム駅」はなぜ生まれたか? Apple地図騒動の本質とは - INTERNET Watch
- 地図アプリは“スマホの金脈”だった、AppleがGoogleに対抗した理由を探る - INTERNET Watch
2013年3月11日アップデート後
- Apple、iOS 6の地図アプリデータを大幅改善 「パチンコガンダム駅」消滅(ITmediaニュース)
- Apple、iOS 6のマップアプリを大幅に更新 - パチンコガンダム駅も消滅(マイナビニュース)
関連動画
関連項目
脚注
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