アルフレッド・アドラー(1870~1937)とは、20世紀前半に活躍した心理学者である。
要約すると個人心理学の創始者。その楽観主義的な姿勢のためかなり前からビジネス畑で援用されるケースが多く、近年では日本でも一大ブームになっているが、精神分析家としてはかなり古い世代に属する。
このように本来の文脈を離れ名前がかなり独り歩きしている人物ではあるが、精神分析の歴史においては重要人物であることに変わりはない。
ハンガリー系ユダヤ人の家の次男としてウィーンに生まれた。クル病のため4歳まで歩行ができず、しばしば肺炎、外傷などの重い病気に見舞われて常に医者に掛かっていなければならず、ハンディキャップを背負って成長した。一方、幼いころからソクラテスを好み、大学進学後は社会主義学生グループと親交があったが、本人の関心はマルクス経済学より社会学であったという。1885年にウィーン大学医学部を卒業後、神経科医師としてウィーン大学病院に勤務した。
学生時代からジークムント・フロイトに感銘を受け、1902年以降フロイト家で行われた「水曜会」にも初期メンバーとして参加。「精神分析中央雑誌」の編集にも参加し、フロイトとの親交を深めていった。しかし、性的なトラウマが神経症の原因であるというフロイトの学説には懐疑的で、後年アルフレッド・アドラーは「フロイトの年下の友人ではあったが、決して弟子ではなかった」と語っている。
1911年についにジークムント・フロイトの思想と決定的な相違を明らかにして決別。フロイトから離れ「自由精神分析家グループ」を作り、「個人心理学」の確立へと歩み始めた。その後第一次世界大戦への軍医としての従軍から「共同体感情」の観念を形作る。
戦後は教育的実践に情熱を傾け、1925年にウィーン教育研究所員となり、1931年には個人心理学の実権学校を創立。一方で1914年に創刊した「個人心理学雑誌」は次第に世界の注目を集めていき、1924年には国際会議が開かれた。
その後もアルフレッド・アドラーは精力的に世界をめぐって講演を重ね、1929年にはコロンビア大学客員教授、1932年にはロングアイランド医科大学客員教授の地位を得た。
しかし、アルフレッド・アドラーが若い頃からコミュニストのシンパであったこと、妻・ライシカはレフ・トロツキーと親しかったこと、などからナチスが政権を取るとアメリカに移る。以後も多忙な生活を送ったが1937年にスコットランドのエイバーランで客死。没後、長女・アレクサンドラ・アードが父を引き継ぎ、アドラー心理学アメリカ学会などを作っていった。
アルフレッド・アドラーの思想の中心にあるのが「劣等感」である。たとえばジークムント・フロイトが性欲を人間の性的行動の原因としたのに対し、アドラーは劣等感に起因する征服欲や支配欲が人間の行動を左右するとしたのである。この対比は親子関係を重視したフロイトと兄弟関係を重視したアドラーという構図にも表れている。
初期のアドラーは身体器官が弱かったり損傷を受けたりすると、これを補償しようとして生体の働きが強く起きることに関心を持ち、「器官劣等性」、「補償」の概念を重視していった。しかし、研究を進めるうちに人間は心理的・身体的に何らかの劣等性を持つものであり、その劣等コンプレックスを補償しようとする働きが大きな役割を演じている、と考えたのである。
機能の欠陥(劣等性)がかえってそれを克服するための刺激となる、というアドラーの思想は、1907年に『器官劣等性とその心理的補償についての研究』にまとめられ、ジークムント・フロイトにも賞賛された。しかし、アドラーはさらに進み、劣等感に対する補償作用そのものが人間の精神機能を解明する唯一・最大の鍵であると主張。フロイトとの対立の末に、アドラーは劣等感の克服への衝動が、「優越への意思」、「権力への意思」として人間を駆り立てる力となるとしたのであった。
劣等感は幸福な環境に育った子供でも、大人の支配・保護下にある自分を無力と感じ、その克服のために固有の戦略・態度の発展、つまり「生の様式」を実践する。成人後の性格はこれが基礎となり、その結果としては「成功した補償」、「過補償」、「権力獲得の手段としての疾病逃避」といった区分けをした。
また、前述のとおり、軍医としての体験から人間の社会関係の重要さを認識し、「共同体感情」こそが自己中心的な生活様式を克服する力として重要であるとし、個人の幸福は社会に建設的に参加することによってのみ可能であると考えたのだ。現在のアドラー派ではどちらかといえば、この人間学的な考え方が重要な理論的基盤となっている。
掲示板
20 ななしのよっしん
2022/12/22(木) 14:24:45 ID: Y4uYY7CFfe
WHOの例だと「心血管疾患はうつ病に繋がり得るし、その逆も然り」
https://
うつ病とHHV6ウイルスの関連を扱った英語学術資料は、Googleスカラーだと約6020件
https://
日本人以外の最近の論文だとこれとか
https://
https://
21 ななしのよっしん
2022/12/30(金) 22:16:39 ID: 4SQ/g/GLl7
>>19>>20
うつ病ウイルスによって「SITH-1」という物質が生じるというのは、海外の「インパクトファクター的なのもそこまで高くない中堅どころ」に載った研究である、というだけで
うつ病の物理的原因やうつ病ウイルス自体は前から研究されてきたものなんじゃないの
一般向け説明がまだ少ないだけで
22 ななしのよっしん
2023/03/21(火) 12:19:46 ID: 2na7lntO0y
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最終更新:2024/03/29(金) 10:00
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