クラウス・フォン・リヒテンラーデ(Klaus von Lichtenlade)とは、「銀河英雄伝説」の登場人物である。
CV.宮内幸平(石黒監督版)、糸博(石黒監督版「千億の星、千億の光」)、岡和男(Die Neue These 邂逅)、西村知道(Die Neue These 星乱)。
ゴールデンバウム朝銀河帝国末期の貴族、侯爵のち公爵。国務尚書、帝国宰相など閣僚を歴任した貴族官僚。帝国暦487年当時75歳の老宮廷政治家であり、やせた身体、とがった鼻、雪のような銀髪と白い眉、するどいというよりはけわしい眼光(作中なにかと言及されており、とにかく「するどいというよりはけわしい」ようである)を持つ。
フリードリヒ4世朝後期に国務尚書として帝国宰相代理を務める。フリードリヒ4世の崩御後は幼帝エルウィン・ヨーゼフ2世を擁立し、公爵の位にのぼり摂政・帝国宰相として門閥貴族と対立したが、リップシュタット戦役の終結直後にローエングラム侯ラインハルトとの政争に敗れ失脚した。
帝国暦470年代には中堅の宮廷官僚にまで位階を進め、内務、宮内、財務の三尚書を歴任。大過なくつとめあげたのち、476年頃に国務尚書に任ぜられ、帝国宰相代理の地位を得る。以後、487年に皇帝フリードリヒ4世が崩御するまで首席閣僚として国璽と詔勅をつかさどり、帝国の国政を主宰した。
この間、486年には皇帝の寵姫グリューネワルト伯爵夫人アンネローゼに妬心を抱くベーネミュンデ侯爵夫人シュザンナの問題に対処。グレーザー医師からの匿名の書簡をうけて夫人に隠棲と自重を促したものの、結局はベーネミュンデ侯爵夫人を暴発させることとなり、それまでに彼女が弄した陰謀を捜査して奏上、自裁させるよう勅命を受けている。
翌487年には財務尚書ゲルラッハ子爵の求めに応じてカストロプ公爵家の相続手続きを延期させ、発生したカストロプ動乱の第三次討伐司令官としてはラインハルトの推挙とワイツ政務補佐官の具申によりジークフリード・キルヒアイス少将を登用。同時期のイゼルローン要塞陥落にあたっては、宮内尚書ノイケルンを通した皇帝の説明要求に恐懼して奉答している。さらに同盟軍による帝国領進攻が判明すると、ゲルラッハの言を容れてラインハルトに迎撃総司令官を任せた。
フリードリヒ4世が崩御すると、その女婿であり皇孫を擁する門閥貴族ブラウンシュヴァイク公オットーやリッテンハイム侯ウィルヘルム3世が外戚となって国政を壟断することを危惧し、幼く門閥貴族の後ろ楯のない皇嫡孫エルウィン・ヨーゼフの擁立を決意。門閥貴族に対抗する軍事力を欲して元帥ローエングラム侯ラインハルトと結び、自らは公爵に位階をすすめ摂政として新帝エルウィン・ヨーゼフ2世を誕生させる。
このリヒテンラーデ=ローエングラム枢軸による新帝擁立は門閥貴族諸家の反発と憎悪を呼び、翌488年にはリップシュタット戦役の勃発というかたちで全面対決に発展する。リヒテンラーデは戦闘をラインハルトに任せて国政全般を統括するいっぽう、帝都に残った貴族たちと接触し、戦後に訪れるであろうラインハルトとの対立に備えた。
しかし9月、戦勝式典においてラインハルトの暗殺未遂事件が発生すると、その部下たちが機先を制して実行した宮廷クーデターにより逮捕される。直後にラインハルトはリヒテンラーデについて帝国宰相として自裁をすすめるよう命じており、自殺を余儀なくされたものとみられる。この時、一族も10歳以上の男子は死刑、その他の女子供は流刑とするよう命じられている。
冷徹で狡猾、権謀術数と自己保身にすぐれた老巧の宮廷政治家であり、自己の権力に強く執着しつつもその権力欲を隠し通し、あるいは気づいた者を宮廷から排除して首席閣僚の地位を10年以上守った。政治姿勢も保守的で、新規に政策や法律を定めたことは皆無であるいっぽう、慣例と旧習に通暁して活用することに長け、ときに皇帝の内意をも利用して事態を処理し、無難に国務を遂行しつづけた。
同時代にごく一般的な傾向であるゴールデンバウム朝の永続を疑わない視野の狭さこそあるものの、政治能力は高く、平民の「革命的気分」を帝室の威信回復や特赦・減税政策でなだめる必要性を理解していたり、貴族ながら専門の政治家として国事と帝権を第一におき、門閥貴族や帝室関係からの国政への横車を厭うといった面もあった。
主君である皇帝フリードリヒ4世からは強く信頼されており、リヒテンラーデの決定に皇帝から異議がとなえられることはまれだったという。リヒテンラーデもその信頼を違えることはなく、「きわめて散文的な意味において、この主君と臣下は凡庸ならざるコンビであったのかもしれない」と評されている。また、ラインハルトのローエングラム伯爵家相続を決めた際やベーネミュンデ侯爵夫人に自裁が命じられた際など、時として主君の行動を遠回しに批判する言を奏上することもあった。
いっぽうで、ブラウンシュヴァイク公ら門閥貴族とは国政の主導権をめぐる競争関係にあり、彼らはエルウィン・ヨーゼフ2世擁立後のリヒテンラーデを「先帝フリードリヒ4世の死とともに役割を終え、国政から退くべき老廃の人物」と考え、幼帝擁立を「専横」とみなした。リヒテンラーデ自身も門閥貴族、特にフリードリヒ4世と姻戚にあたるブラウンシュヴァイク公とリッテンハイム侯の政治能力をまったく評価しておらず、国政に口出しされると混乱と政争を呼ぶとして彼らの勢力伸長を危惧している。
こうしたこともあり、寵姫ながら国政に口出しせずひかえめにふるまうアンネローゼには他の廷臣たち同様に低からぬ評価を与えていた。ただし、将来的に男児が生まれ皇后となってから姿勢を転じて干渉される可能性も考えている。その弟として栄達を重ねるラインハルトについても、帝国暦486年の大将昇進の段階で「たんなる衛星とも思えない節」のある存在として多少気に留めていた。のちにラインハルトの腹心キルヒアイスをカストロプ動乱討伐司令官に任じたのも、ラインハルトに恩を売る目的によるものだった。
この他、フリードリヒ4世朝末期に財務尚書として閣議にならんだゲルラッハは腹心的な存在であり、なにかと政治的な重要事項を協議し、新帝擁立後には副宰相に任じている。また、政務補佐官(政務秘書官)であるワイツは、寒門の出であるだけでなく、時に無礼ですらある物言いをする人物であるにもかかわらず、妙に気に入って重用していた。
親族については不明だが、エルフリーデ・フォン・コールラウシュはリヒテンラーデの姪の子(弟もしくは妹の孫)であると称しており、のちにリヒテンラーデの逮捕に実働し一族の処刑を指揮したオスカー・フォン・ロイエンタールを襲撃している。
掲示板
23 ななしのよっしん
2023/11/18(土) 23:16:22 ID: WP3aeQjJGu
リップシュタットなんてどんなに優れた政治家だって防ぐことは無理だよあんなの。
政治家に「皇太子」は産み出せないんだから。
24 ななしのよっしん
2024/01/07(日) 00:13:09 ID: cRZZH0h4Wt
>>22 が言う内戦って、リップシュタット戦役じゃなくて、クロプシュトック事件やカストロプ動乱といった、年中行事と化しつつある地方反乱のことかなと思ったけど、違うのかな?
こちらの方は、確かに国政を仕切れていれば起こらずに済んでたはずだし。
で、内乱がここまで多発する時期ってリヒテンラーデ内閣になってからだろうから、その意味では責任はあるよな。
ではなんでリヒテンラーデ下ろしが起こらなかったかと言えば、例によって「F4陛下の思し召し」ってやつだろうし、だとすればそのF4の崩御はラインハルトだけでなくリヒテンラーデにとっても後ろ盾の消失という危機的状況だったわけか。
25 ななしのよっしん
2024/03/25(月) 18:50:31 ID: cIX+JV1Spr
地方反乱勃発を意図的に放置してる……とまでは言わないが、むしろ適当に反乱が起こることでガス抜きと財産没収による財政回復が為されてる感もあるし、国を揺るがす程じゃなければ自由惑星同盟という「大規模反乱」が状態化してるから色々麻痺してるのかもしれない。
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最終更新:2024/11/08(金) 15:00
最終更新:2024/11/08(金) 15:00
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