スーン・スールズカリッター 単語

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スーンスールズカリッター

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スーン・スールズカリッター(Soon Soulzzcuaritter)とは、田中芳樹原作小説OVA銀河英雄伝説」に登場する自由惑星同盟軍の軍人であり、妙な名前に悩まされていたところにアレクサンドル・ビュコックが「スール」とだけ呼んだのを気に入って「スーン・スー」に名してしまった人物である。

Wikipediaでは「スーン・スール」として掲載されているが、本来の名前は「スーン・スールズカリッター」である。名前は略さずに「スーン・スールズカリッター」と呼んであげよう。

石黒監督OVAにおけるスーン・スールズカリッターの小野健一が担当している。

スーン・スールズカリッターの名前

スーン・スールズカリッターを印づけている最大のものは、その「スーン・スールズカリッター」という名前そのものであろう。キャラクターとしての命名の由来については、田中芳樹梶尾真治の対談に述べられている。

梶尾 キャラクターネーミングなんかで苦労したとかは?名前、みんな凝ってるけど、どうやって決めたのかな?

田中 あれは、実は、三十年前ぐらい前の際年鑑を見て決めたんです。〈中略〉だから、みんな実在していた人の名前なんですよね。姓と名は別々にして、ちがうのとくっつけましたが。

梶尾 みんな、本当にいる人なんだ。キャラクター全員実在する人から名前をもらっちゃってるんだ。

田中 全員……いや、ひとりだけ、面半分で勝手につくった名前の人がいます。誰だと思います?

梶尾 わからないよ(笑)

田中 スーン・スールズカリッターなんですけど、これ、の中で出てきた名前なんですよね。

梶尾 その人がの中で、田中君に何かしたの?

田中 いや、スーン・スールズカリッターという人物が追われて逃げまくっているを見たんですよ。どうして、あんなを見たのかわからないんですが、なんだか面名前なので、使うことにしちゃったんです。

1987年トクマ・ノベルズ版正伝完結記念対談(田中芳樹×梶尾真治
(『銀河英雄伝説事典』収録)より

さて、作中にあっても、当然ながら「スールズカリッター」は奇妙な姓として扱われている。いわく、スーン・スールズカリッターという名のりを聞いた者はみな一様にその異様なきの「スールズカリッター」姓がいかなるりで書かれるのかに興味をしめし、SOULZZCURITTERという文字列を先に見た者は逆にどう発音されるのかという点を気にかける、というのである。

この姓は、むろんスーン・スールズカリッター本人の責任ではなく、祖先から(ほんのわずかな土地とともに)受け継いだものなのであって、なにかと同僚や部下の笑い話の種にされたり、

あいつの父親補は三人いて、どれが物の父親かわからない。だから三人の姓を全部くっつけて名乗っているのさ

などと性質の悪い笑い話にされる筋合いは毛頭ない。しかしこの「類をみないほど妙な姓」はスーン・スールズカリッターを、この冗句と同じようなさんざんなにあわせ、スーン・スールズカリッターに祖先を呪わせるのであった。

ちなみに、スーン・スールズカリッター自身も、後世の歴史からその名によって呪われることとなる。彼の人生の転機となったアレクサンドル・ビュコックの副官への着任の結果、「”ランテマリオ星域会戦”における同盟軍総司令官の副官」という立場を得てしまい、歴史上、無視しようのない名前になってしまったからであった。

スーン・スールズカリッターの経歴

スーン・スールズカリッターとランテマリオの会戦

スーン・スールズカリッターは宇宙772年前後の生まれで、中学校を首席で卒業(総代として名前が呼ばれてしまい、会場が爆笑につつまれた。校長も。)後、士官学校入学(スーン・スールズカリッターにとっては幸いなことに、新入生総代は「フォーク」なる別の人物だった。某生まれてきた事が罪な男かどうかは定かでない)。卒業し、自由惑星同盟軍の軍人として軍務についた。

スーン・スールズカリッターは、容貌や言動もごく尋常で、大過なく任務をこなすを備えた青年士官であり、しばしばアレクサンドル・ビュコック提督の副官ファイフェル少佐を補佐していた。そして799年2月帝国軍の”神々の黄昏”作戦に対して、ビュコック率いる自由惑星同盟軍の宇宙艦隊が出撃する前日、ファイフェル徹夜勤務の連続がたたって心臓発作で倒れたことを受けて、当時少佐のスーン・スールズカリッターが応急処置的に代わりの副官に任命される。

このときビュコックは、このスールズカリッターという妙な名前の副官を呼ぶにあたり、あっさり「スー少佐」とだけ呼ぶことで解決してみせた。スーン・スールズカリッターは喜び、やがて正式に「Soulスール)」を姓にしてしまうのだが、それはまたのちの話である。

スーン・スールズカリッターと老将さいごの戦い

さて、その後ランテマリオ星域会戦などを経て同盟は帝国に降バーラトの和約が締結され、ビュコックも退役することとなるが、自由惑星同盟政府が起こしたヤン・ウェンリー誘拐未遂事件に端を発し、帝国軍の同盟領再侵攻作戦が発動する。

スーン・スールズカリッターは、宇宙80011月12日皇帝ラインハルト宣戦布告に応じるかたちで宇宙艦隊部をおとずれたビュコックを迎えることとなった(ちなみにこのときから、地の文での呼び名はスーン・スール」になっている)。玄関に立つ敬する上官のもとへと、ベレーを吹き飛ばして駆けつけたスーン・スールズカリッターは、老提督の歩行をたすけ、長官室へと案内し、長官のデスクにさえ座らせようとした(ビュコックは固辞して客用ソファーに座った)。スーン・スールズカリッターは、軍服を着ている老将に

軍服を着用してここへいらしたということは、現役に復帰して帝国軍と戦っていただけるのですか、閣下。また々を揮していただけるのですか

と、願望をこめて問いかけた。是という返答に感極まったスーン・スールズカリッターは、ふるわせて

閣下、私もおともします。

と随行を申し出たが、当時27歳だったために、

ビュコック残念だな。三〇歳以下の未成年は、今回、同行することはできんよ。これはおとなだけの宴会なのでな」

と拒否されて参加がわなかった。そのかわりにスーン・スールズカリッターは、「を討とうなどと考えてはいかん」というヤン・ウェンリー宛ての遺命を(ビュコック秘蔵のブランデー一本とともに)届けるという重任をあたえられることになる。

こうしてスーン・スールズカリッターは、ムライフョードル・パトリチェフエドウィン・フィッシャーといった旧ヤン艦隊の面々が揮するヤンへの譲渡艦隊5560隻に加わった。この航は苦難の連続となり、時にはスーン・スールズカリッターがパトリチェフとともに精鋭を率いて造反者を制圧するなどという事態も発生したのだが、翌800年初頭、なんとかヤン・ウェンリーの不正規艦隊に合流するに至る。そしてマル・アデッタ域会戦におけるビュコックらの戦死の報を聞き、少年のころ以来、「一五年ぶりに腺の機を全開させた」のだった。

スーン・スールズカリッターとイゼルローンの要塞

こののち、スーン・スールズカリッターは、ヤン艦隊の一員となり、皇帝ラインハルト・フォン・ローエンラム率いる帝国軍との戦いに参加することとなる。そして宇宙8004月から始まった”回廊の戦い”を終えた後の8005月末、ラインハルトムの元へと会見に向うヤン・ウェンリービュコックの名代のようなかたちで随行し、巡航艦「レダII」に乗り込んだ。

このとき同様に随行者に選ばれたのはフョードル・パトリチェフライナー・ブルームハルトだったが、パトリチェフはかつてヤンの着任まで三次元チェス惑星エコニア随一の弱さを誇り、ブルームハルトはといえば過去二年三次元チェス全敗のヤンに二戦連敗を喫する弱さだったせいか、石黒監督OVAではスーン・スールズカリッターまでもが巻き添えを食って”三次元チェスが弱そう”と扱われてしまっている。

6月1日レダII地球教徒の襲撃を受けると、スーン・スールズカリッターはブルームハルトらとともに防御にあたった。ヤンを逃がしたパトリチェフの死後も、ふたりはおどろくべき射撃効率で暗殺者たちを斃していったが、反撃はまずスーン・スールズカリッターに集中し、敵弾が左鎖骨の下を貫通した衝撃によろめいたスーン・スールズカリッターは、側頭部をに強打して倒することとなる。

かしここで倒したおかげでスーン・スールズカリッターが致命傷を浴びることはなく、意識不明の重傷を負いながらも、ヤンと随員たちのなかで一生還することができた。これはヤン・ウェンリーと言う大柱を失った者達の一の明といえたが、覚めてからビュコックとヤン、偉大な二人の上官に先立たれたことを知ったスーン・スールズカリッターは、生来の明るく直線的なと表情をうしない、暗然として

生き残ってしまったよ、ひとりだけ……

とつぶやいたのだった。

負傷が癒えた後のスーン・スールズカリッターは、ヤンの遺志を受けつイゼルローン共和政府軍において、ダスティ・アッテンボローのもとに配属された。第十一次イゼルローン要塞攻防戦の際には、戦闘勃発直前にオリビエ・ポプラン悪口を言い合うアッテンボローに時機をみはからって決裁書を差し出しを通してもらう、という器用なことまでやってのけている。その後、シヴァ星域会戦などを越え最後まで生き残り、アッテンボローがユリアンに随行してフェザーンに向かったときには

アッテンボロー「あいつはおれより独創性はないが、責任感は一・六倍ばかりある」

などと言われながら軍務をまかされ(ちなみに、このとき手伝わされているのが階級では上のラオである)、カスパー・リンツラオらとともにマリノを補佐して帝国との協定通りの共和政府軍の管理・解体に従事することとなった。

最後に、彼の名は「スーン・スールズカリッター」。作者の中で追われて逃げまくったスーン・スールズカリッターの名前は略さずに呼んであげよう。

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