2,4,6-トリニトロトルエン(2,4,6-Trinitrotoluene:TNT)とは、爆薬である。
トリニトロトルエンは、トルエンのベンゼン環の水素原子を3つ、ニトロ基(-NO2)に置換した構造をもつ有機化合物である。いくつかの構造異性体があるが、とくに断りがない限り、トリニトロトルエンといえば2,4,6-トリニトロトルエンを指す。
TNTは爆薬として広く用いられている。衝撃や摩擦に対して鈍感であり、腐食性がなく、ほかの爆薬と比べて毒性が少ないなど、優れた特性をもっており扱いやすい。ただし、完全に無毒というわけではなく、吸入や皮膚接触で毒性を示すほか、水棲生物にも有害で環境を汚染するおそれがある。実際に爆発させる際は、雷管(起爆薬の入った装置)が必要となる。
トリニティ実験に先駆けて行われたTNTの爆発実験以降、TNTは爆発のエネルギーの指標として用いられている。1gのTNTの爆発で放出されるエネルギーがおよそ1,000calであることから、TNT換算で1gは1,000calと定義されている。すなわち、TNT換算で1tは1,000,000,000cal(10億カロリー)である。カロリーの定義はいくつかあるが、熱力学カロリー4.184J/calで換算すると、1tのTNTのエネルギーは4.184×109J(≒42億ジュール)となる。これは、マグニチュード3.2の地震のエネルギーを上回る。
1945年7月16日の人類初の核実験、トリニティ実験で用いられた原子爆弾はTNT18~20kt相当とされる。同年8月6日に広島に投下されたリトルボーイはTNT12~18kt相当、8月9日に長崎に投下されたファットマンはTNT18~23kt相当だった。1961年10月30日のソビエト連邦の核実験において、水素爆弾ツァーリ・ボンバはTNT50,000kt相当、マグニチュード8.3の地震を上回るエネルギーを一瞬で放出した。これは現在もなお世界最大の威力の爆弾として記録されている。
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最終更新:2025/12/16(火) 13:00
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