爆弾(ばくだん)とは、爆発する弾。爆薬を容器に詰めるなどして一定の形にした兵器。爆発性の殺傷武器。
曖昧さ回避
- 黒くて丸い形をしたものの通称。(例:爆弾おにぎり)
- 広島地方のニンニクを大量に入れる、ラーメンの一種の通称。
- いつ影響がでるか分からない病状の比喩。(例:心臓に爆弾を抱えている)
- 周りへ及ぼす影響・被害がとても大きいことの比喩。(例:爆弾発言)
- バクダン - メチルアルコールが添加されている燃料用エタノールを精製して作られる密造酒。
概要
燃える事によって急激に熱や光を発する火薬や爆薬を固体にしたり入れ物に詰めたりして固め、火をつけて一気に爆発させる。
少量ずつではさほど影響の無い勢いで燃焼するだけである火薬だが、ある程度以上まとめて一度に火をつけるとその勢いは衝撃波を生じるまでに至る。それを利用するのが爆弾である。
その殆どは軍事兵器として開発・生産されているが、初めて作られた大威力の爆弾として知られるダイナマイトは元は工業用として開発されたものであった。
爆薬 の記事も参照。
分類
爆薬の種類・爆発の原理による分類
爆発に至るまでの使われ方による分類
- 榴弾 ・・・ 大砲などで発射して飛ばし、標的に命中させる、あるいは至近で爆発させる爆弾。
- 手榴弾 ・・・ 榴弾の中でも手で投げつける小型の物。
- 地雷 ・・・ 地面に設置しておき、踏む等されると反応して爆発を起こす物。
- 水雷 ・・・ 水中で爆発して、艦船に損害をあたえるもの。
- 魚形水雷(魚雷) ・・・ 推進装置を備え、標的に向けて自力で航行できるもの。
- 航空爆弾 ・・・ 航空機で運搬し、空中から自由落下させることで投射する爆弾。
- 誘導爆弾 ・・・ 誘導装置を備えた爆弾、スマート爆弾とも呼ばれる。定義上では航空爆弾以外でも成立するが、現在の所ほとんど存在しない。
- 滑空爆弾 ・・・ 滑空用の翼を備えることで、より遠くに投射できるようにした爆弾。
- ロケット弾 ・・・ 圧縮ガスや爆弾とは別の火薬などの推進装置がついて自分で飛んで行く爆弾。
- 時限爆弾 ・・・ 何らかの仕掛けにより、特定の時刻になると自動的に爆発するように作られた爆弾。
- ミサイル ・・・ ロケットのような推進装置に加え、誘導装置をも兼ね備えた爆弾。
- クラスター爆弾 ・・・ 大型の爆弾の中に大量の小型爆弾を内蔵し、空中で爆発して広範囲に爆弾をばら撒くもの。毎日新聞社のカメラマンがヨルダンで勝手に持ち帰ろうとして空港で爆裂させ死傷者を出した爆弾は、これの子爆弾である。
- 気化爆弾 ・・・ 液状の可燃性物質を一次爆発によって加圧・加熱することで激しい突沸を起こし広範囲に気体として拡散させた後、それに着火して大規模な爆発を起こす爆弾。
爆発によってもたらされる影響の違いによる分類
爆弾にまつわる問題
爆弾は人の手で作るものである以上、必ず不具合を起こして狙ったとおりに爆発しない事がある。
- 標的着弾より前に爆発する
保管している時、運搬している時、発射したが目標地点のはるか手前で爆発した時など様々。往々にして、爆弾を取り扱っていた本人を含め周囲に甚大な被害をもたらす。
近年は安定性の高い爆薬が次々と開発され、素の状態では殴っても蹴っても火の中に放り込んでも爆発しないものが標準となってきているが、それでも起爆に用いる信管の不具合によって予期しないところで爆発するリスクは依然として残っている。
- 着弾しても爆発しなかった
いわゆる不発弾。爆発しなかったために狙った敵を倒す事が出来ないと言う直接的なデメリットだけでなく、一度は爆発させるために発射されたものである以上安全装置が解除された状態の爆弾がその場に残ってしまうと言う問題がある。
現在でも、第一次・第二次大戦中の不発弾が各地の戦場跡で見つかる事が希にある。いくら爆薬の安定性が高くても、安全装置が外れた状態の信管がついていては、ちょっとした衝撃で爆発する危険性が極めて高い。
- 地雷原
通常の、榴弾やロケットなどの爆弾は爆発させる数だけ発射するものなので、上記のような思わぬ不具合によって不発しない限り、爆弾が残存する事は基本的に無い。しかし、確実に標的を捕まえる保証が無いがとにかく設置すると言うスタイルの地雷は、その役割を終えた後もその場に残り続けると言う重大な問題を抱えている。言い換えれば上記の「危険な不発弾」を意図的に設置しまくるようなもの。
現在も、過去に地雷が大量に設置されているためまともに立ち入る事ができなくなってしまった地域が多数存在する。元々が「気づかずに踏んでくれる」事を期待するものであるため地雷の埋まっている位置の特定が難しい上に、対人用の地雷は人が片足を乗せる程度の加重ですぐに爆発してしまうため、撤去作業も困難を極める。
フィクションの爆弾
架空の爆弾
実在の爆弾の、フィクション中における描写の余談
- 焼夷弾の「火の尾」
映画「火垂るの墓」などの焼夷弾投下シーンなどでは、焼夷弾が空中で発火して炎の尻尾を引きずったまま落下してくるように見えるシーンがある。そのため、焼夷弾は空中で発火してから落ちてくるものだと言う誤解が一部に広まっているが、これは正しくない。
炎を引きずった状態で落下してくるのは事実だが、実際に燃えているのは焼夷弾本体ではなく、姿勢制御用のリボンの尻尾。焼夷弾は広範囲にばら撒くと言う用途の関係上、小弾を多数内蔵した大弾を投下し、それを高空で破裂させてばら撒く構造になっているが、破裂の際にリボンに引火して燃えているのが炎の尻尾の正体。
- 時限爆弾の赤と青のコード
フィクション作品において、時限爆弾の起爆装置を解体していくと最終的にコードが2本残り(大抵の場合は赤と青のリード線である)、正解の方を切れば起爆装置の停止に成功するが、間違ったほうを切るとその場で爆発してしまう・・・と言う演出を、恐らく一度はご覧になられた事があるだろう。
身も蓋も無い言い方をすると、実際は「そもそも不正解のコード1本しかない」「コードは複数あるがどのコードを切っても即爆発or起爆が止まらない」「そもそも分解しようとした時点で爆発」などの対処を取る事が出来るため、正解のコードを切って停止すると言う停止方法が残っている爆弾がテロなどに用いられる事はまず無い。と言うよりもむしろ、そんな別々の挙動を起こすように設定されている起爆装置を作るほうが面倒である。
そのような"不完全な"爆弾を用いる理由付けとあえてするとしたら、
- そもそもの犯行動機が愉快犯であるため、犯人がゲーム感覚でわざと解体・機能停止が可能な爆弾を用意した。
- 単なる演出。
- 何らかの理由で自分達の傍で起爆装置が作動してしまった際の緊急停止手段を用意したが、外部の人間に利用されないためにダミーを付け足した。
などといった事情が考えられる。
なお、いずれかのリード線を切って時限装置を解除する演出は、豪華客船に時限爆弾を仕掛け乗客全てを人質に取って身代金を要求する・・・と言うアメリカ映画「ジャガーノート」が元祖。 その後、多くの作品で似たような時限爆弾が登場し(作品によっては警察や特殊部隊が現場に間に合わず、素人が持ち合わせの道具で指示に従いながら爆弾解体に挑むという展開も見られる)、視聴者にスリルを提供し続けるのである。
ちなみに人間が同様の状態に置かれた場合、赤より青を切断する人の方が多いという統計結果もあるのだとか。
関連動画
関連商品
関連項目
脚注
- *「コンバットバイブル2」上田信 日本出版社 1993 1刷 p.136