地球連邦軍所属。劇中では多数の同型艦が確認できるが、名前が判明している艦は少数である。一年戦争時のほとんどの将官は本級に座乗している。
艦種は戦艦または宇宙戦艦。本級以前の連邦の艦種分類については不明であるが、作中でも強大な砲術戦能力を誇っておりジオン軍諸艦艇やペガサス級(ホワイトベース)と違い、分類に誤りや論争はない。
艦名はポルトガルの冒険家フェルディナンド・マゼランまたはマゼラン海峡あるいはマゼラン銀河から。シリーズ的な命名傾向は人名であったり地名であったり旧世紀の海上艦艇から取ったりと一定していない。
本級竣工以前より宇宙警備用の艦艇は確認されているが、直接的な建艦動機は0058年のサイド3の独立宣言と国防軍の発足である。翌年の0059年、サイド3へのけん制とこれ以上の宇宙移民の反乱を防ぐため連邦宇宙軍が創設される。
連邦は経済制裁とこれら一連の軍備拡張でサイド3はもちろん、宇宙移民の反抗勢力も屈服させられると考えたようだ。実際、連邦はその有り余るまでの国力を駆使し、0064年にはすでに大規模な観艦式を開催するほどの艦隊戦力を保有することに成功。反面、サイド3は経済制裁とそれに続くジオン・ズム・ダイクンとデギン・ソド・ザビの内紛により建艦政策は後手後手に回り、ジオン公国となった後の0069年にようやく国産第一号艦である「パプア」を完成させた状態であった。
しかし、最終的に内紛に勝利したジオン公国はダイクンのサイド3よりタカ派であり、相対的な危機感は0070年代を迎えより切迫して行った。また、宇宙軍そのものが創設から十年足らずの過渡期にあり、必ずしも現状で満足できる状態にはなかったのである。
0070年、ジオン公国においてトミノフ・Y・ミノフスキー博士により前年のミノフスキー粒子発見に続き、これを応用したメガ粒子砲が開発される。一連の発明により、近い将来連邦の質的優勢は崩れる恐れが現実化し始めた。この年において就役を開始したのが連邦の「マゼラン」である。
全長は327メートル。仮想敵であるジオン軍のチベより上であるが、グワジンは440メートル説と294メートル説があるため比べるのは難しい。横幅は94.5メートル。これはグワジンやチベはおろか、ムサイの103.2メートルよりも小さい。連邦軍艦艇は往々にして細長い船型をしており、両国の軍備(あるいは美意識)の違いを如実に物語っている。
エンジンは熱核ロケットが4基、艦後方に船体に組み込まれる形で配置されている。諸説あるが、初の熱核融合炉(反応炉とも)搭載艦であり、全てのコロニーを無寄港で巡回することが可能な航続距離を持つ。これは全装備の中でも最重要機能であり、地球からもっとも遠いポイントに存在するサイド3をにらんでいたことがうかがえる。
武装は主砲が連装メガ粒子砲2基、副砲が同5基である。完成当時からメガ粒子砲を備えていたかどうかは疑問があり、ミノフスキー博士の亡命事件があった0072年以降の装備とする説もある(竣工そのものが0072年以降とも考えられ曖昧なままになっている)。
対空砲は連装機銃が20基。これはチベの18基よりも多く、モビルスーツ(MS)戦が主流になってからも何とか第一線で戦うことができた遠因となった。他、ミサイルランチャーも同様に多数装備が確認できる。
船体は四面構造になっており、このうち最下部を除く三面を上面とし各面に砲撃指揮所やレーダーを設けている。上述の主砲と副砲を合わせて大変、砲術戦能力に特化していたことが分かる。一方、当然ながらMS搭載は前提ではなく、代わりに(と言うか本来的に)トマホークと呼ばれた宇宙戦闘艇を装備した艦もあった。
全体的な船型は旧世紀の海上艦艇であり、ジオン軍艦艇と比べると保守的な設計思想であった。
一年戦争開戦劈頭、その火力と数でジオン軍を圧倒するかに思われた。マゼラン級の強大な火力に対抗できるのはグワジン級のみだが、そのグワジン級の数は圧倒的に少なかった。つまりジオン艦隊に、マゼラン級の脅威になりうる敵はほぼ存在しなかったのである。
しかし、0079年に戦端が開かれると状況は一変。ジオン軍はミノフスキー粒子を散布し、連邦の火器管制や誘導ミサイルを無効化。得意の砲戦能力を半減させられてしまう。加えて、小型だが汎用性が高く小回りの利くMSを導入し、逆に連邦軍を圧倒。多数の艦艇を血祭りにあげた(ブリティッシュ作戦)。
連邦軍は大損害をこうむったものの、ジオン軍のコロニー落としに狂いを生じさせる事には成功した。
続くルウム戦役では、ジオン軍が流した偽情報に釣られる形で出撃。ルウム宙域にて、ジオン艦隊と相対した。連邦が待ち構える形であったため奇襲が成立せず、さらに連邦軍側から戦端を開いたため序盤は優勢に戦いを進めた。
しかし再びMSを投入され、ムサイとザクの双方から飽和攻撃を受ける。大艦巨砲主義に凝り固まっていたマゼラン級は思いのほか対空能力が低く、ザクの接近を止め切れずに被害が増大。かなりの数が撃沈させられた。
またMS IGLOOでは、損傷して艦隊から脱落したマゼランが後方に控えていた試作艦隊決戦砲ヨルムンガンドを発見。破壊すべく砲撃を仕掛けたが、逆にプラズマビームを正面から喰らって轟沈した。
連邦軍自慢の艦隊は、MSの前にまたしても惨敗。大半の戦力を喪失し、ジオンに宇宙での優勢を一気に奪われてしまう。
損害の大きさもさることながら、正面決戦でジオンに敗れてしまったことは連邦の矜持を著しく傷つけ、また既存の軍備の見直しを当然ながら迫られる事態となった。
まず、MS開発が最優先課題でありこちらがV作戦と呼ばれた一連のガンダムとペガサス級強襲揚陸艦開発計画(ただし、近年ではペガサス級は宇宙空母の改良型説が有力)である。しかし、一から専用艦を作るには時間がかかりまた既存艦艇の近代化も望まれたため、とりあえずの応急措置として計画されたのがビンソン計画である。
このビンソン計画には諸説あるが、一般にはトマホークとミサイルの一部を撤去しMS(ジム)の搭載能力が与えられ、砲術戦能力もレーダーではなく光学式のものに変えられたとされる(マゼラン後期型)。
このうち、MSの搭載能力については専用艦ではないためカタパルトを搭載せず、一部は露天つなぎ止めで対処したとされる。また、艦内には3機収容が可能ではあったが、本格的な整備は望めなかった。
なお、V作戦とビンソン計画のチームは対立していたとする説があるが、V作戦はMSの試験運用が主でありビンソン計画は既存艦艇にMSを搭載する計画であるため、むしろ両輪の輪であったと言われる。
ビンソン計画で建造された艦は、ジャブローより宇宙へと打ち上げられた。MS IGLOOでは途中ゼーゴックによる妨害を受け、マゼラン1隻を喪失しているが大局には影響せず、ルナツーへの集結を完了した。
戦場が宇宙に舞い戻る頃にはこのマゼラン後期型も再就役を開始した。専用艦ではないためペガサス級と比べ使い勝手が悪く、数ではサラミスに及ばないため苦戦を強いられたようだ。それでも貴重な機動戦力として活躍し、旧式化した主砲も要塞相手には効果を発揮している。
また、ジオンが劣勢になるに連れて有利な形で艦隊戦が惹起する例も少なからずあったようで、劇中でもチベを圧倒し本来の実力を発揮している。
戦局が宇宙に移った後は、連邦軍の勝ち戦になりつつあった。敗走するジオン軍の追撃で猛威を振るい、戦果を重ねてきたマゼランであったが、ジオンの抵抗を受ける事も少なくなかった。
シャアが座乗するザンジバルと、ワッケイン司令が座乗するマゼランが一騎打ちの砲撃戦を行ったが撃ち負け、増援のホワイトベースが到着する前に撃沈されてしまっている。
ア・バオア・クー攻略戦ではマゼランも相当数が投入され、激戦に身を投じた。中にはグワジン級と正面衝突して失われたマゼランもあった。
またMS IGLOOではEフィールドではビグ・ラングに突撃し主砲を放ったが、ギリギリの所で回避された挙句、反撃のメガ粒子砲を喰らって大破炎上。それでもビグ・ラングを道連れにしようと突撃を続けたが、これも回避されて失意の中で爆沈している。
マゼラン改級と呼ばれた艦が0083年の連邦観艦式に確認されている。ただし、MS運用能力は撤去され再び砲術戦能力特化に回帰しているとされる。これは連邦が再び大艦巨砲主義に回帰したとも、MS搭載能力は専用艦に任せるドクトリンだったとも。
また、ビンソン計画ではそもそもMS搭載能力は与えられておらず単に機関砲を増やしただけとし、マゼラン改級をマゼラン後期型と同一視する説もある。いずれにせよ、新造艦のバーミンガムと共にアナベル・ガトーの攻撃を受け多数が撃沈されている。
以後は旧式艦の印象が強まったのか第一線に姿を見せることは少なくなったものの、残存艦の多くがサラミスと同じように本格的なMS運用能力を持つ艦に改修され、エゥーゴやティターンズが新鋭艦を就役させる中で連邦正規軍で変わらずに艦隊旗艦として運用されている。
特にティターンズはアレキサンドリアなどの新造艦をほぼ独占していたため、正規宇宙軍では改修艦であるサラミスやマゼランを使い続けざるを得なかったようだ。
なお、こちらもマゼラン改級と称されているが、前述の改級との名称の区別はされていない。
改修点としては、艦首のメガ粒子砲2機を撤去して格納庫を増設、元の船体を挟み込むようにサラミス改と同等のカタパルトデッキを上下に1機づつ配置している。
元のシルエットを崩さずに格納庫を詰め込んだサラミス改と比べてより広いスペースをとれたことは確実であり、結果MS搭載数は12機とサラミス改の3~4倍に達し、改修艦ながらも後続のアレキサンドリア級に匹敵する。加えて5機のメガ粒子砲も健在であり、戦力としては以前よりも強力なものとなっている。
グリプス戦役においては正規軍が大きな動きを見せなかったために表だった活躍は確認できないが、その終結後に発生した0088年のペズンの反乱では本星艦隊などに所属する艦が多く参加している。
その後、第一次ネオジオン紛争を経て旧式艦の更新が進められ、正規軍の主力艦の座をラー・カイラム級に明け渡すことになる。
更新が完了するまでは運用が続けられたものと思われるが、サラミス改が0153年に至るまで使われ続けたのに対し本級は0090年代以降その姿を消している。後継艦が揃ったことに加え、元々旗艦任務を前提としたマゼランはその規模を縮小しドクトリンも転換した連邦宇宙軍にそぐわなかったようだ。
0083年竣工のバーミンガムが戦艦としては次級だが、前述のようにデラーズ紛争で爆沈している。バーミンガムにMS戦能力を付与した改良艦が0087年のドゴス・ギアであり、ティターンズの艦隊旗艦となっている。
一方、同時期エゥーゴにおいてもアイリッシュ級戦艦が建艦され、0087年はMS搭載が主兵装ではあるが久しぶりに戦艦建造が目立った年となった。ただ、いずれの艦も設計上の直系とは言い難い。
大艦巨砲主義的なイメージから本級の印象を好意的に解する設計・運用者は少なかったようだ。もっとも、ラー・カイラムは結果として本級の船型に近かったため、連邦上層部の受けが良かったと言う皮肉な側面もあり主力となったとされる。
また、対空砲の充実化は連邦の基本方針となり、こちらは積極的な評価がなされている。
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掲示板
19 ななしのよっしん
2022/01/10(月) 13:12:03 ID: vCxkE9TJiC
origin見てたらのジャブローから打ち上げられたマゼランの第一ロケットが分離して地球に落ちていったけどスペースxの再利用ロケットみたいにアレも地上に着陸して再利用するのかなと思ったり
20 ななしのよっしん
2022/05/22(日) 00:29:48 ID: CCP+PQ/YB5
マゼラン級の後継は何になるんだろ?
艦隊旗艦兼母艦を担えるアレキサンドリア級が後任だったんだろうけど、ティターンズのやらかしでお蔵入りになったし…やっぱりアイリッシュ級?
21 ななしのよっしん
2024/02/04(日) 09:46:35 ID: wvnJ6Vqvvh
何気なく記事読んでて思ったんだが連邦がサイド3に経済制裁してたとか初めて知ったわ
ていうか開戦初期に連邦に味方するコロニーが多かったのって
本心で連邦が好きだからという理由以外にも
軍事力と経済力で圧倒的な連邦に逆らうのは怖いから従順なフリしてただけとか
そういう意味もあったのかもな
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最終更新:2025/03/25(火) 21:00
最終更新:2025/03/25(火) 20:00
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