ヴァーゲンザイル(Waagenseil)とは、「銀河英雄伝説」の登場人物である。
石黒監督版OVAにおける旗艦は新世代標準型戦艦の試験艦の一隻、<バレンダウン>。同作のデザインでは茶髪でリーゼントのような独特な髪型をしている。同盟の<ユリシーズ>航法士官フィールズ中尉を思い浮かべてくれればだいたい分かるかもしれない。
初登場は“大親征”の発動時。先陣の黒色槍騎兵艦隊、第二陣ミッターマイヤー艦隊に続く部隊として、ブルーノ・フォン・クナップシュタイン大将、アルフレット・グリルパルツァー大将、グローテヴォール大将に続いて名が上がっている。彼の後ろにはクーリヒ中将、マイフォーハー中将、そして中段エルンスト・フォン・アイゼナッハ上級大将が続いた。マル・アデッタ星域会戦では石黒監督版OVAで直前の作戦会議への参加が確認されるのみで、戦闘での活躍は不明。
大親征の終結後は旧帝国本土で8500隻を率いてイゼルローン回廊周辺の哨戒・防衛活動を担当する。第十一次イゼルローン要塞攻防戦では、イゼルローン共和政府軍が大挙旧帝国領側に侵攻する気配を見せたため迎撃すべく回廊に突入。その後退を罠と察しつつも、かつて同盟軍のシドニー・シトレ大将が実現させた平行追撃を目して追撃を選ぶ。しかしながらユリアン・ミンツ中尉率いるイゼルローン軍は回廊における交戦に関しては宇宙最高級の練度を持つといってもよく、巧妙にタイミングを測った後退と攻勢・そして反転に翻弄された結果、その目論見は失敗することになる。
平行追撃の失敗により完全に“雷神のハンマー”の射程内に誘き寄せられたことに気付いた彼は反転後退を指令し、艦隊は大混乱に陥りつつも、イゼルローン軍が回廊の反対側から進入したワーレン艦隊の迎撃に注力したおかげで脱出に成功した。しかし、この時メルカッツ率いる伏兵の存在を捕捉していながら、脱出に気を取られ伝達しそこねており、“雷神のハンマー”のエネルギー充填が完了するまでワーレン艦隊を阻止する手助けとなってしまった。
新帝国軍の大将以下の宿痾として、帝国軍の優位と自身の能力に過信を抱きがちであることが指摘されており、ヴァーゲンザイルもその例に漏れなかった。このことが彼をしてイゼルローン軍を「イゼルローンの捨て狗」と嘲笑させ、過小評価させることに繋がってしまっている。
また指揮能力においても、凡百の指揮官と呼ぶのは過小評価に過ぎるにしろ、トールハンマーの攻撃による混乱の収拾に気を取られワーレン艦隊に伏兵を通報できなかった醜態を糾弾されている。この点については、後の“獅子の泉の七元帥”となる上級大将以上の司令官とグリルパルツァーほか大将以下の指揮官との間に能力的な格差が大きいことが前々から指摘されており、ヴァーゲンザイルの敗北はそれを象徴するものとして帝国軍の最高幹部に何らかの対策の必要性を感じせしめるものであった。
なお、この時期の帝国軍の問題として、一個艦隊の司令官級が上級大将以上で占められているために大将以下の指揮官が分艦隊クラスの司令官に甘んじざるをえないことによる経験の不足、そして最高幹部である上級大将以上がいまだ30代の若年であるためにさらに若い大将以下の指揮官にとって大きな壁となってしまい、同盟の滅亡による戦乱の終結が見越されていることもあり功を焦って自滅しがちであるという二点が推察できる。このイゼルローン戦におけるヴァーゲンザイルの敗北にも、同様の問題が潜んでいたと考えて差し支えないだろう。
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最終更新:2025/12/11(木) 19:00
最終更新:2025/12/11(木) 18:00
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