呂宋助左衛門とは (ルソンスケザエモンとは) [単語記事]

呂宋助左衛門（るそん・すけざえもん　 1565？～？）とは、安土桃山時代～江戸時代初期に活躍した日本の商人である。本名は納屋助左衛門。

概要

堺の貿易商人・納屋才助の子として生まれる。前半生はよくわかっておらず、豊臣秀吉が全国統一した後に、彼の貿易政策の元でフィリピンのルソン島との貿易を行い、巨万の富を手にする。特に助左衛門では、ルソン島から運んできた壺を大名たちに高値で売り捌き、彼が持ち帰った壺は「ルソン壺」の名で今日まで知られている。
しかし、ルソン壺は実際には高級品では無く、現地ではどこでも手に入る安物で、骨壺や便器代わりに使われる代物であった。これを石田三成らが讒言したことによって秀吉は激怒（後述の黄金の日日における三成は、終始助左衛門に協力的である）、助左衛門は国内の屋敷を取り壊されてルソンに追放。現地の日本人町に逃れた。秀吉の死後は拠点をルソンからカンボジアに移し、再び豪商となって繁栄を極めたという。

大河ドラマ「黄金の日日」における活躍

史実での実績がほぼ不明な助左衛門だが、1978年に放送された「黄金の日日」では主人公に抜擢され、その名が全国区に知れ渡ることとなった。これを記念して、1980年には堺市民会館に助左衛門の銅像が建立されている。助左衛門を演じたのは、7代目・市川染五郎、現在の松本幸四郎である。
本作では両親と生き別れて孤児になったところを、堺の大商人・今井宗久に拾われた奉公人で、信長を狙撃した杉谷善住坊や、秀吉の暗殺を謀った盗賊・石川五右衛門とは幼馴染のという設定である。
実際の人物像が謎に包まれていることを逆手にとって、本編では縦横無尽の活躍を見せることとなるが、内容そのものが骨太で質の高い作品に仕上がっているため、近年の主人公がことある事にしゃしゃり出るスイーツ(笑)と批判される一部の大河と異なり、その点が批判されることは殆ど無い。

ドラマの助左衛門は、ひょんなことから乗っていた船が難破し、善住坊・五右衛門と共にルソン島へ漂着。当初は島民から警戒・敵視されるも、紆余曲折を経て友好関係を結び、後に貿易商人になった時の足がかりを掴む。その後、商人として独り立ちして、善住坊や五右衛門との別れ、海賊となった生き別れの父との再会、若い頃は友好関係にあった権力者・豊臣秀吉との対立と訣別など、浮き沈みの激しい人生を送る。
豊臣秀吉の時代から、徐々に堺は自由都市としての権限を奪われていくが、関ヶ原の合戦で徳川家康が堺を制圧すると、堺を焼き払って新天地を求め、ルソンへ旅立っていく。

それから38年後の大河ドラマ「真田丸」では、1話のみのゲスト出演ながら、松本幸四郎が再び助左衛門を演じて大きな話題となった。脚本の三谷幸喜は、大の大河ドラママニアで戦国ものでは「国盗り物語」と共に本作を戦国大河の最高傑作と絶賛しており、松本幸四郎は「王様のレストラン」をはじめ、これまで多くの三谷幸喜作品に出演していることから実現された。
真田丸における助左衛門の人物像は、黄金の日日と全く同じで「安物であるルソン壺を敢えて高く売りつけることで、権力者に対抗する」など助左衛門の反骨精神も忠実に再現するなど、一種のクロスオーバー的内容となっている。